○前回案内したように、避暑山荘は、南から次の九重からなることが判る。
１）麗正門（南） ２）午門 ３）閲射門（内午門）
４）澹泊敬誠殿 ５）四知書屋 ６）十九間照房（万歳照房）
７）煙波致爽殿 ８）雲山勝地楼 ９）岫雲門（北）
○またそれは、前宮（前朝）と後苑（後寝）とに分かれる。その前宮（前朝）の中心が澹泊敬誠殿であり、後苑（後寝）の中心が煙波致爽殿だと言うことになる。この避暑山荘では、その前宮（前朝）と後苑（後寝）とを、明確に区分していたことが判る。
○それが十九間照房（万歳照房）と煙波致爽殿との間になる。つまり、十九間照房（万歳照房）までは前宮（前朝）であり、この煙波致爽殿からが後苑（後寝）だと言うことになる。日本にも「寝殿造り」と言うことが存在するが、日本では、寝殿の概念が今一つはっきりしない。
○前宮（前朝）の建物である麗正門や澹泊敬誠殿、四知書屋の名が、五経の一つ「易経」に基づくものであったことは、これまで、ブログ『麗正門』や『澹泊敬誠殿』、『四知書屋』で案内したとおりである。
○それに対して、『煙波致爽殿』の名が、康熙帝の御製詩『御製恭和避暑山莊詩』に基づくものであることも、興味深い。
御製恭和避暑山莊詩
山莊頻避暑 靜默少喧譁 北控遠煙息 南臨近壑嘉
春歸魚出浪 秋歛雁橫沙 觸目皆仙草 迎牕徧藥花
炎風晝致爽 綿雨夜方賖 土厚登雙榖 泉甘剖翠瓜
古人戍武備 今卒斷鳴笳 生理農桑事 聚民至萬家
この詩の、
北控遠煙息 南臨近壑嘉
春歸魚出浪 秋歛雁橫沙
炎風晝致爽 綿雨夜方賖
から康煕36景の文言が誕生しているわけである。
○その『煙波致爽殿』について、次のように案内する。
煙波致爽殿
皇帝の寝室「煙波致爽」は、「康煕36景」の第一景である。当時ここで皇帝は、皇后や妃の拝謁を受け、近臣と朝政を討議し食事をとった。清代の嘉慶帝と咸豊帝は、この場所で病気のため亡くなっている。
烟波致爽
“烟波致爽”位于避暑山庄正宫区的后部，建于康熙四十九年（1710），面阔七间，前后出廊，为皇帝的寝宫。正中三间为厅，设有宝座，是皇帝接受后妃朝拜的地方。厅内正中悬挂康熙御题“烟波致爽”匾，匾下是斗大的福字。两旁挂乾隆御笔对联：“三秀草呈云彩焕，万年枝茂露凝香。”殿的外观朴素淡雅，殿内陈设富丽奢华。每当春夏或雨后初晴，烟波浩渺，令人心旷神怡。
东室门楣上悬“戒急用忍”匾一面，原是康熙题给四皇子雍正的，目的在于规劝雍正涵养德行，同时借以自勉。后来咸丰十年（1860）避难到此居住，因匾年久破损，他又重写了四字悬挂于此。
西次间是佛堂，乃皇帝早晚礼佛之所。稍间阁门上悬挂乾隆御题“抑斋”匾一面。是乾隆给自己定的座右铭，告诫自己要懂得稼穑之艰难，克制享乐思想。
古典皇家园林——避暑山庄之三十六景_康熙 (sohu.com)