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健康で文化的なインドア生活

テレビが友達。たまに外出して観劇。


中国ドラマ「三国志〜趙雲伝〜」

2016年 全59話
おススメ度: ★★

三国志にラブ史劇の要素をプラスしたエンターテインメント作品だそうな。
(最近よく聞くラブ史劇って何なんでしょうか…)
私は三国志マニアではないので、ごくフツーの三国志知識しか持ち合わせていないのですが、おそらく趙雲の劉備に仕える以前のエピソードってほぼ謎なのでは?そこを想像力豊かに、フィクション満載でつくりあげたドラマ(だと思います。三国志マニアではないので自信がない。いや、三国志マニアの方ってとても詳しいっていうじゃないですか。ちょっと遠慮(^_^;)

劉備に仕えるまでの趙雲のエピソードは、私的にはショージキ退屈でした。
因縁つけられた山賊とごちゃごちゃ、趙雲をめぐる女たちのごちゃごちゃ(後宮の陰謀に比べればかわいいもんですが、そのB級・C級感がじれったい)などが繰り広げられたりが、わりと長かった…(-_-;)
三国志の趙雲といえば、名将で有名ですが、ドラマ初期の趙雲はさほど強くない。
死んだ父から託された護国神器の宝剣、倚天(いてん)剣と青釭(せいこう)剣を守る使命にめざめ、師匠と出会い、楽毅百戦術という兵法書を手に入れ、名馬と武器に出会って、そして準備万端整った状態で劉備に出会う。
このあたりから、有名な三国志のエピソードも出てきて俄然面白くなってきます。

三国志の人気キャラクター趙雲に焦点をあてて、有名なエピソードをちりばめつつ創ったフィクション!
という意図はよくわかるのですが、59話も要りません!
父を殺されて使命に目覚め、師匠と出会って強くなり、劉備に仕えて出世する!でサクッと創った方がよかったのでは?ラブ史劇に宝剣の陰謀にと欲張りすぎているため、ストーリーが緩慢になってしまったような気がします。残念。

 キャストについて。原作があるものはイメージがあるため、ただでさえ配役が難しいのに、今作は超!有名作品の三国志!しかし、あくまで主観ですが、キャラクター設定とその設定に沿った配役ができていたのではないかと思います。
 特によかったのは呂布&貂蝉カップル。呂布役は勇猛だが心無い奴・おバカに描かれることも多いと思いますが、今回はイケメンかつ誠実な男に描かれ、カオ・イーシャン(高以翔)がまたいいんです!貂蝉には、美女グーリーナーザー(古力娜扎)、この人がまた国を思う芯がある女性で、とにもかくにも美しい!似合いのカップル。董卓亡き後の貂蝉の行方はさまざまな説がありますが、このドラマでは呂布と添い遂げ、呂布が失脚した後は「秋の蝉のように」後を追う描かれ方もよかったです。
 劉備役にイェン・イークァンをキャスティングしてるのもいい。『傾城の皇妃』や『隋唐演義』で主役を演じた方ですが、誠実な親玉役が合いますね~この人は。劉備といえば、弱いし性格も「?」な場面があったりするのになぜか慕われるリーダー。でもこの人が演じると、問答無用で周囲がついていくのもうなずける。
 趙雲の敵、高則役John-Hoon。この方…小出恵介さんに似てませんか?紳士のようで実は腹黒、何を考えているかわからない、善悪はっきりしてる中国ドラマにはめずらしいタイプの敵役でしたが、小出恵介氏の例のニュースとあいまって失礼ながらより悪役感が極まって見えました。
 趙雲の恋人、ヒロイン夏侯軽衣役は少女時代のユナ。この配役は、別に彼女でなく専門の女優さんでよかったのでは(政治的配役?)?周囲の女優より、なんだかひとまわり細く、心配なほど。このヒロインは、途中で亡くなってしまいますが、それで終了でよかったのでは?のちに瓜二つの女性、馬玉柔としてユナは再登場しますが、あまり必要性は感じず、59話に間延びした一因かも。
 第一話で登場後すぐに亡くなってしまいますが、趙雲の母役は『宮廷女官若㬢』の八福晋明慧役シー・シャオチュン(石小群)さんが!趙雲役は、十四皇子だったケニー・リン(林更新)さんだし、なつかしい顔ぶれが嬉しい(*^^*)

作中に登場するアイテムについて。
①倚天(いてん)剣と青釭(せいこう)剣
 ドラマでは漢の護国神器とされていますが、三国志では倚天(いてん)剣は曹操の剣、青釭(せいこう)剣は夏侯恩から奪ったあと趙雲の剣となったとされているようです。

②百鳥朝鳳槍
 ドラマでの趙雲の武器。父の師匠である楽淵から譲り受ける。史実では…??三国志の武器一覧や、趙雲の武器と検索してもひっかからないのですが、中国語では何やら出てくる。でも読めない…。趙雲は槍の名手ではあるようなのですが、なぜ槍の名前より剣の名前の方がすぐ出てくるのか??

