句読点は『読みやすくする』だけの目的で打つのではなく、『文意を明確に
伝える』ためにも重要な役割をなしています。13日に述べた【A1】【B1】の句
読点は最低限の数でまかなっており、これで文意は伝わります。逆をいえば、
【A1では読点:男は、車に乗った女】【B1では句点:男は車に乗った。女が】
は絶対に必要といえます。
この他にも句読点を打つ位置は考えられます。それを紹介する前に、裏側に
秘められた「主語・述語・修飾語・接続語」を付記して一文ごとに分解してみ
ましょう。
【A2】(歩いている男が)横断歩道に差しかかった。
(そのとき信号機が)赤信号に変わった。
(それを見て男は)立ち止まった。
(その場で)男は(見ていた)、
(男の前を)車に乗った女が通りすぎる。
(男はそれを)見ていた。
【B2】(男が歩いて)駐車場に行く。
(男は)ポケットから車のキーを取り出す。
(そして)男は車に乗った。
(車に乗った男の前を)女が通りすぎる。
(男は女を)見ていた。
そもそも文章は、いくつかの単文で成り立っています。それらを順序立てて
並べ、助詞を用いて繋ぎ合わせたり必要に応じて省略した文を、句読点で区切
ることで作られているのです。【A1】【B1】がそれです。では、流れと一文ご
とを踏まえて、さらに句読点を打ってみましょう。
【A3】横断歩道に差しかかると、赤信号に変わったので立ち止まった男は、車
に乗った女が通りすぎるのを見ていた。
【A4】横断歩道に差しかかると赤信号に変わった。立ち止まった男は、車に乗
った女が通りすぎるのを、見ていた。
【A5】男が横断歩道に差しかかると、赤信号に変わったので立ち止まった。そ
して、車に乗った女が通りすぎるのを、男は見ていた。
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【B3】駐車場に行き、ポケットから車のキーを取り出した男は車に乗った。女
が通りすぎるのを見ていた。
【B4】駐車場に行き、ポケットから車のキーを取り出した男は、車に乗った。
女が通りすぎるのを、見ていた。
【B5】駐車場に行き、ポケットから車のキーを取り出した。男は車に乗った。
女が通りすぎるのを、見ていた。
それぞれに微妙な違いはありますが、展開と文意は伝えているので、あとは
書き手の感性の領域になります。
さらに、書いた文章を「声に出して読む」と、しっくりくるかも確認できま
す。特に脚本では、実際に役者が声に出して演じるわけですから、スムーズな
しゃべりで聴く人に伝わることを重視します。小説にしても、朗読となるとや
はり声に出して読むわけですから、音読で確認するのはより有効といえるでし
ょう。
《つづく》