小さい頃、都内に住んでいた父方の祖父や秋田にいた曾祖父と一緒にいる時はよく相撲中継を観ていました。どちらの家にもマンガが沢山ありましたし、近くに広場もありましたから外で遊んだりもできる環境でしたが、彼らがテレビの前で(時にお酒片手に)勝った負けたやったやられた等言いながら、いつもよりちょっとテンションが高めになっている姿をそばで眺めているのも嫌いではなく…相撲中継は盛り上がるキッカケなんだなと思っていました。色とりどりのまわしを付けた力士たちが向かい合ってハッケヨイノコッタノコッタと取り組む様子も非現実的で興味深かったですね。
父方の祖父はとくに「取り組み前に塩を豪快にまく有名力士(枯れない泉のように出世することを願い付けられた四股名の、茨城生まれのあの方です)」がお気に入りで、バサーっと力強く塩まきを行う場面がテレビに映るたびに「おおー、気前良いねぇ」「今日も景気よし!」などとニンマリしながらつぶやいていたものです。気前がいい、っていうのはこの人みたいなコトをする人を言うんだな…と子供ながらに学んだような。私と「気前がいい」という概念との出会いってなかなか特殊だったんじゃないかと今になって感じますが気のせいでしょうか。
最近「気前がいい」と感じる時は、「各社共通」と表示された製品に出会った時かもしれません。各社共通のフローリングクリーナーシート、各社共通の掃除機に付けるフィルターやダスト袋、各社共通テレビやエアコンのリモコン等があげられますね。各社共通…つまりは「あ、僕ですか?僕誰とでもまあまあ上手くやっていけますよ。相手がお高くてもお安くてもあんまり関係ないですねぇ。何なら僕自身も基本安価でやらせてもらってますのでどうぞお試し下さい」と言っているかの如く存在する製品…これは気前がいい、と褒めずにはいられません。
安売り人間や安請け合い人間にはなってはいけないと思いますが、ある程度は気前よく生きていきたいものです。とりあえずお風呂にバスソルトを多めに入れて…あ、これは気前がどうとかの行為じゃないですね。