③楽毅百戦術
 敵も求める兵法書。楽毅は戦国時代の燕の武将。兵法書を残したという話は聞かないですが、諸葛孔明が尊敬する人物の一人でもあるらしいので軍略家なのだろう。

④夜照玉
 趙雲の愛馬。夜も照らすぐらいの白馬という意味?確かに趙雲の愛馬は白馬だったようですが、Wikipediaによると名前は「白龍」。じゃあ夜照玉という名はどこから来たのか?『水滸伝』に照夜玉獅子という白馬が出てくるそうなので、それと混同?『三国志演義』も『水滸伝』も明代に小説として完成しているので、どこかで混同されていったのかも?


2018年 宙組公演

新トップ真風涼帆の大劇場お披露目公演。
原作は、篠原千絵作の同名少女漫画。

物語は、古代ヒッタイト。現代の女子高生鈴木夕梨が古代にタイムスリップし、そこで出会ったヒッタイトの皇子カイルと恋に落ち、カイルの妃として、戦の女神イシュタルとして自覚するようになり、古代で生きることを決意するという、歴史的事実やタイムパラドックスなどを無視したお話である。
設定的には、細川智恵子作の『王家の紋章』と全く同じであるが、日本人になじみの薄いヒッタイトを舞台にしながら、ツタンカーメンやラムセス1世、ネフェルティティなどわりと有名な歴史エピソードをうまくちりばめて、無事に完結させたところが細川先生にも見習っていただきたい作品である。
と、原作の話が長くなってしまったが、原作が28巻と長編なので、舞台化、しかも1本立てではない1時間半のお芝居にどう集約するかが、ヅカファンとしても原作の読者としても、気になるところであった。

結果、うまくまとめたんじゃないかなあ、というのが私の感想である。
原作ファンは納得いかないんじゃないかとか(原作を使った別物と思って観たので大丈夫だった)、28巻の長編が1時間半におさめきれてないとか(エピソードはかなり削減されるだろうと思って観たので受け入れられた)、小柳マジックも今回は不発だったとか、いろいろな意見を読んだり聞いたりしたが、「いや、小柳先生、よくつくったんじゃないかな。」と。

オープニングに、登場人物が次々現れて主題歌(?)を歌うあたり、ミュージカルらしく、今から始まるぞという期待感が高まる。カイルの従者キックリが、ストーリーテラーとして登場するので、最初の現代発掘シーンはなくてもいいんじゃないだろうか。
現代からタイムスリップしてきたユーリ(鈴木夕梨)が、ヒッタイトの皇子カイルと出会い、物語は本筋へ。突如ミタンニとの戦いが始まり、戦に翻弄される女性たちの意見に動かされたユーリは、女性たちを守るために突如ミタンニの黒太子と戦う(現代の女子高生が剣をもって古代の軍人と互角に戦えるのは、舞台といえど設定に無理がある…原作の設定がそもそも無理があるのだが、原作では訓練して徐々にうまくなっていく感じはまだあるので、舞台でもなんかワンクッションあればよかったかも)。戦の女神イシュタルとして認識されるユーリ。しかし、皇帝暗殺の嫌疑がカイルとユーリにかけられ、カイルは地下牢クルヌギアへ(これは原作にはない)、ユーリはカイルの弟ザナンザとエジプトに逃亡。エジプトでヒッタイトのナキア皇太后とエジプトのネフェルティティ王太后の密約の証拠を手に入れたユーリは、ヒッタイトに戻り、地下牢を出て義勇軍を率いてエジプトと戦っているカイルと合流。ナキア皇太后を廃位して、カイルは皇帝、ユーリは皇后として即位する。

