オリエンタル・テイル『壮麗帝』
2020年 宙組ドラマシティ公演
作・演出 樫畑亜依子
最近はオスマン帝国ブームなのか?
トルコ発ドラマ『オスマン帝国外伝』は日本でも好評を博し、シーズン4まで製作されている。
篠原千絵さんの漫画『夢の雫 黄金の鳥籠』もまさにこの作品と登場人物は同じ。
そんなオスマン帝国ブームに宝塚も乗ったかどうかはわからないけれど、題材としては非常に面白いところなので、どんな宝塚版オスマン帝国物語ができるのか楽しみにしていた。
時代は16世紀、オスマン帝国全盛期のスルタン、スレイマン1世(壮麗帝)の時代。
スレイマン1世は、君主でありながら親友と愛する女性を得ることができた幸運な人物(塩野七生さんの本によると)。
しかし、親友イブラヒムはやがて処刑される。そしてその黒幕はスレイマン1世が唯一愛した女性ヒュッレムではないかともいわれている。
この3人の関係性をどう描いていくかが作者としては腕の見せどころだと思うが、宝塚版の場合は、イブラヒムもヒュッレムもスレイマンを想う気持ちは同じながら、ヒュッレムの場合はスレイマンと同じ方向を向いて生きていこうとするが、イブラヒムの場合はスレイマンの治世のために時には意見を違えても信じることをやるという設定になっていた。内政重視のスレイマンに対し、ヨーロッパ遠征を重視するイブラヒムは、背後の安全確保のために宿敵サファヴィー朝とひそかに同盟を結ぼうとするが、実はサファヴィー朝は同盟締結の席でスレイマン暗殺を目論んでおり、イブラヒムはその責任をとって処刑されるという筋立て。
全体的な感想。
ミュージカルなんだからもっと歌があってもいいような…互いに想いあいながらもすれ違っていく3人の心情を、ぜひ歌で表現してほしかった。単に好みの問題ですが、初演花組『ブラックジャック』の3人で歌う場面が好きなもので(^_^;)
また、イブラヒムが処刑されてからが少し長いなと。その後の話をサクッとやって終わってもよかったのでは?
面白い題材を選んでいるし、役者もそろってるわりに、ストーリーがやや緩慢で盛り上がりに欠けたように思います。
キャストの感想。
スレイマン(桜木みなと)
全方位無敵ですねー。押しも押されぬ3番手スター!
別箱公演を任されるだけある安定感でした。
そしてあふれんばかりの色気!ラブシーンもうまい(笑)!!
髭もよく似合ってました。
ヒュッレム(遥羽らら)
スレイマンを惑わす悪女として語られることが多いヒュッレム。その美悪女のイメージで夢白さんを想像していたが(ほめてます)、このヒュッレムできたかーと。もともとヒュッレムは「朗らかな者」とかなんとかいう意味で、スレイマンがさずけた名前。おそらくいつも笑顔で楽しい女性だったんだろうと思います。そのイメージ通りのヒュッレムで、いつも笑顔でスレイマンを慕う姿がかわいかった。
遥羽さんは写真で見るより、実際に舞台で動いて魅力的に見えるタイプですね。
イブラヒム(和希そら)
とにかく主演3人の実力が安定していて、トップコンビと2番手がいない公演とは思えない落ち着き感だった。
このままずんそらで、トップと2番手すぐいけるなという感じ。
アフメト(鷹翔千空)
スレイマンに反乱を起こす裏切り者。そんな悪役を任されるまでになったんだなあと灌漑深く(笑)。
今回一番挑戦だった人ではないでしょうか。
頑張ってるなーとは思いましたが、まだまだ迫力不足。この経験値を今後の糧にしてほしいです。
他に主要な役どころとしては、スレイマンの母である皇太后ハフサに凛城きら(この方地味に女役多いですよね)、スレイマンの第一夫人マヒデヴランに秋音光、スレイマンの妹でイブラヒムの妻ハティージェに天彩峰里。
男役が演れる役が少ないのか、押し出しの強い娘役がいないのか…両方?ハフサやマヒデヴランは男役の方が演じてこそ迫力が出る役かなとは思いますが、秋音さんの方はそこまで印象に残らず。
ハティージェはトルコ版ドラマでは、前半はイブラヒムに恋する優しい皇女、後半母ハフサが死んでからはヒュッレムの手強い敵として描かれている。漫画版では、イブラヒムとヒュッレムが想いあっている設定なので、ハティージェはイブラヒムではなくアルヴィーゼ=グリッティ(『ヴェネツィアの紋章』の主人公ですね)と密かに愛し合っていてヒュッレムとは友人。宝塚版は、ドラマの前半に近い設定だったように思う。
観劇が難しい状況になってから、久々にライブ配信で観ることができた宝塚。
表情もよく見えるし、自宅で気軽に視聴できるので、これはこれでいいなあと。
しかし舞台はやはり生が一番!早く自由に観劇できる日が来ることを願います。
興奮冷めやらぬ状態で感想を書き始めましたが、途中保存してまた書こうと思っている間に月日は経ち…細部はもう忘れてしまいました(^_^;)観劇感想というか、備忘録ってことで。