○今朝、2020年4月11日付、朝日新聞20面に、坂靖著「ヤマト王権の古代学」(新泉社)の書評が出ていて、驚いた。今時、まだこんな書評を書く人が居ることが信じられない。まるで化石の出現と言った感じである。
○いまさら、こんな書評に一言書き添えることすら、時間が勿体無い気がする。しかし、随分、久し振りに出た考古学者先生の本の書評である。こういう考古学者先生の珍説、奇説が未だに発刊されるのが考古学者先生の邪馬台国への妄執を感じさせる。
○まるで面白いのが、この書評の結びである。それには、次のように載せる。
ここ30年で弥生時代・古墳時代の考古学研究は大きく進展した。その成果を無視した作家・自称
歴史研究家の「新説」は学問的に無価値である。本書が広く読まれることで、珍説が一掃されること
を望む。
○こういうのを我田引水と言わないで何と言うのだろう。もともと邪馬台国も卑弥呼も、中国の正史「三国志」に書かれた史実に過ぎない。つまり、考古学とは何の関係も無い。幾ら大和国や筑紫国から三世紀の遺跡遺物が出現したからと言って、それは邪馬台国や卑弥呼のものではない。
○何故なら「三国志」を読むと、魏国が認識する三世紀の倭国は次のように案内されているからである。
【渡海三国】
・狗邪韓国・対馬国・壱岐国
【北九州四国】
・末廬国・伊都国・奴国・不弥国
【中九州二十国】
・斯馬国・巳百支国・伊邪国・都支国・邇奴国・好古都国・不呼国
・姐奴国・対蘇国・蘇奴国・呼邑国・華奴蘇奴国・鬼国・為吾国・
・鬼奴国・邪馬国・躬臣国・巴利国・支惟国・烏奴国・(奴国)
【南九州三国】
・投馬国・邪馬台国・狗奴国
○幾ら考古学者先生が奮闘努力したところで、それは無駄と言うものである。邪馬台国や卑弥呼に関する限り、考古学者先生は全くの素人に過ぎない。
考古学研究の成果を無視した作家・自称歴史研究家の「新説」は学問的に無価値である。
などとおっしゃる前に、考古学者先生は御自身が邪馬台国や卑弥呼に関する限り、ずぶの素人であることを何故、自覚できないのだろうか。
○陳壽の「三国志」は、世界の名著の一つである。邪馬台国や卑弥呼を知りたいと思うならば、まず、それが記されている「三国志」を読むに如くは無い。そうすれば、邪馬台国が日向国のものであることを理解する。それは何も特別のことではない。日本最古の史書とされる「古事記」や「日本書紀」が記録していることでもあるのだから。
○邪馬台国や卑弥呼と考古学とは、何の関係も無い。考古学者先生は、邪馬台国や卑弥呼に関する限り、全くの素人に過ぎない。そんなことも理解できない考古学自体が、既に学問では無い。