花之江河のシャクナゲ | 古代文化研究所

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古代文化には、多くの疑問や問題が存在する。そういうものを日向国から検証していきたい。

○2024年6月1日に、屋久島へ出掛け、シャクナゲを堪能して来た。今回は、その第一弾で『花之江河のシャクナゲ』と題した。第一、花之江河が花之江河たる所以こそがシャクナゲにあることを、誰も語らない。

○屋久島など、何時登っても同じだと言う人に、屋久島の話はできない。もともと屋久島は信仰の山なのである。したがって、屋久島の奥岳には、屋久島の各集落の名が冠せられている。宮之浦岳がそうだし、栗生岳、永田岳、安房岳など、皆そうである。

○その屋久島で、最も美しいと称されているところが花之江河である。何時でも十分美しいところが花之江河であることは間違いない。ある意味、花之江河の景色は神々しい。まるで日本庭園の美しさがここにはある。

○その花之江河の名が、シャクナゲにあることは間違いない。不思議なことに、誰もそういう話をなさらない。もちろん、シャクナゲは屋久島の至るところに咲いている。ただ、花之江河の名が、シャクナゲ以外に基づくことは考えられない。

○そういう意味では、花之江河のシャクナゲは昔と比べたら、随分と劣化しているのかも知れない。それは花之江河の環境変化に基づくものであることは間違いない。以前はもっと開けたところが花之江河だったに違いない。それでシャクナゲの花が豪華に咲いていた。

○現在の花之江河は鬱蒼とした森に囲まれて存在している。それでシャクナゲが退化したのではないかと思われる。森が発展すれば、シャクナゲは退散するしかないわけである。

○それでも、花之江河界隈に、シャクナゲが群生していることは間違いない。ただ、人が見るにはシャクナゲが大きくなり過ぎて、見ることのできない高いところにシャクナゲの花が咲いている気がしてならない。

○したがって、花之江河あたりで見掛けるシャクナゲの花は、樹間に見る花となっている。花の咲く全体を見ることが容易ではない。上から見れば美しく咲いているのかも知れない。しかし、人の眼には見えないところとなっている。

○伊勢暦を見ると、6月1日は旧暦4月25日となっている。旧暦4月は山入りの季節である。多くの山では、旧暦4月4日が山入りの日となっている。そういう季節に咲く花がシャクナゲであることの意義は大きい。だから、花之江河と命名されたものと思われる。

○インターネット検索すると、花之江河に関するページは多い。しかし、なかなか適切な表現がなされていない。もっとも詳しいページは、次のものだった。

      小花之江河、花之江河

小花之江河は標高約1620mにある日本最南端の高層湿原です。花之江河は標高約1630mにある高層湿原です。後ろに聳えるのは黒味岳です。
 高層湿原は川が流れ込まずに雨水だけで涵養されている湿原です。水は貧栄養で、植物の遺体が完全に分解せずに堆積し泥炭となっています。植物の遺体からは酸が出るので土壌は強酸性となり、それを好むミズゴケが一面に生育しています。ミズゴケの中からはコケスミレ、ヤクシマコオトギリなどの可憐な花が咲きます。
 湿原の自然は非常にデリケートです。最近は登山道からの土砂の流入でハリイなどの湿原植物以外のものが侵入し、生態系が狂ってきています。土砂の流入を防ぎ、なおかつ自然に対してなるべく影響を与えない方法での道づくりが望まれます。

  屋久島ガイド・小花之江河、花之江河 (tetec.jp)

○屋久島のシャクナゲとして、最初に、楚々とした『花之江河のシャクナゲ』を案内したい。