ミュージカル『オーシャンズ11』
2019年宙組公演
2011年星組、2013年花組につづく再々演。
2011年星組新人公演でダニーとラスティーを演じた真風・芹香の2人が、満を持して(?)本役として挑んだ公演。
105期初舞台生のお披露目公演でもあるという、なにかと話題性の多い公演だった(チケットも取りにくかった…)。
星組初演はDVDで、花組再演は一度だけ観劇しているので、特に花組の記憶がほぼありませんが、記憶の網を手繰り寄せて比較しつつ、感想をまとめてみたいと思います(ちょっと時差がありますが(-_-;))。
全体的に。
男役ならば出てみたい作品だろうなあと、あらためて思いました。
オーシャンズのメンバー1人1人に見せ場があり、一幕ラストのメンバー勢ぞろいの場面のカッコよさ。
男役の層が厚く、長身男役が多い、今の宙組にピッタリの作品だったのでは?
キャスト別には、うーん、なかなか全員がベストキャストとはいきませんな(個人的好みにはなりますが)。
ダニー・オーシャン(真風涼帆)
前評判や、いろんな観劇評では絶賛という感じでしたが、期待値が高かったためか、いまひとつ萌えませんでした。似合うだろうと思っていたスーツがあまり似合っていない。ダニーの衣装は、胸元が開いているせいか、顔が大きく見え…。再々演なため、今までのダニー達の台詞回しを聞いていることもあり(比較対象があったため)、真風節がいつも以上に気になり…。今回観て思ったのは、真風さんの容姿や台詞まわしには、現代劇より時代がかったコスチュームプレイが合っているのではないかと(前2作のビジュアルはとてもよかったですし、真風節も気になりませんでしたから)。あと真風さんの演技は、ご本人の人柄か真面目さが前面に出てくるため、ちょい悪詐欺師という感じがせず、うっかり誰かの罪をかぶって逮捕されてしまったお人好しといった感じに見えました。
個人的には、やはりダニーは柚希礼音が一番合っていたと思います。柚希さんはやはり持ち味が大きい。踊っているときには周囲まで巻き込む空気感があるというか、そのオーラがオーシャンズのリーダー、ダニーを体現していたと思います。髪型もスーツの着こなしもスタイリッシュだった。
一度しか観ていないにもかかわらず、その色気がいまだに思い出せるほどすごかったのが、蘭寿ダニーです。花組のダニーとテスが一番夫婦というか恋人同士の関係性は出ていたように思います。
テス・オーシャン(星風まどか)
某観劇評に、「初演の夢咲ねねに台詞まわしがそっくり」とありましたが、本当にその通りでビックリしました!普通にテスの役づくりをするとそうなるのか、初演DVDを観すぎたのか、小池先生の好みなのか、何故?!
以前のお2人はお歌がいまひとつな方々だったので、今回初めて「歌姫ディーバのテス」を観ることができました。が、ビジュアル的には…うーん…似合ってなかったですね。星風さん素顔もかわいいし、ポスターや写真をみる限りメイクもお上手で、静止画像はいいんですが、生で動いてる舞台を観ると、やはりこういう大人な役は合ってないんですよねえ(前の『異人たちのルネサンス』でも思いましたが)。衣装もいまひとつ、なんかふくよかに見えてしまうというか…。しかし最初の登場のエコプリンセスのグリーンの衣装は、かわいそうだと思いました。スリットのところにひだを入れるなんて、アイドルじゃないんですから。彼女の幼さをより目立たせてしまっていたように思います。これは衣装デザインのセンスが悪い。前作のお2人のように、シンプルなドレスでよかったのに。
なんでもできる星風さんですが、今までのところなかなか持ち味を活かせる役に巡り合えていないように感じます。『神々の土地』のオリガのように気丈な王女タイプがいいのかなあ(観てないですが『黒い瞳』のマーシャは合っていたのでは)?真風さんの魅力が大人っぽいところだからといって、星風さんに背伸びさせる必要はないと思います。お2人には、ぜひコスチューム・プレイで若いけどしっかり者の王女と、大人の王子(王?)の歳の差カップルを演じてほしいと思います。
