縁側で死にんさい | 交心空間

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◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇

 島田洋七原作の映画『佐賀のがばいばあちゃん』が好評を呼び、アンコール
全国拡大公開となっている。そして来年1月からはフジテレビ系列でテレビド
ラマ化も予定されている。


島田洋七オフィシャルサイト『がばいようちゃんどっとこむ』
映画『佐賀のがばいばあちゃん』ホームページ


 ところでオフクロの思い出話を聞いていると、呉市天応で暮らしていた、亡
くなった私の母方のばあさんにも、「なるほど」と頷かされる語録があったこ
とを感じる。


 昭和三十年代である。飼っていた猫が老衰で死を迎えたときのことだ。じい
さんは、段ボール箱にバスタオルを敷き、そこに猫を入れて死なせてやろうと
したそうだ。ところが、それを見たばあさんは……
「生きとるうちから棺桶に入りとうないよのう。そがァなところは出て、縁側
で死にんさい」
 段ボール箱から猫を抱え出し、そっと縁側に寝せたとのこと。


 ──猫と縁側。陽当たりが良かったかどうかは分からない。しかし実に相応
しい場所ではないか。そして「死にんさい」は一見無情なようですが、どこか
死に対する覚悟を思わせる言葉だろう。『天応のぶちええばあちゃん』と呼び
たいものだ。