今年の春闘では大手各社が満額回答以上を、続々と出す経営者たちに不安を覚える。30年余もやるべきことをやってこなかった彼らが、突然何かに気づいたのか、自社の経営状況を十分検討もせず、周りを見ながら我も我もと同じ行動を取る。その危うさは何かの条件が次に突然襲うと、又皆一斉にブレーキを踏むのだろうと思う。どうして今年は満額以上の回答なのか?一番の要因は人手不足の人員の確保だという。有能な社員をつなぎとめたい、と考え始めたのだそうだ。30年間無視していた条件を今は、50年代以来のインフレが世界を襲っていることもあり、率先して行う。他社の動きを見て同じ行動を取る、そんな経営はだれでもできる。それは経営者とは呼ばない。
先日も10年ぶりに労働組合の連合がデモを組織したと、ニュースが報じていた。国会近辺を100人ほどがプラカードやのぼりを持って、リーダーに引率され“チンアゲ”“チンアゲ”と優しい声で行進していた。リーダーが“ここではプラカードやのぼりは降ろしてくださーい!”というと、みんな一斉に指示に従う。労働組合は経営者連合と労働者の生活を豊かにするため、必死に戦うのが普通だ。欧州ではどの国でも、生活を不安にさせる政治をすると、抗議しデモをする。それは時には参加者にけが人が出たりする。その要求は真剣で問題意識は確かだ。フランスの年金改正の反対デモを見ればわかる。日本の連合のデモ行進を見ていて、あれがデモなの?と思った。“チンアゲ”“チンアゲ”の声も、そう日本男性の好きな趣味の別の意味に、茶化したりしてみたくなる。
アベノミックスは当初、その金融緩和政策で景気を刺激し、まず金持ちがさらに金持ちになれば、貧しい下流にも金が回ってくる、と説明されていた。しかし10年たっても金は下流には流れてこず貧困が深まっただけだった。トリクルダウンと呼ばれたけれど、トリクルダウンしてきたのは、上からのモラルハザードだけだったようだ。
最近の日本では、もう国民、労働者、経営者、政治家、すべての指導層に真剣みが感じられない。米国人の投資家ジムロジャースが“あなたが10代なら、日本から逃げろ!”という意味がよく理解できる。
