立神岩 | 古代文化研究所

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古代文化には、多くの疑問や問題が存在する。そういうものを日向国から検証していきたい。

○枕崎市火之神岬町に屹立する岩が立神岩である。ここには火之神公園が存在する。前回案内した、ブログ『枕崎:火之神公園の日の出』は、ここから写したものである。海を隔てて、開聞岳が美しい。特に、朝は太陽が開聞岳から昇るので、最高の景色となる。

○その火之神公園のシンボルが立神岩である。と言うか、枕崎のシンボルそのものが立神岩だと言って良い。何故なら、枕崎市には、立神本町や立神北町などの町名が存在し、火之神町、火之神岬町、火之神北町の町名も存在する。この火之神も立神岩に関連する地名だからである。

○インターネット検索で調べたところ、「地名コレクション」と言うのがヒットし、その中に、「『立神』コレクション」と言うのがあった。なかなか興味深い研究である。それには、次のようにある。

       『立神』コレクション

   鹿児島県の奄美諸島、トカラ列島、大隅諸島の島々では「○○立神」やそのものズバリ「立神」と名

  付けられた岩礁が多数見られます。
   岬の向こうにそそり立つ岩礁を神の姿に見立て、古くから信仰の対象とされてきたようです。
   読みは、たてがみ、たちがみ、たてがん、など複数あります。
   岩礁などに「○○立神」「立神」と言う地名がつけられた例は他に沖縄県、山口県でも見られますが、

  奄美諸島、トカラ列島、大隅諸島に極端に集中しており、この地方の特徴的な地名と言って良いでし

  ょう。

○「立神」を何と読むかも気になるところである。枕崎のものは、『たてがみ』と称するようである。動詞「立つ」が自動鹿か他動詞かに拠って、活用が違ってくる。自動詞なら四段活用、他動詞なら下二段活用となる。つまり、『たちがみ』が自動詞、『たてがみ』が他動詞と言うことになる。

○自動詞『たちがみ』なら「立っている神様」の意であって、他動詞『たてがみ』なら「神様を立てる」か、もしくは「立てられた神様」の意となるのではないか。なかなか日本語は難しい。

○要するに、立神岩を主体者とするのであれば、『たちがみ』となって、斎き祀る側から考えると、『たてがみ』となるのではないか。こういう信仰は全国に散見されるけれども、圧倒的に南九州に集中するものだと、上記の「地名コレクション」では説明する。

○ある意味、それは当然のことだと言うしかない。こういう立神岩信仰の起源が日向国のものだからである。もちろん、それは太陽崇拝信仰と深く関係する。もともと立神岩と同じようにして、人々は太陽崇拝を繰り返してきたのである。そういう自分たちの姿を立神岩に見ていると言えよう。

○その火之神公園のシンボルが立神岩なのである。そこで見る日の出は、崇高であることは間違いない。それが開聞岳から昇る太陽なのである。まさにここには神の降臨がある。そういう絶景が枕崎市には存在する。是非、お出掛けを。