(やった!神様ありがとう。)
私は思わず、滅多に助けてくれない神様に向かって、心の中でお礼を言いました。
私の席は、同じクラスメイトになった当初から仲良くしたいと思っていた、陸上部の「みっくん」の隣でした。
高等部に入学して、オリエンテーションを行って、いよいよ席替えが始まった時のことです。くじ引きによる席替え大抽選会が行われました。私は何と無くどきどきしながら教卓に置かれたクッキーの空き缶に手をいれ、小さく折り畳んだ紙切れ達の中から、すっと一つをつまみ上げました。
2つ折になった紙切れに記された番号をちらりと見て、黒板に書いてある座席表と照らし合わせながら、前側の席に座りました。
くじを引いたクラスメイトたちは次々に指定された席に着席し、歓喜や落胆の声をあげていました。空席が次々に埋まっていきます。
いよいよくじ引きは列の最後尾の方に並んでいたみっくんの番になり、彼女は選択肢の少ないはずの紙切れ達の中に手を入れ、ごちゃごちゃと掻き回した後、やっと運命の一枚を決めたようでした。
黒板をちらりと確認し…
なんと彼女は、
空席のままの私の右どなりの席にやって来て、ストンと腰を下ろしました。そして私を見て一言。
「寝てたら起こして。」
「…うん。わかった。」
席替えは年に4回。
神様は、期間限定の素敵な進級祝いを私にくれたのでした。
(②へ続く。)