※本記事にはネタバレが含まれています。
連続刊行2作目の著書ですね。著者本人は「原作者の視点から」投稿したはずなのに、一部炎上騒ぎに巻き込まれているらしいので不憫なんだろうなと思っています(ただそこに自分の著書宣伝に利用するのは違うだろうと)。
そんなわけで『閲覧厳禁』を読んできましたが、まあ「モキュメンタリーだー!」って軽く手を出さない方が良かったですね。今「モキュメンタリー」作品が流行っているから色んな作品が出ている訳なんですけど、その中に大ヒットメーカーの方が1つポンと置かれていたら、手を出したくなる。そこにびっくり箱展開が仕掛けられていたら膝から崩れたくなります。
……今日が発売日なので、目次にネタバレなしとありで区別しておきます。後者は有料指定にしておきます(返金設定あり)。
1.ネタバレ無し感想
ネタバレを踏まずに感想を述べるなら、「缶コーヒー」が二度と飲めなくなってしまうような感じ。この文章だけを読めば、「お前何を言ってるんだ」的なことを言われそうですが、この作品を読んだら怖くて手を出さなくなります。嗚呼、私の好きなコーヒーが……。
二転三転と転がっていく展開はミステリー作家らしいし、『硝子の塔の殺人』というミステリー作品を世に送り出しただけの実力はあるな、って素直に感じた。モキュメンタリー、というジャンル自身も利用するのも、ね……。
多分、著者自身の思考がとても面白くなるのではないかなと感じる作品だと思う。先に例として出した『硝子の塔の殺人』もそうだし、『ヨモツイクサ』もそう。びっくり箱展開から先を持っていかれるところが彼の最大の持ち味らしいし、しっかりと『スワイプ厳禁 変死した大学生のスマホ』で残った謎も回収されていったから良かった。
とりあえず、私のSNSで簡単に感想をまとめた投稿を貼り付けておきますね。
『#閲覧厳禁 猟奇殺人犯の精神鑑定報告書』(著・知念実希人)、早速読了したので画像で感想まとめるとこんな感じ。 pic.twitter.com/5ngAFhnl9T
— 青冬夏 / Natsu Seito @ヲタ垢 (@watashi_natsu) September 18, 2025
…………ほぼ全て『ポプテピピック』に侵食されておりますね。汎用性の高さはさておいて、主人公がとち狂っていたのは事実です。はい。
この先はネタバレ有りのところで述べるとします。
2.ネタバレ有り感想
……で、ネタバレ含めて感想を申し上げると、「モキュメンタリー」自体が作品そのものなのではないかなと思ったのです。訳が分からないじゃないですか。大丈夫です。読了した人だけしか分からないですから。
どういうことかと言えば、冒頭部はあまり違和感なんてないんですよ。ああ、確かに「モキュメンタリー」なんだなって読み進めることができるんですよ。ただ、インタビューが始まったら既に「モキュメンタリー」の心髄が始まっていると思った方が良いし、『8番出口』のように言うならば「違和感」は既に始まっていると思った方が良い。
基本的にインタビューしか展開されないんですよ。対象者の上原香澄と語り手、あとその語り手の助手ぐらいしか登場しないから人物としては結構スッキリしてる。だけど、そのスッキリが「違和感」を作っているのです。
語り手が一向に自分の正体を明かさないまま、「次回もお願いします」「最後もよろしくお願いします」と言った言葉を残したり、所々上原の様子がおかしかったり。読者自身が作品自体に残されている謎に対して挑まれているような感じ。何だろ、『最後のトリック』のような。あの作品は読者が犯人でしたって言うトリックを使った先進的な作品ではあるんだけど(未読です)、このトリックを「モキュメンタリー」というジャンルそのものに利用しているところかな。
そのトリックを使っているからこそ、一番最後の語り手に名指しされて「お前も見ているからな。真犯人だから見ているからな」って脅されたのは気色悪すぎて反吐が出そうだった。何この人、マッドサイエンティストか?って。
と言ったような感じなのです。読み始める前から既に物語は始まっていると思った方が良いし、常に違和感探しに頭を働かせていた方が良い。
ちなみに、彼の弱点でもある都合的展開はありました。上原香澄の動機、「八重樫が私に遺してくれたから」行動するのは無理があるような……被疑者死亡で事件が終わるから精神鑑定も終わるはずですよね……。まあ、その上原香澄もとち狂っていた人物の一人に過ぎないので、果してその都合的展開は通用するのだろうか、もしかしたら物語の一部として溶け込まれているのかも知れないと感じた。まあ多分、今回の作品で主としているのが「拘禁反応」と呼ばれる症状なので、この症状を上手く拡大解釈したらもしかしたら自殺が頻繁に起こってもおかしくは無いのかも知れない。……この作品の世界観では。
『スワイプ厳禁』と関連性を言及するとすれば、『スワイプ厳禁』の登場人物全てが「ドウメキの瞳」という謎の存在に犯されていたことになるよね。一色という男性も然り、彼の恋人も、そして八重樫という男性もまた犯されていた。
けどその「ドウメキの瞳」は今回の『閲覧厳禁』での判明分も含めて考えれば、「ドウメキの瞳」は陰謀論に近しいものということになるよね。この2つの作品で描かれている世界観は監視社会が広まったものであると考え得る話だし、現代日本では考えられないようなディストピア的な光景が広がっているとも考えられる。
……まあ言ってしまえば、SF的光景ってことかな。その光景は統合失調症などの精神疾患抱える方々が見ているもので、我々読者は「モキュメンタリー」を通じて体感しているに過ぎない。そうなったら、益々「閲覧厳禁」という言葉の必要性が帯びてくるよね。
恐らく陰謀論の何かをテーマ、あるいはモチーフにしていると思うんだけど、それが何かは忘れてしまったので調べて下さい。私は知りませんが、くれぐれも飲み込まれないように気をつけて下さい。一度ハマったら脱出できません。
と言った感じで感想は以上になります。
皆様、くれぐれも気をつけて読むようにして下さい。
私はこれにて失礼致しますね。