たしかに、原作のエッセンスを生かしながらよくまとめたとは思うが、物語を盛り上げるエピソードには乏しい。ナキア皇太后という恰好の敵役がおり、ユーリはもともと皇太后がカイルを殺し自分の息子を皇位につけるためにタイムスリップさせた生贄なので、もっとナキア皇太后vsカイルの皇位継承争いに徹してしまうとか…。
ユーリとカイルの間にいつ恋愛感情が生まれたのかも謎。
ルサファ・カッシュ・ミッタンナムワの三隊長の使い方ももったいない。原作では、登場人物一人一人にわりと背景やエピソードがあるので、それをすべて使うのは無理にしても、せめてキャラクター設定には生かせたのでは。この舞台では、3人の違いは見た目以外に見えてこない。
しかし、ときに「…。」な作品もあったりする宝塚のお芝居の中では、コンパクトにまとまった、まあ及第点の作品といえるのではないでしょうか。

キャストの感想。
カイル・ムルシリ…真風涼帆
 少女漫画の皇子様であることを裏切らないビジュアル。文句なしにカッコイイと思います。真ん中に立つことに何の違和感も覚えない、安定のトップスターぶりでした。ご本人の人柄なのか、真風さんからは優しさや包容力といったものがにじみでてますね。原作のカイルはもう少し色気というか、プレイボーイ感があるのですが、真風カイルはあたたかい皇子という印象で(脚本的にそうなのかもしれませんが)、これはこれで星風さんの元気者ユーリとのバランスがよくてアリでした。お姫様抱っこや、壁ドンなど、少女漫画の胸キュンポイントも軽々と(?)演じておられてGOODだったと思います(笑)。銀橋で芹香さんと殴り合うシーン、原作では地位も立場も捨てて一人の男として戦うという見せ場なのですが、全体的にノーブル・カイルだったのに、ここだけ男くさくて微笑ましかったです。

ユーリ…星風まどか
 ショートヘアーの鬘がよく似合い、元気で現代的な少女をうまく演じておられたと思います。芝居も歌もダンスもどれも不安がなく、安心して観ていられるトップ娘役というのはいいですね。真風さんとの並びも、予想以上にお似合いでした。
 
ウセル・ラムセス…芹香斗亜
 花組の観劇機会があまりなかったので、今回初めて認識しましたが、うまいですねえ(しみじみ)。芝居も歌も力みがなく余裕を感じさせて、しかもうまい。宙組新体制の大きな戦力だと感じました。宙組はわりとバランスよく男役がそろっていると思いますが(雪や星は路線もどきというか、路線崩れというか、言葉悪くてすみません、な男役が多すぎて、毎回役をあてるのに苦労してそうだし、若手が育ちにくい環境にあると思ってます)、やはり朝夏さんが抜けた穴は大きい。そこに芹香さんが加わったことで、盤石になったなと。組替えしてきたと思えないほどのなじみ具合でもありました。

今回役どころでおいしかったのは、キックリとティトではないでしょうか。
本来、三隊長やイル・バーニ、ザナンザ皇子ほどには目立たないキックリですが、この作品ではストーリーテラーを兼ねているため登場しても目立ちました。キックリを演じた凛城きらさん、『王妃の館』にしろ『神々の土地』にしろ悪役に近い役を演じておられるイメージだったんですが、今回はうってかわっていい人(そもそもキックリがいい人なんで)!違和感ないあたり、演技の幅が広い方なんだろうと思いました。
カイルとユーリに仕えるティト。ヒッタイトに征服されたハッティ族の長タロス(カイルは地下牢で彼に会い、ハッティの秘法製鉄技術を授かる。原作とは違う話だけど、エピソードのつなぎ方はよかった。)の息子。カイルとユーリに皇帝暗殺の嫌疑がかかったとき、自分が真犯人だと名乗り出て身代わりになる純真で明るい少年を、愛海ひかるさんが好演。ちょっとウルっときました。(原作では身代わりになるのはカッシュの恋人ウルスラの役どころですし、暗殺される皇帝もテリピヌですが、これも小柳先生うまくつなげた感じ。)
他は、ミタンニの王太子マッティワザを演じた愛月さんにしろ、ナキア皇太后を演じた純矢さんにしろ、ネフェルティティを演じた澄輝さんにしろ、それぞれの存在感とオーラで魅せておられましたが、使い方はもったいない。難しいとは思いますが、もう少し各キャラクターにドラマがあってもいいのでは。しかし、なんといっても一番もったいなかったのは、今回が退団公演となる専科の星条海斗さんではないでしょうか。静の役があまりご本人の持ち味に合ってるとは思いませんでしたし、ナキア皇太后と神官ウルヒの秘めた思いというか、同志以上の関係というかは、若いときだけでなく最後まできっちり描いてほしかった。そうすれば、もう少し星条さんの退団にふさわしい役となったかと思います。
(しかし、ミュージカル・オリエントって何なんでしょうかね。オリエント・ミュージカルでは違うんですかね(^_^;))

