身勝手な選択【63】 | 高橋秀之の小説

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作品の内容、人物の名前等すべてフィクションです。

この物語は

フィクションであり、登場人物等他

実在するものと一切関係ありません。


身勝手な選択【63】


 村瀬総合病院の玄関に、西淀川警察署の刑事、内海と西尾が、丸尾

誠子が住んでいたマンションの住人である主婦とともに着いた。

 「ご足労を、おかけします。ちょっと病院内を我々と一緒に歩いて貰い

あなたが見られた不審者がいないか見てほしいのです。会えば分かりま

すよね?

 内海が、何度も誠子の部屋の方を眺めていた男を目撃している主婦に

声をかけた。


 『はい、顔を見れば分かると思います。何度も見ていますので。でも恐

い様な気がします』

 「大丈夫ですよ、我々が付いていますし。我々が、その人物に声をかけ

るときは、あなたには少し離れて貰いますから」


 三人は、院内に入った。

 西尾刑事は、外来総合受付近くで高杉刑事が南医師と立ち話をしてい

るのに気づいた。

 玄関を入って直ぐのところにある警備室の前で、主婦の足は止まった。

 「どうされました?」

 『あの人』

 警備室の受付カウンターではなく、奥の机の前で横向きに座り一人の

警備員が何か書類に記入する作業をしている。

 内海刑事が

 「あの方が、どうかしましたか?」と主婦に声をかける。

 『あの人です。マンションの周りに現れていたのは』

 「間違いありませんか?」

 主婦が、頷いた。

 「奥さんは、ここから離れ、あそこの空いた椅子に腰をかけておいてくだ

さい」


 内海刑事が、警備室の中の男に声をかけた。

 「ちょっと、すみません」

 警備員が、仕事の手を止め立ち上がってくる。

 内海は、素早く警備員の胸の名札に目を留めた。


    山下か・・・

 「山下さん、警察です。ちょっとお伺いしたいことがありまして」と言いなが

ら内海は警察手帳を示した。

 名指しで呼ばれ、警察手帳を示された、その警備員は顔色を変え、警備

室から表に出て病院玄関の方に駆け出した。


 内海刑事は、

    しまった、と思ったが、警備員室より玄関側にいた西尾刑事が警備

員の前に足を差し出し、警備員はそれにつまずき転んだ。

 西尾刑事が、そこを押さえ込みねじ伏せた。そして西尾は高杉刑事の方

に視線を向けた。

 騒ぎに気づいた高杉刑事がこちらを見て、石垣刑事とともに駆けて来る。

 その高杉刑事の行動に満足する様に西尾刑事は

 「どうして逃げる」と警備員に声をかけた。


 内海刑事が西尾刑事に歩み寄り

 「なかなかやるじゃないの、西尾ちゃん。危ないところだった」と声をかけた。

 『どうされたんです?』

 高杉刑事が内海刑事に声をかけた。

 「丸尾誠子の周り現れていたストーカーですよ」

 『誠子殺しのホシですか?』

 「多分そうでしょう。彼女の体内に残されていたものと、こいつの血液型が

一致していれば。な~に、直ぐに吐かせますよ。そうそう危ないところでした、

西尾君の機転でこいつを押さえることが出来たんです」


 高杉は

    内海刑事は、また西尾刑事のことを、わたしに売り込もうとしている、

    と考えながら

 『ご苦労様でした』と西尾に声をかけた。