上有天堂、下有苏杭。 | 古代文化研究所

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古代文化には、多くの疑問や問題が存在する。そういうものを日向国から検証していきたい。

○今回の蘇州訪問はわずか一泊だけだったが、得たものは大きい。まず、司馬遷「史記」『伍子胥列伝第六』の、

  乃告其舎人曰、必樹吾墓上以梓。令可以爲器。

  而抉吾眼懸呉東門之上。以観越寇之入滅呉也。

  乃自剄死。

が誤りであることが確認できた。今回の蘇州訪問の幕敵の最たるものがこれだったから、それが達成できただけでも、有り難い。

○併せて、苏州四大名园とされる、沧浪亭、狮子林、拙政园、留园のすべてを見ることができた。これは、当初の計画には無かった。ただ、蘇州に出掛けて、調べているうちに、気になったので、出掛けて来た。

○中国で、庭園文化の存在は大きい。それが日本へ伝来して、日本庭園が誕生した。そういう意味で、中国庭園がどんなものであるかを理解する異議は大きい。日本庭園を理解するにも必要不可欠のものだと判断する。

○まだまだ蘇州は奥が深い。できれば、これから先に、何度か訪問できたらと思っている。中国には、

  上有天堂,下有苏杭。

と言うことわざがある。

  天上には天国があって、地上には蘇州杭州がある。

と称されるのが蘇州であり、杭州なのである。

○その杭州には、今回、五回目の訪問だった。それに対して、蘇州には、まだ三回しか訪れていない。もう少し、時間を掛けて、丁寧に歩いてみたい。

○その蘇州の町を作ったのが伍子胥である。伍子胥は今でも、蘇州では尊敬されている。何しろ、蘇州には、苏州古城八门が存在し、その一つが胥門なのである。その胥門路に架かる橋が姑蘇万年橋なのである。

○もっとも、伍子胥が生きた時代は紀元前五世紀であって、姑蘇万年橋の完成は十八世紀なのだから、両者の時代差は二千三百年もある。それでも、現在、胥門から復元された姑蘇万年橋を望むことができるし、実際、当古代文化研究所は今回の旅行で眺めて来た。

○中国には直轄市が四つ存在し、

  北京市:2184万人

  天津市:1363万人

  上海市:2475万人

  重慶市:3191万人

の人口を誇る。もっとも、人口からすれば、

  ①重慶市3191万人  ②上海市2475万人  ③北京市2184万人

  ④成都市2126万人  ⑤広州市1873万人  ⑥深圳市1766万人

  ⑦蘇州市1619万人  ⑧武漢市1373万人  ⑨天津市1363万人

  ⑩西安市1299万人  ⑪鄭州市1282万人  ⑫杭州市1252万人

の順となるようである。

○これらの中で、上海や深圳は新しい町である。中国では四大古都の概念が存在し、

  洛阳 西安 北京 南京

とする。別に、六大古都の概念も存在し、

  北京 开封 洛阳 安阳 南京 西安

を指すらしい。さらに、十大古都も存在する。

  西安 洛阳 南京 北京 开封 杭州 安阳 郑州 大同 成都

○ただ、文化的に見ると、やはり蘇州や杭州の町が中国の文化を醸成して来ていることは間違いない。それが仏教であり、庭園であり、書であり、詩であり、絵画である。そういうものが日本へ伝搬して、新しい文化を形成した。それが日本文化ではないか。

○そういう意味で、蘇州や杭州が日本へもたらした影響は、甚だ大きい。多くの日本の文人や宗教家が中国を訪れている。そういうものに触れてみたい。そう思って、今回も蘇州や杭州を訪れたわけである。