「地獄谷温泉 無明ノ宿」 | 小劇場クルーズ~この素晴らしき役者たち~

小劇場クルーズ~この素晴らしき役者たち~

最も身近で自由な表現方法である筈の演劇なのに、ごく一部の人々がその恩恵に浴しているだけの現状はとても寂しい。
人知れず才能と輝きを秘めた役者や深い感動をもたらす舞台が、星の瞬きのように次々と光っては消えを繰り返し永遠に忘れられるでは、本当に勿体ない。

 

庭劇団ペニノ「地獄谷温泉 無明ノ宿」(於:日本大通り・神奈川芸術劇場・大スタジオ

~ 2017/11/12 (日))を観てきました。

 

 

都会から遠く離れた山里にある、名もない湯治宿。

そこで人形師の親子が出会う、孤独な人々。

一夜のうちに湧き出すのは、どれほど深い欲望か。

地獄の名を持つ貧しい秘湯に、いま、鮮烈な光が照らされる。

                             

                              ~説明文より~

 

 

 

まず、「KAATでこれをやっちゃうか!?」と驚いてしまう。

 

演劇にはタブーなど無い、最強のメディアだと再認識。
島国根性、差別と偏見、閉塞感を生々しく扱い乍らもあっけらかんとした表現と舞台美術、回り舞台-

演劇ならではのイリュージョンに圧倒される。

 

表現として、現在出来るギリギリの線かも。
欧米の大陸的でカラッとしたお国柄では決して生まれない、温泉文化を通して人間の有り様をじっとりと描いた日本的エンターテインメントの傑作でした。

 

 

 

心にぽっかりと穴が開いた、闇を抱える人物を演じた主演の村上聡一さん(中野成樹+フランケンズ)