ブログネタ:結婚と離婚、どっちが重いと思う?
参加中私は離婚 派!
本文はここから
娘の私がこんな事をいうのは少し照れくさいけれど
父は母をやっぱり愛していたのだと思う。
ただ母が父を心から愛していたかというとそんなことはなかったし、
むしろ晩年は憎みすらしていたかもしれない。
だから母は父には何も言わず家を出、一人で死を迎える事を選んだのだろう。
それでもやっぱり父の方は残された広い家で、母を想い、
母の帰りを待ちつづけ、母がもう帰ってくることはないと知ってからも
間違いなく母のことを愛していた。
母のブラジャーを愛していた。
だから父は母のブラジャーを愛用していた。
もはや母の愛用とは呼べないほどに父が愛用していた。
愛用され過ぎて父の臭いが染み付いてとれなくなったブラジャー。
それを着用したまま父が眠る。
あまりにその寝顔が安らかで、この穏やかな眠りから目覚める事はないのだ。
その日の夜、父の遺品を整理していると古いアルバムが出てきた。
そこに映る父はみな母のブラジャーを着用していた。
母と知り合ったばかりの若い頃は競泳の選手だったという父。
表彰台の一番上で金色のメダルを首にかけ
母のブラジャーを着用し満面の笑みを浮かべている。
私の知っている厳格な父からは想像もつかない笑顔に思わず顔がほころぶ。
母と恋人同士だった頃、数々のドラマがあったのだろうし
それらを経て結婚に至った時の人生の選択の重みは小さくはなかったんだろう。
だけど、人生の中で一番重い時はいつだって今である。
母と別れてからの父に降りかかる重みは大きかったと思う。
ブラジャーを外さないと手術が出来ないという医師の説得も虚しく
ブラジャーを外す事を拒み、死を選んだ父。
それほどまでに、母との別れが父には負担だったのだろう。
それは母に対する一種の贖罪だったのかもしれないし
単なる性癖だったのかもしれない。どちらでもいい。
結婚が重いと感じたのならば、
その後からきた別れはそれ以上に重く感じるのだと思った。
父をつまらない人間だと内心で蔑んでいた部分があったけれど、
これで思い切り尊敬して、天国へ送ってあげられる……。
やっぱり父も人間だったのだ。
私は自分が着けているブラジャーを取り外すとそっと棺の中に投げ入れた。
本日は父の葬儀においで下さいましてありがとうございます。
お焼香はお線香の代わりに着用中のブラジャーをお願い申し上げます。