宙組誕生20周年、かつ岡田敬二先生のロマンチック・レヴュー・シリーズ第20弾(数え方は若干強引に20に合わせた感がありますが)を記念した同演のレヴュー『シトラスの風ーSunrise-』も、落ち着いて観ることができる作品でよかったです。
最近のショーは、拍手や参加を求められたり、場面転換がスピーディーすぎて、つらいときが…(歳ですね(^_^;))。その点、この作品は全編ゆったりした感じで安心できました(笑)。
初演も再演も映像でしか観ていなかったのですが、好みではないなと。
今回初めて生で観ましたが、やはり生は華やかですね。新コンビ誕生のキラキラ感が感じられる作品でした。
ただ、星風さんはノスタルジアの場面など大人っぽい役はまだビジュアルが追いついてないかなあと。歌は素晴らしかったですが。今後真風さんに磨かれて色気が出てくることを期待したいと思います(笑)。あと「明日へのエナジー」の場面の鬘は??ツッパリ不良学生?鬘センスも今後に期待したいと思います(笑)!
一際美貌が際立っていたのは、結乃かなりさん。今までどうして気づかなかったのか。お綺麗なかたですねえ。どの場面も思わず観てしまうお美しさでした。

2018年の宝塚歌劇団公演ラインナップが、次々と発表されている。

しかし…うーん(-_-;)

名作を再演すればいいと思ってませんか??

集客力のある作品、スターばかりではないでしょうし、劇場は埋めなければならない。
スターのお披露目、退団にはそれなりの作品を用意しなければならない。などなど。
劇団には様々な事情があるのだろうとは思います。

が、
しかし、
しかし、

過去に売れた作品だから、ファンが再演を希望しているから、あるいは生徒が演りたがっているからといって、同じものばかり再演すればいいってものではないでしょう!

月組『エリザベート』上演。愛希れいか退団。
私は月組も愛希さんも好きですが、これはミスキャストでは?
生命力の塊のような珠城さんに、黄泉の帝王トート?(美弥さんの方が黄泉の世界の住人オーラが漂ってます。持ち味という意味です、もちろん。)
そつなく演じられるでしょうし、本来のエリザベートは愛希さんのような生き生きした方だったかもしれませんが、正直愛希さんとエリザベートもあまり結びつきません。
フランツはまた専科からですか?ルキーニが月城さん?ルドルフは暁さん?ゾフィーは憧花さんで、こちらも退団ですか?(あくまで勝手な推測です。)
最近『エリザベート』は、トップ娘役の退団はなむけ専用作品となってしまっているのが気になります。

星組『うたかたの恋』上演。
これも完全なミスキャストではないでしょうか?
それとも、紅さんの新境地開拓のため、あえてチャレンジさせるという狙いですか?
紅・綺咲コンビの魅力は、現代的!スタイリッシュ!のはず。
そして紅さんの魅力は、アドリブを駆使したコメディでこそ輝くのでは?
再演というなら、『ME AND MY GIRL』とか、『メランコリック・ジゴロ』(でも紅さんはダニエルよりスタンの方が合いそうですが)でしょう!!
『うたかたの恋』といえば、今まで宝塚の正統派男役が演じてきた作品。
紅さんの持ち味は、正統派ではないはず。
たしかに舞台姿は美しいですが、しっとりした芝居の紅さんより、はっちゃけた紅さんを観たいです。

名作を再演するなと言いたいわけではありません。
月組や星組をけなしたいわけでもありません。
スターにも持ち味やカラーがあるのですから、安易に過去の名作をあてるなと言いたいのです。
今、この役者がそろったから、という満を持した状態で再演してほしいのです!
(最近でいえば、宙組の『アイーダ』でしょうか?まあ伶美さんの歌はアレでしたけど…)
でなければ、せっかく劇団とファンで大切にしてきた作品の価値が落ちてしまいます。
スター個別のファンなら「私が応援してきた○○さんがトートを演ってくれる!絶対観に行こ!」となるかもしれませんが、宝塚歌劇をトータルに愛するファンとしては、「また再演か。どうせまた演るだろうし、今回は見送るか。」となったりするのでは。

しばらくは、『エリザベート』でトップ娘役が退団するのも観たくないし、スカピンもミーマイもロミジュリも、うたかたもメランコリックジゴロも、ベルばらも観たくありません!(その組、役者に合ってれば観たいけど)
劇団運営の方々、そこらへん、どうかひとつよろしくお願いします!



