
小さい頃に夢中になって読んだ細川智栄子作の漫画『王家の紋章』。
繰り返されるパターンと、完結が見えない堂々巡りにもはや原作は読まなくなりましたが、ミュージカル化ということで、2017年再演版を観に行きました。
アメリカのリード・コンツェルンの一人娘キャロルは、父が援助した古代エジプトの王墓発掘の呪いをうけ、古代へタイムスリップ。現代の常識と持ち前の知識を駆使して、「神の娘」とあがめられるようになり、発見された王墓に葬られていた古代エジプトの王メンフィスと相思相愛となって、彼の王妃となって古代で生きることを決心する。少女漫画によくあるタイムスリップもののパイオニア的存在で、やはり第一号(ではないかもしれませんが)としての圧倒的存在感が魅力の作品です。
原作では、キャロルの美貌(最初はそういう設定ではなかった気がするが)と頭脳を求めて、各国の王たちがさらってはメンフィスが取り返すというパターンが繰り返されるが、ミュージカルではその第1回誘拐&奪還にあたるエジプト=ヒッタイト戦争(?)が描かれていました。メンフィスとキャロルが惹かれあい互いの気持ちを確認するきっかけになった出来事ですし、メンフィス以上の人気を誇るヒッタイトのイズミル王子が初めて登場するところでもあります。物語として一番コンパクトにまとまっているところですから、ミュージカル化するなら、そこだろうなと予想していた通りでした。
お話としては、まあフツーかな、という感じです。特に盛り上がるでもなく、つまらないわけでもなく。
『エリザベート』や『モーツァルト』で有名なリーヴァイ氏作曲。ひとつひとつは「かっこいい歌だな。」とか思うのですが、帰り道に頭をぐるぐる廻るほど記憶に刻まれるフレーズはなく(『レディ・ベス』の方がまだ残るフレーズがあったかな)。
よかったのは、ヒッタイトとエジプトの戦闘シーンでした。兵士役のみなさんの身体能力の高さに驚嘆!
衣装もどれもとても綺麗で、マントや布を効果的に使う演出はよかったです。
キャストの感想です。
原作があるものって、登場人物のイメージをつくりあげてしまってるので実写化が難しいですよね。わかってはいるのですが、独断と偏見で感想を。
メンフィス…浦井健治さん。ちょっと太って見えました(すみませんm(_ _)m)。もともと丸顔のせいか、衣装のせいか、ブーツのせいか脚も太かった(ように見えた)。原作では、メンフィスの俺様キャラ(俺様キャラを少女漫画界に確立したのも、この作品では?)にキュンキュンくるのですが、ミュージカルでは展開が結構早いのであまりキュンキュンきません。骨が折れそうなほどメンフィスが抱きしめるシーンなども、じっくり描いてほしかったです。
キャロル…宮澤佐江さん。かわいい現代っ子という感じはするのですが、あまり気品や知性は感じませんでした。現代人でありながら、古代で神の娘とうたわれるぐらいのオーラをもちあわせるキャロルという役を演じるのはなかなか難しいのかもしれません。
アイシス…濱田めぐみさん。
イズミル王子…平方元基さん。
ミタムン王女…愛加あゆさん。
この方々は、はまり役だったと思います。特に平方さん、声がいい!歌声に色気がありました。
ルカ…矢田悠祐さん。ルカっぽかったですが、欲をいえば、もう少し背がほしかったかな。
ウナス…木暮真一郎さん。一番ミスキャストだと思いました!木暮さんの演技には全く不満はありませんが、見た目がウナスじゃない!キャストで一番原作から離れた外見だったのでは?原作のウナスは結構小柄でかわいい(?)キャラですが、木暮さんは身長も筋肉もあり…(ウナスは軍人ですから本来はこっちが正しくて、細川先生の作画が軍人的ではないのかもしれませんが)。
また上演されるとしても、お金を払って観に行きたいかといわれれば否!ですが、久々に懐かしく『王家の紋章』の世界を思い出すことができました。
メンフィスが死ぬか、キャロルが古代でメンフィスを守り歴史を塗り替えるかしない限り、原作が完結することはないでしょう。細川先生は、登場人物に愛着をもたれているか、ファンの「メンフィスを殺さないで」コールに悩んでおられるかで完結される気配はないので、半ばあきらめてはいますが、原作の初期のファンとしては、細川先生がきちんと幕を下ろしてくださることを願っています。

