身勝手な選択【60】 | 高橋秀之の小説

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作品の内容、人物の名前等すべてフィクションです。

この物語は

フィクションであり、登場人物等他

実在するものと一切関係ありません。


身勝手な選択【60】


 暫くすると竹内が

 「出来上がりましたね。何なら奥の部屋をお貸ししましょうか」と

橋本を見つめた。

 橋本は首を横に振り

 「裏の方へ行くさ」と言いながら、カウンターの上に壱万円札を三

枚置いた。

 この店の一筋裏はラブホテル街になっている。


 「こんなに頂くわけにはいきません」と慌てて言う、竹内を無視して

橋本は

 「これを棄てておいてくれ」と割れた花瓶の入った袋を託し、倫子を

抱きかかえるようにして店を出た。


 橋本は、店から一番近いラブホテルに足を踏み入れた。

 空き室であることを示す明かりのついている部屋番号を押した。

 明かりが消え、今度は進むべき方向を示す矢印が点滅しだす。そ

に導かれながら橋本は部屋に入った。


 ベッドの上に倫子を横にさせ、橋本はソファーに腰を降ろし、ふーっ

と一息吐いた。

 しばらくして橋本は上着を脱ぎ、倫子に近寄って一枚一枚衣服を

脱がし一糸まとわぬ姿にした。

 酔いつぶれて、意識が無いとはいえ、生きていてぬくもりのある体

である倫子に、橋本は果てた。


 暫くして酔いが薄れ、自分が今どのような場所にいるか気づいた倫

子は驚いたように起き上がった。

 『どうして、こんなところに?』

 その後直ぐ自分の今の姿に気づき、慌ててシーツで身を覆い

 『何をなさったんです?』と、問い詰めるように橋本を見つめた。


 「気がつかれましたか。あなたが酔いつぶれてしまったので、仕方な

くこういうところに。そして、あなたの姿が余りにも魅力的だったのでつい

こういうことをしてしまいました」という橋本を

 『わたし、結婚を控えているんです』ときつい口調で倫子は睨みつけた。

 

 「こうなってしまった責任を僕が取らせていただきますよ。あなたの将来

も含め」

 『あなた、いったい何を仰っているんです。わたしを誰だと思っているん

です。わたしは』

 倫子は、そこで言葉を止めた。


     わたしは、村瀬総合病院の院長の娘だと言いたいのかい?

 「村瀬倫子さんですよね。村瀬総合病院の院長のお嬢さん」

 『えっ、どうして、わたしの名前を?』

 「事の後、どういう女性だろうと思い所持品を調べさせて貰いました。

運転免許証でお名前を」

 『しかし、そこからどうして院長の娘と分かるのです?』

 倫子が、ベッドの上で後ずさりする。

 「わたしは、いかがわしい者ではありませんよ」

 『あなたは、誰だと言うのです。最初から、わたしのことを知って事を

進めたのですか?』

 「いいえ、わたしはあなたのことを全く知りませんでした。免許証の

住所と名前で院長のお嬢さんだと気づきました」

 『いったい、あなたは誰なんです?』

 「わたしは、村瀬総合病院の整形外科医、橋本直樹です」

 『えっ、父の病院の?』

 驚いた表情で、橋本を見つめる倫子の手を力強く引っ張り引き寄せ

橋本は倫子の口を唇で塞いだ。そして、舌を彼女の口に入れた。

 そのあと今度は、意識のある倫子と結ばれた。