2017年 宙組公演

このタイトルはワーグナーのオペラ『ニーベルングの指環』の「神々の黄昏」をもじってあるのでしょうか?
あれは北欧神話やゲルマン伝説の話…たまたま??

上田久美子先生の大劇場3作目。ロシア革命もの。
ロシア皇帝の従弟ドミトリーは、戦争中にもかかわらず、皇帝一家は僧ラスプーチンのいいなりで周囲から孤立しており、民衆の不満が高まっていることを憂慮している。首都ペトログラードに転任となったドミトリーは、皇帝一家と深く関わるようになる一方で、友人のフェリックス・ユスポフらからクーデタをけしかけられるようになる。ロシアを思うがゆえにラスプーチンを暗殺しクーデタを決行するが、その計画は皇女オリガによって父皇帝に告げられ、失敗に終わる。暗殺犯として、ペルシア戦線に送られたドミトリーは、皮肉にも革命を逃れ大戦後まで生きぬくことになる。

全体的に、「暗いなあ~(-_-;)」という感想。
その暗さが作品の質を高めているかといえば、そうでもなく。ただただどんより暗い…(ロシアだから?)。
退団公演だし、すがすがしい旅立ち感がもう少しあってもよかったのでは。
ロシア革命に、第一次世界大戦に、ラスプーチン暗殺事件と内容は盛りだくさんで、歴史好きでなければちょっと難しいのではないかと思いました(特にロシア革命史は難しいと思う)。
台詞のはしばしに説明はあっても、いきなりボリシェヴィキといわれても「?」て感じだし、革命のうねりもいまいち感じないし、物語は淡々と進んでラスプーチンは殺され、ドミトリーが帝位につくクーデタは失敗し、「あの土地は私達のものではなかった。あの凍てつく大地の上で私達は踊らされただけ。あれは神々の土地(大体こんな感じでしたよね(^_^;))。」と言われても、ねえ。
主となるエピソードをひとつに絞ったほうがよかった気がします(私的にはラスプーチン暗殺事件かな。陰謀を計画して実行するのは、緊張感がただよい盛り上がりそう)。
ロマノフ「たち」の黄昏と副題があるので、ロシアの危機に際して同じ一族でも選んだ生き方がちがった的な群像劇の意図があるかと思われますが、そのあたりが際立って見えてこない。
暗いし、いまいち盛り上がってこないし、なんか消化不良な思いが残る作品でした
(評判のわりに上田先生の作品、グッとこないんですよね。いや、今回と「星逢一夜」2作しか観てませんけど。期待しすぎなんですかね(^_^;))

キャストの感想。
ドミトリー・パブロヴィチ・ロマノフ…朝夏まなと
 史実では、大戦後も生き延び、ココ・シャネルとの噂もあったプレイボーイなんですね。正義感あふれ、潔癖で、国のために行動する青年貴族という役柄は、朝夏さんにピッタリだったと思います。退団前だと思うからか、すべてを悟った達観した人に見えてしまい…もっと若い設定でもよかったぐらい。若いがゆえに突っ走ることもある。でも脇が甘くて失敗する。という流れだったらもっとすんなり物語が流れたかも(これは脚本の問題ですが)。

フェリックス・ユスポフ…真風涼帆
 むかーし読んだ漫画『オルフェウスの窓』では、この人がラスプーチン暗殺の主犯でしたかね?今作では、実行犯はドミトリーで、彼に実行させ、その後帝位につかせるというシナリオをドミトリーに承諾させる友人という設定。なんか「シェークスピア」のジョージ・ケアリーと同じだな、と思ったんですが、いろいろ画策してるわりには思いが弱いというか、そこまでやりたいと思ってます?という感じ。真風さんの演技の質なのか、脚本によるものなのかは謎ですが。出てきた瞬間の男役オーラは、相変わらずピカイチですね。次回、真ん中に立ってどうなのか、楽しみです。