ラスティー・ライアン(芹香斗亜)
今回のベスト・キャストの1人!今まで観たラスティーで一番よかったと思います。今までで一番ダニーの相棒として認識できました。涼さんの華奢さがそうみせるのか、柚希ダニーの存在感がありすぎるのか、涼ラスティーは線が細い、弱そう、ダニー1人で大丈夫なのでは?という印象でした。北翔ラスティーは安定感はあったように思うのですが、専科からの特出だったため仲間というより強力な助っ人感があったように思います。
そして、また前髪タラリに紫スーツのチャラ男感がよかった!余裕あるラスティーでした。
テリー・ベネディクト(桜木みなと)
いつ頃からか、抜群の安定感をみせるようになった桜木さん。テリーとしても、及第点だったと思います。欲を言えば、それ以上でもそれ以下でもなかったですが。予想を上回るテリーというわけではありませんでしたが、残念な出来でもなかった。でもそれってスゴイことでは?今後どんな役をあててもそれなりのクオリティに仕上げてくれるだろうという期待感。見た目は大空祐飛に近いけど、属性は陽性で組を明るくしてくれるいいトップスターになりそうです。このままスルスルと宙組初の生え抜きトップになるのかもしれません。
紅さんは狂気をはらんだストーカー・テリー。ロミジュリのマキューシオもそうですが、イッちゃってる演技はうまい(どれも同じではあるけれど)。
望海テリーは、正直あまり記憶にありません(花組は本当に1回こっきりしか観てないので)。望海さんは優等生演技というか、型にはまった演技という印象をいつも受けます。決して下手なわけではないのですが、歌がうまいためそちらに意識がいってしまうのと、やはり真面目な人柄によるものかなと。なので、観る側としてはあまり面白くありません。記憶にないのはそのせいか?はっちゃけた役をするといいのかも(観てないだけでやっておられるのかもしれませんが)。ドン・ジュアンはその意味で枠を超えていたのでよかったです。
ソール・ブルーム(寿つかさ)
すみませんが、これはもう未沙のえるさん一択です!あの独特の空気感!飄々として、人を食ったような感じで、絶妙の間で、とにかく面白い!
寿さんは、うーん…なんか全体的に不機嫌?怒ってる?と思わせる演技で、笑えませんでした。
クイーン・ダイアナ(純矢ちとせ)
よかったです!!今回のベストキャストの1人!さすが姉さん!ふりきった役づくりですねえ(笑)。ただ、ダイアナってテリーの愛人なんですよね?そうは見えなかった(笑)。今までの白華ダイアナ、桜ダイアナは若いテスにテリーの寵愛を奪われたことにヒステリックな美女で、テリーの愛人とうなずけましたが、純矢ダイアナは…いや、私は好きです(笑)!!
フランク・カットン(澄輝さやと)
澄輝さんのもつ正統派男役のオーラ、最近の男役に少ないノーブルな雰囲気が好きでした。最後の役はちょっとそういう雰囲気ではありませんでしたが、見せ場がある役でよかったなと。『神々の土地』の純粋な貴族役が、私的にイメージする澄輝さんにピッタリの役でした。個人的には、『王妃の館』の堅物刑事も好きでした。
バシャー・ター(蒼羽りく)
澄輝さんと共に、宙組の層を厚くしてくれていた男役スター。『王妃の館』のクレヨン役で、器用な人なんだなと見ほれたのを覚えています。今回も手堅く演じておられたなと。
ライナス・コールドウェル(和希そら)
今回のベストキャストの1人!一番ライナスのイメージにピッタリでした。もともとの持ち味が少年ぽいですし、元気者。偉大な父親の影から脱け出そうとジャンプするライナスに、最もハマっていたと思います。
その他で目立ったのは、やはり新人公演主演コンビでしょうか。のびのび演じる鷹翔千空、舞台映えする美貌の夢白あや!2人共出てくるとやはり目立ちました。