🐕‍🦺 シェルティと羊の相談会


牧場の中央で、勘の悪いシェルティが立ち尽くしていた。

「群れをどの丘に移すかは、みんなの意見を集めてから決めよう」

と、いつものように言う。

羊たちはめいめい鳴き始めた。

「どっちの丘に草が多いか、教えてもらわないとわからないよ」

「風の向きがどうなるか、シェルティが言ってくれないと決められないよ」


シェルティはうなずいて言う。

「羊たちの意見が揃わないと決められないんだ」

羊たちはさらに鳴く。

「でも、シェルティが道を示してくれないと意見を揃えられないんだ」


こうして、朝が過ぎ、昼が過ぎ、夕方になっても群れは動かない。

シェルティは「皆の意見を尊重した結果だ」と胸を張り、

羊たちは「情報が足りなかったから仕方ない」と草を噛む。


丘の上では風が変わり、別の牧場の群れがとっくに移動を終えていた。

この牧場だけが、今日も同じ場所で足踏みしている。

鳴き声は多いが、一歩も進まない民主主義。

ラブホ市長と市議会を寓話風に書けと言ったらこうなった。
羊には伝わらないだろう。勘の悪い羊飼いがお似合いだ。
丘の向こうにもっと大きさがあることを知らなければ、今の場所で満足。