大公妃イリナ…怜美うらら
 皇后の妹(史実は姉?)で、若くしてドイツからセルゲイ大公(ニコライ2世の叔父)に嫁ぎ、未亡人となった。両親を亡くした(実は父の再婚が原因?)ドミトリー姉弟を育てる。ドミトリーが憧れている女性。セルゲイ亡き後は踊らなくなったが、ドミトリーに請われて2回踊る(それを見たラスプーチンに2人の両想いを指摘される)。前線で従軍看護婦をやったりしているが、皇帝の親族という誇りか、ドイツから嫁いだけどロシア人になりきろうとしていることか、甥の養育か、夫への貞節か、何を一番大切にして生きているのか、よくわからない。非常に美しい。ただそれだけ。何を考えてるかよくわからんこの女性に、なぜドミトリーがこだわってるのかもわからなかった(美人だから(-_-;)?)。とにかく暗い。作品が暗い理由の最たるものは、ヒロインであるこの人が暗いからかも(後ろの席のグラン・マダム達は「何言うてるかようわからんなあ。」とおっしゃってました…台詞回しがぼそぼそ暗いからでしょう)。日頃感情を見せない彼女が、ドミトリーになにかあれば火のように熱くなる、とか、ドミトリーにこんな影響を与えた、とかあってもよかったのでは。そうでないと、最後流刑されるドミトリーがわざわざ列車を飛び降りてまで会いにくる理由がわからないです。フツーだったら、ここで朝夏さんとデュエットか、一人ソロだよなあというところで歌がなかったので、そこは一安心。上田先生ご配慮ありがとうございました(;^_^A(ショーではいつもの地声でのけぞらせてくださいましたが。)

皇女オリガ…星風まどか
 皇帝ニコライ2世の長女。ドミトリーと親しくなって婚約するが、ドミトリーの心が自分にないと知って、皇帝にドミトリーたちのクーデタ計画をばらす?台詞の声が少し高すぎないかと思いましたが、若い皇女という感じはよくでていました。今回は、芝居よりショーのほうがインパクトに残りました。特に海底神殿の場面。ダンスうまいですねえ。どの場面も表情がとてもよくて、楽しんでる感が伝わってきました。真ん中に立つことを意識して見せることができる人なんだろうと思います。まだ幼いんじゃないかと心配でしたが、次期トップ娘役として真風さんのよいお嫁さんになってくれるであろう期待がもてました。

ラスプーチン…愛月ひかる
 「エリザベート」をへて、「王妃の館」では、いい3番手になったなあ、役の幅も広がったなあと思っていたのですが、芹香さんの組替えでどうなることやら(ていうか、花組は柚香さん2番手でいいんですか?!)心配です。愛月さんがどこかへ異動?たしかに、宙待望の生え抜きトップという感じはしないような…もとい、感想です。怪僧という感じは、ちょっと弱かった。浮浪者のオッサン的ラスプーチンでした。登場シーンで「おっ!」てなったんですけどねえ、もう少し悪役、難敵感があってもよかったかも。女性関係も怪しい噂のある人ですから、そこらへん妖しさ満開で色気あるラスプーチンでもよかったかもしれません(すみれコードにひっかかりますかね?)。

ゾバール…桜木みなと
 ジプシー酒場のダンサー。貴族や皇帝の専制政治に不満をもっていて、テロリズムに走っている。毛色がちがう役どころを演じている点で、今回オイシイ役だったのではないでしょうか?芝居でもショーでも、完全に4番手として格付けされましたね。伸びしろをまだまだ感じますし、将来生え抜きの宙トップになるのは桜木さんかもしれません。

気弱で優しい皇帝ニコライ2世を演じた松風輝さん(ソロもうまいですね!)、気位が高く周囲とうちとけられない皇后アレクサンドラを演じた凛城きらさん、皇女タチアナを演じた遥羽ららさん(彼女は写真で見るとあまり魅力的ではないのですが、舞台では華があって目立ちますね!)、皇太后マリアを演じた寿つかささんはもちろん、優しい近衛将校コンスタンチンを演じた澄輝さやとさん、その恋人ジプシーのラッダを迫力ある歌声で演じた瀬音リサさんが印象に残りました。

あと、近衛兵の任命式やラスプーチン暗殺で使われた大階段に赤い布の演出が非常によかったです。
ジプシー酒場で、民衆が踊り狂いテーブルの上に押しやられたオリガが「ここは怖いわ…。」という場面も(ロシアの民衆の底力の怖さと革命のうねりがよく表現されてたなと)。

お芝居のくらーいムードは、ショー「クラシカル・ビジュー」のキラキラが打ち消してくれました。宝塚と宝石って合いますよね。以前にも宝石にちなんだショーがあった気がします(「ジーザス・ディアマンテ」は印象に残ってます)。ダンサー朝夏まなとなので、コレ!と記憶に残るダンスシーンを残してあげたかったような(あったら申し訳ない)。柚希さんもダンサーのわりに、記憶に残るショーがあまりなかったような(「パッショネイト」のカポエイラはすばらしかったけど)。ラインダンスで、おそらく夢白あやさんだと思うのですが、かわいくて美脚な娘役さんが目立ってました。

