クリスマスも終わり,2010年も後少し。
大掃除や年越し準備に忙しくなってきましたね。私も,昨日,ホームセンターに大掃除道具を買いにいってきました。明日から徐々に掃除をして,一年の汚れを取り除き,綺麗な状態で年神様をお迎えしたいと思います。
さて,2010年は,国連が定める国際生物多様性年でしたが
生物多様性は,1980年代の後半に,bio(生物)と diversity(多様性)を
合わせて作られた造語です。
生物多様性は大きく4つにわけられています。
1.種の多様性
(多種の生物が共存することでうまれる多様性)
2.遺伝的多様性
(同じ種でも棲んでいる地域により環境が変わり遺伝子にも違いが生じている)
3.分布の多様性
(ある地域に棲む同じ種の個体は,さらにいくつかの局所集団に分かれて生活を
している。その局所集団で時々個体や遺伝子が交換されることで種が維持さ
れている。)
4.景観の多様性
(例えば里山は,水田・ため池・川・雑木林など隣り合う生態系が関係しあって
一つの大きな生態系を形成している。これを景観という。)
わかりやすいのは1番でしょう。多くの種類の生物がいることです。
多種多様な生物がいる方が多様性が高いのです。
3番と4番は,ちょっと難しいですね。今回はそんなものもあるのだと
触れるぐらいにしておいてください。
さて,間違えた捉え方で1番を実行すると,2番を脅かす結果になります。
例えば,神戸周辺で昔から生息していたホタルを東京に放す。
そうすると確かに東京は生き物の数・種類は増えます。
でも,神戸のホタルと東京のホタルが交雑していくと
もともと東京で長く生息していたホタルの遺伝子が神戸のものと混じってしまいます。そうすると,それぞれの地域の環境に適したその土地固有の遺伝子が失われていくことになります。
これは,地域に合わせて変わってきたホタルの遺伝子の多様性を失い
その生物が歩んできた進化の歴史を失うことにつながります。
ちなみに,自然状態の遺伝子組成をい乱すことを「遺伝子汚染」といいます。
実は,この遺伝子汚染が引き起こされかねない行為が,今年もありました。
COP10が開催されていた時期,ツキノワグマの人里への出没が話題にいましたね。原因として,「クマのエサであるドングリ類の不作」が第一に挙げられていました。(他にも様々な要因がありますが)
だったら,山にドングリを持っていけばいいと,ある保護団体が
山にドングリをばらまいていました。
生態学的な見地から言えば,この行為は非常に危険です。
万が一,持って行ったドングリが芽をだせば・・・。
また,ドングリ内には虫も隠れています。万が一,その虫が繁殖したら・・・。
この行為は,種を守ろうとして遺伝子汚染を広げ
最終的には,種の多様性を破壊してしまうことにつながってしまうのです。
熊に対するドングリ散布行為で考えられる影響を総括した文章を読みたい方は
以下のURLにアクセスしてみて下さい。
(わかりやすく書かれています。)
http://www.nature.museum.city.fukui.fukui.jp/shuppan/kenpou/51/51-57-62.pdf
「生物多様性を守る」ことは,世界の共通認識です。立場の違いがあり
一筋縄ではいきませんが,生物多様性を守ることを否定する人はいないでしょう。
われわれPCOの世界でも,「生物多様性を守る」という意識を持つことは大切です。
仕事がら生き物を殺すことが多く,その分,生物多様性に影響を与えることがあり得ます。
特に,駆除用薬剤が環境中に流出してしまえばその影響は広範囲にわたります。
ゴキブリを駆除するために散布した薬剤が河川に流入し
他の昆虫が大量に死んでしまうことが起こるかもしれません。
大量に流出した場合,汚染された昆虫を食べた爬虫類や哺乳類に影響が及ぶかもしれません。その結果,地域固有の種を絶滅においやってしまうかもしれません。
目に見えない薬剤はどこでどのような影響が出るのかわからない,という認識のもとでPCOは薬剤を扱うべきなのです。
だからこそ,防除・駆除では,発生原因の除去や侵入経路の遮断などをおこない,薬剤散布はできるだけ控えるようにしないといけません。
また一方では,アルゼンチンアリやアライグマなど新たに他地域から入ってきた
侵入種を駆除し拡大を防ぐこともPCOはできます。
PCOは,皆様が快適に暮らせる環境を創造するお手伝いをしながら
環境を守ることができる,そういうやりがいのある仕事なのです。
来年も頑張りたいと思います。
よいお年を・・・。
※株式会社エスケーシステム では,出来るだけ薬剤の使用量を減らし
環境を守りながら,みなさまの住環境を守るお手伝いをしています。