/////ホスピタル4からのsideストーリー/////
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病棟で初めて彼を見た時、その端正な風貌に目が離せなかった。
点滴を用意するその指先をしばらく眺めていた
。そこへ、学生時代からの友人のヒチョルがきて、彼の頭をいきなり撫でた。
彼が怒ったようだが笑って慈しむ目でみていた。
あのヒチョルが?と驚いた。
後からきたイトゥクもあの子を慈しむ眼差しでみていた。
久々に親しい友人たちと過ごす時間を楽しんでいると、病棟で見た彼が目に飛び込んできた。
男友達と一緒でなんとなくホッとした。
ヒチョルが大歓迎で相手をしているが、ツレない様子の彼。
そんな彼から目が離せなかった。
彼の名前はキュヒョンというらしい。
友達はウニョク。
イトゥクと特に仲がいいようだ。
社交的なウニョクと物静かなキュヒョン。
対象的な2人だが、かなり仲がいいようだ。
ゲームが好きらしい。
病棟で見かけた時も2人でラウンドしていたっけ。
シウォンはしばらく思いに耽った。
先に帰るといっていきなりキュヒョンが席を立った時、
思わず引き止めそうになった。
なぜか彼ともっといたい気がしていたのでいきなりキーホルダーを掌にのせて現れた時は
驚きのあまり声が出なかった。
本当に大事なキーホルダーだった。
実はどこで失くしたのかと、焦っていた。
「これ・・・」
といって目の前に立っているキュヒョンの掌からキーホルダーを取り上げるとき、
彼の手に一瞬触れた。
その時、キュヒョンの体温が上がった様に見えたのは錯覚ではないはず。
そしてそんな自分も同じだった。
思わず咳払いでごまかしたけれど、彼も気づいただろうか。
彼がくるりと背を向け去っていく背中越しにやっとお礼を言ったが聞こえてなかったようだ。
思わず後を追いかけ店の出口で追いついた。
すぐそばに立つ彼は思ったより背が高かった。
頭の上でドアを支えたとき彼の髪がちょうど顔に触れた。
思わずその髪に顔をうずめてしまいたかった。
頭を冷やそうと車に乗り、駐車場から出ようとしたとき、
自転車を施錠を外そうとしている彼が目に入った。
声を掛けた。彼は驚き一瞬ためらったが車に乗り込んだ。
会話がないまましばらくすると行先を聞いてきた。
実際考えてなかったので少々焦った。
気が付くと彼は寝息を立てていた。
彼のその横顔に思わず息をのんだ。
鼻筋、顎のライン、唇、まつ毛のカール。
額にかかった髪をそっとなでつけた。その時、彼の首筋に残る傷に気づいた。
左耳の後ろから首筋にかけて長く細い傷。
その傷を指でなぞると彼は
「・・・ん・・・あぁ・・・」
と甘い吐息をもらし目を開けた。
そのまま胸に抱きたくなる衝動を抑えつつ傷のことを聞いた。
昔の事故の傷だという。
あることを思い出し胸にあるかどうか聞いてみた。
「えっ?傷?えぇ、ありますけど・・・なんでそれを?」
と答える彼。そうか。そうなのか。
あの時の彼が今目の前にいるキュヒョンなのか!
/////ホスピタル5へ続く/////