大劇場5作でお別れとはさみしいですが、朝夏さんの表情を見ていると、やりきった感がただよっているので、これでいいのかなと。次の宙組に期待します。



2017年 月組公演

世界の古典デュマの『三銃士』をもとに、新たな発想で描く浪漫活劇(アクション・ロマネスク)。
古典とはいえ、原作自体がいま読んでもかなり面白い作品で、数々映画化・舞台化されてもいる。
宝塚でも近年「仮面の男」(これは『三銃士』の続編だけど)が酷評されたことは記憶に新しい(児玉先生がやりたいだろうことはよくわかったけど、表現がいまひとつだったのと、ヅカファンには受け入れにくい感じだった気が…)。
満を持して(?)小池先生、またニクイところを選んできましたね!
夏休みにお子様が見るにもピッタリ!今の月組にピッタリ!な娯楽作品でした。
見終わって単純に「あ~楽しかったなあ~」で帰路につける作品はいいですね。

舞台は、ルイ14世支配下のフランス。
(原作では、三銃士が出会って活躍するのは、父ルイ13世の時代なので、14世のころには三銃士は中年のはずなのですが、まあ三銃士の登場人物を借りた創作なので)
ルイ14世といえば、有名なのが鉄仮面伝説。ルイ14世は実は双子で、双子の片方に鉄仮面をかぶせて幽閉していたという(とよくいわれますが、鉄仮面の囚人の正体は不明)。
鉄仮面伝説をうまくからめ、男女の双子は不吉ということで女の子が捨てられる予定が、手違いで男の子が捨てられてしまい、本物の後継ぎである男子を捜しながら、女の子がルイ14世として即位しているという設定。
ルイ14世は剣術よりバレエに夢中(太陽王の由来もバレエで太陽神アポロンを踊ったから、というほどの人)。剣術指南役として、銃士隊一の腕をもつダルタニアンが任命される。
ダルタニアンはひょんなことから、ルイ14世の正体を知ってしまい、彼女をルイーズとして愛するようになる。ルイ14世もダルタニアンを愛するようになり、実権を握る宰相マザラン一派をしりぞけ、本物のルイ14世を捜すことに。
アクション・ロマネスクというよりは、アクション・コメディという感じ?
肩の力をぬいて観れる作品でした。
本来の原作では、敵役リシュリュー(ルイ13世の宰相)に女スパイのミレディも加わって、三銃士もフランスからイギリスへと駆け回り苦労をするのですが、小池版三銃士では全体的にコメディ色が強く、マザランもさほど難敵ではないし、男の子の双子も結構都合よく見つかります。
が、夏休みお子様向け歌劇ということで、これはこれでいいのかなと納得できる面白さはありました。

キャストの感想。
ダルタニアン…珠城りょう
 プレお披露目の「アーサー王伝説」のときは、トップというにはまだ弱いなあという印象でしたが(近くを通られた際に、すごくいい匂いがしたのもすごく印象に残ってます笑)、「グランドホテル」をへて(私は観てませんが、知人は「誰がトップかわからん。」と言っていたので、まだ弱かったのでは?)、今作では「頼もしくなったな!」と感じました。龍真咲オンステージ時代よりは、みんなでいい舞台をつくりあげようという珠城政権の方が好感をもって観れました(あくまで独断と偏見です)。誰が真ん中に立つかで組の雰囲気って変わりますよね。「一人はみんなのために」という今作は、今の月組にとても合ってると思いましたし、今後の月組に期待大です(でも次回作は観に行きませんが。作品に魅かれないので(^_^;))。本来新入りであるはずのダルタニアンですが、今作ではアニキって感じ。珠城さんの持ち味もアニキって感じですね。おそらくその雰囲気が、今の月組のいい雰囲気の舞台づくりを促してるのだと思います。演技・ダンス・歌どれも平均点て感じなので、アニキ以外に何か突出した持ち味が加われば、さらにトップとして強みが出てくるのではないでしょうか?

