☆ISKA認定世界ムエタイバンタム級王座決定戦3分5R
ダニエル・マッグウォーン(同級1位/イギリス)vs 志朗(同級5位/日本・治政館)
ずっとこの時を待っていた。
日本のムエタイ55㎏級の切り札が
ISKA世界王座に挑戦!
──新春第一戦で待望のトリ(最終試合)に出場することになりました。
志朗 ずっとこの時を待っていました(微笑)。王座決定戦ということでのメインなので、ちょうどいいといえばちょうどいいタイミングですね。別にメインだからといって、いつもと違う気持ちでリングに上がるわけではないですけどね。
──対戦相手が直前になってISKA世界ムエタイバンタム級王者のディーン・ジェームスから同級1位のダニエル・マッグウォーンに変更になりました。
志朗 ディーン・ジェームスは試合を流すことで有名な選手だったので、ある程度予想はしていました。だから試合が決まってからも先方に何度もちゃんと試合ができるかどうか確認していたんですよ。大丈夫という答えをもらっても半信半疑だったけど、まさか代わりにダニエルが来るとは思ってもいませんでした。
──以前から知っている選手だった?
志朗 2年前から知っている選手です。タイでは(最大手の)ペッティンディプロモーションが外国人選手としては初めて専属選手として契約したことで騒がれた選手でしたからね。その頃から闘いたいと思っていました。タイでは118~120ポンド(54.43㎏)で闘っている選手なのでやらないとは思うけど、いつかはどこかでやるだろうなと予感していました。ただ、このタイミングで闘うとは思ってもいなかったですね。
──生で試合を見たことは?
志朗 映像で見たことは何度もあるけど、会場で見たことはないですね。
──どんなタイプ?
志朗 ムエタイはできます。右ローと右ストレートは結構強い。ダニエルも小さい頃からムエタイをやっているなど、自分とは似たようなところがある。9歳からは(タイの)サシプラパージムで練習しているので、(日本で志朗のコーチを務める)ガンさん(ガンスワン)もよく知っていると言っていました。──ガンスワンもサシプラパー所属で、志朗選手も大昔はこのジムで練習していましたよね。言い換えると、サシプラパージムでベースを作り上げた者同士の一戦ととらえることもできるわけですね。
志朗 だからガンさんたちは大いに盛り上がっていますよ(微笑)。いまはイギリスを主戦場にしているみたいですけどね。
──どんな試合をイメージする?
志朗 ローにしろパンチにしろ、最初から利かせていきたい。ダニエルは前に来させると調子に乗るタイプなので、そこだけは気をつけたい。TOMONORI選手をKOしたポール・ダ・シルヴァとの試合も一方的だったので油断はしない。パンチを狙っている部分もあるので、パンチで倒せたらいいなと思いますね。
──ISKA世界王者になることを想定したら、次に日本で闘いたい相手は?
志朗 寺戸(伸近・ISKA世界バンタム級王者)選手や一戸(総太・WPMF世界フェザー級王者)選手と55㎏級で闘いたいですね。とにかく強い相手と闘ってみたい。一戸選手はもう体重を落とさないですかね?
──それは本人に聞いてみないことには。ところで2016年の目標は?
志朗 タイでは新しいジム(ヌンポンテージム)に移ったばかりなので、2月あたりにラジャダムナンでやってみないかと言われています。タイでの自分はまだ途中にいるという感じで、しっかりと自分の目標にしているところで闘っていないという思いもある。
──現在タイでは梅野源治選手や福田海斗選手が頻繁に2大スタジアムにリングに上がっています。意識するところは?
志朗 う~ん、闘い方が全然違うし、とくに意識するところはないですね。同じ日本人がやっているなという感じでしか見ていない。すごいなとは思いますけどね。
機は熟した。昨年5月、志朗はローキックでネクター・ロドリゲスの心を折って4RTKO勝ちを収めた。この一戦はISKA世界ランキング査定試合として組まれていたため、志朗は晴れてISKA世界ムエタイバンタム級(55㎏級以下)5位にランクインすることになった。それから8カ月、当初はディーン・ジェームスが保持していたISKA世界ムエタイバンタム級王座に挑戦する予定だったが、ジェームスがケガを理由に王座を返上したため、1位のダニエル・マッグウォーンと空位の王座を争うことに。
ダニエルはタイ最大のムエタイ興行会社「ペッティンディプロモーション」が初めて契約した外国人選手として話題を呼び、現在は欧州のメジャーなムエタイイベント「Yokkao」や「Smash」にレギュラー参戦中という掛け値なしの強豪だ。両者ともにストレートやローを得意としているだけに、中盤までは探り合い削り合い中心の攻防で、終盤お互い一気に勝負をかけてくるのではないか。
(スポーツライター 布施鋼治)