ルイ14世(ルイーズ)…愛希れいか
 「アーサー王伝説」のときは、とってもうまかったのですが、トップ歴もさすがに長いな、ちょっと飽きたな、もうちょっとフレッシュな顔で観たいかもなんて思ったものです。が、今回の役はとっても可愛らしいうえに、フレッシュ!男装の美少女という役が、男役から転向した愛希さんによく合っていました(ていうか、他の人ではできないぐらい)。珠城さんとの幼なじみのようなコンビもよく似合ってると思いました。彼女があまりに突出してる上に、コンビがよく似合っているので、他を考えにくいのですが、やはり添い遂げではなく、先に退団なんでしょうか?下級生娘役の育成も、ぜひお願いしたいものです。

三銃士(アラミス…美弥るりか、アトス…宇月颯、ポルトス…暁千星)
 三銃士の配役を考えると、元修道士で色男のアラミスは美弥さんでしょう。アトスは本来三銃士で最もおいしい役なので、宇月さん?!と思ったのですが、小池版では落ち着いた先輩役という感じで、さほど重要でもなかったのでまあ納得。ポルトスも、本来は体育会系の(ちょっとおつむが弱いぐらいの)怪力男で描かれる役ですが、今作は腕に覚えのある弟分という感じだったので暁さんがかわいく演じていました。暁さんもジャニーズ的でいつものびのびかわいらしいのですが、男役としての幅を考えるとそろそろ大人な雰囲気もかもしだしてほしいところです。

ベルナルド…月城かなと
 宰相マザランの甥で護衛隊隊長。原作には出てこないし(リシュリューの腹心でダルタニアンの好敵手ロシュフォール伯爵が近いかな)、マザランの甥で名前があがってくる人物でもないので、小池先生の創作なんでしょうか?雪組から組替えしてきた第一作。もう少し重要な役なのかと思いましたが、二枚目に届かない二枚目半というか三枚目?敵役なのにコメディだからか、マヌケさが際立つ役でした(少女漫画にあるような、主人公をしのぐ魅力の敵役って宝塚では記憶にありません。やはりトップを目立たせるため?月城さんは非常に美貌な人なので、ヒロインが主人公と迷うぐらいの魅力的な恋敵役とかで観てみたい)。そんな役柄を緩急つけてうまく演じておられたと思います。ゆくゆくは二番手にするつもりなのでしょうが、美弥さんがいるからぼかしたつくりになっているのでしょうか?名前に「月」はつくものの、日本物もよく似合い雪の御曹司という感じだったので、今作を観る限りでは、組替えのメリットはまだ感じませんでした。あと、やはりスタイルがよろしくない。雪では彩風さん、月では暁さんが超絶スタイルの持ち主なので、並ぶと見劣りしてしまいます。美弥さんと並んでも、脚の長さが同じくらい?顔はいじれても、スタイルっていじれないですもんねえ。顔は申し分ないのに、残念です。

モンパンシエ侯爵夫人…沙央くらま
 月組専科?というぐらい、専科異動後も月組への出演が多いっすね。沙央さんのせいではないですが、これでは専科異動の意味がないのでは?彼女の役柄を演じられる月組生がいないのでしょうか?もとい、沙央さんの演技は素晴らしかったですし、ほくろも愛らしかった。原作はもちろんのこと、あまり歴史でも出てこない人ですし(私なんぞはルイ14世の愛妾モンテスパン夫人と完全に間違えていました)、この作品にもはたして必要な登場人物か?とは思いましたが、沙央さんはよかったです。

マザラン枢機卿役の一樹千尋さんはいつもながら手堅い。
マザラン・ガールズ(姪たち)は、史実ではマザランの策略でルイ14世の愛人になったりしますが、今作では十把ひとからげ的な描かれ方なので、私でも見分けがついたのは、早乙女わかばさん美園さくらさんぐらいでした。早乙女さんは、やはり美貌が目立ちますね~。歌がどうとか言われても、舞台において華ってやっぱり重要なんだなと思いました。
母后アンヌ役の憧花ゆりのさん。声が特徴あるので、どの役をやられても同じにみえるのは私だけ?上級生娘役は組にいてくれると重宝するのはわかるんですが、個性的過ぎてもうお腹いっぱいです。
ルイ14世の妃となるスペイン王女マリア・テレサ役、海乃美月さん。スペイン語をまじえた台詞回しもうまく、目立つ役どころでした。うまいんですが(「アーサー王」のアニメ系?魔女もうまかった)、学年も上がってきちゃってますし、もともと大人顔ですから相手役を選びそう。愛希さんが退団しても、珠城さんの後妻はないような気がします。
あと目立った人といえば、やはりルイの双子の片割われジョルジュ役の風間柚乃さんでしょう。169㎝ということですが、やや身長が低いように見えたのが残念でしたが、隠し切れないオーラがありますね。月城さんと系統が似てる顔なので、かぶってくるかもしれませんが、今後が楽しみなスターさんです。