邪馬台国三山 | 古代文化研究所

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古代文化には、多くの疑問や問題が存在する。そういうものを日向国から検証していきたい。

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○前回の最後に、次のような文を綴った。
  ・「万葉集」は、確かに日本最古の和歌集だが、日向國とは何の関係も無いではないか。そうおっ
  しゃるくらいの読書では、日向國は理解できない。「万葉集」にこそ、もっともきれいに日向國が描
  かれている。
  ・つまり、日向國を理解するには、「万葉集」を読むことが最短の方法である。誰もそういうことは
  教えてくれない。方法序説は自分で切り開くしか無い。

○何とも愛想の無い話である。「万葉集」には、4516首もの和歌がある。それを全て読めと言うのは何とも酷な話である。それでここでは、簡単にその全容を述べてみたい。それが邪馬台国三山と言う話である。

●「万葉集」には、『中大兄三山歌一首』と言うのがある。
   中大兄の三山の歌一首           中大兄三山歌一首
  香具山は  畝傍雄々しと        高山波 雲根火雄男志等
  耳成と   相争ひき          耳梨与 相諍競伎
  神代より  かくにあるらし       神代従  如此尓有良之
  いにしへも しかにあれこそ       古昔母 然尓有許曾
  うつせみも つまを 争ふらしき     虚蝉毛 嬬乎 相挌良思吉
        (「万葉集」巻一 13)

●ここに出て来る畝傍山・香具山・耳成山を大和三山と称する。私見によれば、「万葉集」には香具山が十四回、畝傍山が六回、耳成山が三回記録されている。大和三山の記録がこれ程多いのは、他に例が無い。

●したがって、私たちが理解している大和三山の情報は、「万葉集」に拠るものが多いと言うことが判る。ところが、「万葉集」をよく読むと判るのだが、「万葉集」の情報の大和三山には、大和三山では説明できない表現が多々出現して、万葉学者先生を悩ましている。

●実は、私も専門は和歌で、大和三山に散々悩まされた者の一人である。上記の三山相諍の和歌にしたところで、これが何を意味するかを理解することは容易ではない。

●実際、奈良県橿原市には、畝傍山・香具山・耳成山の大和三山が存在する。普通の和歌表現であれば、実景を見ることに拠って、その和歌表現がどういうことを表現したかったかを明確にすることができる。そういう意味で、誰もが実景を見に出掛けるわけである。

●ところが、「万葉集」の大和三山和歌は、その逆なのである。奈良県橿原市に存在する大和三山を訪れると、誰もが困惑してしまう。「万葉集」の大和三山和歌表現には、奈良県橿原市に存在する大和三山では説明できない表現が幾らでも存在するからである。

●それで、万葉学者先生は窮余の一策として、様々な珍解答案出なさっている。しかし、そのいずれも私たちを満足させるものとはなっていない。どうして、大和三山和歌表現だけが、このような昏迷に陥るのだろうか。

●今から30年ほど昔の話になる。ふと、思い付いたのが、大和三山は、実は大和三山では無いのではないかと言うことであった。「うねびやま」は、どう考えても、「うねっている山」の意だろう。しかし、奈良県橿原市に存在する畝傍山は、格別「うねっている」わけでもない。

●香具山にしたところで同じである。「かぐやま」はどう考えても、「火の山」の意だろう。しかし、奈良県橿原市に存在する香具山の何処にも火の気配が無い。

●加えて、香具山には「天の香具山」と「天の」を冠するのが普通である。その理由を万葉学者先生は天から香具山が降って来たからだとおっしゃる。天下の岩波古典文学大系本「万葉集」でさえ、そういう説明を平気でしている。そんな説明は、小学生でも通用しない。

●天橋立(あまのはしだて)は、京都府宮津市に存在する砂嘴で、日本三景の一つとして知られる。「あまのはしだて」と言う呼称は、何とも不思議な名である。しかし、「天(あまの)」が海を意味することだとすると、極めて判り易い呼称となる。

●そういう意味で、「天の香具山」を考えると、香具山も海に存在する山であることが判る。しかし、奈良県に海は無い。そういう矛盾が大和三山には幾らでも存在する。

◎今から30年ほど前に、そういう結論に達した。事は大問題である。何しろ、大和三山の話なのだから。ある意味、日本創世に係わる問題でもある。そういう意味で、慎重の上にも慎重を期することが必要だと判断した。

◎それで、丁寧に検証を重ねた結果、やはり、大和三山はレプリカとするしかないことが判った。もともと、邪馬台国に邪馬台国三山が存在したのである。それにレプリカが大和三山だと言うことになる。もっとも、両者は、もともと同じものである。それを区別するために、私が個人的に奈良県に存在する従来の大和三山を大和三山と呼び、日向國に存在したもともとの大和三山を邪馬台国三山と命名したに過ぎない。何故なら、大和三山が二つも存在したのでは、説明するのに、何とも紛らわしいからである。

◎何故、もともとの大和三山を邪馬台国三山と命名したかと言うと、そこが「三国志」が記録する邪馬台国だからである。日向國三山でも良かったのだが、日向國には三山は幾らでも存在する。だから、更に面倒になると判断した。

◎奈良県橿原市に存在する大和三山とは、次の山々を指す。
  畝傍山(199.2m)
  香具山(152.4m)
  耳成山(139.7m)

◎それに対して、邪馬台国三山(もともとの大和三山)は、次のようになる。
  ・うねびやま=霧島山(1700叩
  ・あめのかぐやま=桜島山(1117叩
  ・みみなしやま=開聞岳(924)

◎当古代文化研究所では、これまで、7回、奈良県橿原市に存在する大和三山を訪れ、実際、登っている。そういうふうな、丁寧な検証を重ねて来た。
  第1回  平成4年3月28日
  第2回  平成15年8月11日
  第3回  平成17年5月10日
  第4回  平成21年3月29日
  第5回  平成22年4月3日
  第6回  平成23年5月3日
  第7回  平成29年9月5日

◎桜島は活火山だから登ることはできない。霧島山や開聞岳には毎年出掛け、登っている。最近のものを案内すると、次のようになる。
  ・書庫「大和三山」:ブログ『2019年初登山:高千穂峯』
  https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/41625720.html
  ・書庫「大和三山」:ブログ『高千穂峰登山:2018年12月13日』
  https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/41601789.html
  ・書庫「大和三山」:ブログ『開聞岳登山:11月30日』
  https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/41589713.html

◎したがって、私はまるで知らないことを話しているわけではない。実際、自分の目で見たことをそのまま伝えているに過ぎない。それは「古事記」や「日本書紀」、「万葉集」にしたところで、同じである。

◎そういう検証を詳しくまとめたのが、以下のブログである。
  ・書庫「大和三山」:121個のブログ
  https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/folder/1201946.html?m=l&p=1

◎大和三山は、もともと日向國のものである。それのレプリカを大和国に作った。それが奈良県橿原市に存在する大和三山である。現在でも、中央の万葉学者先生は大和三山が奈良県にあると信じて疑わない。漫画のような話だが、本当の話である。

◎実際、奈良県橿原市の大和三山へ出掛け、大和三山に登ると、文化庁の『史跡名勝天然記念物:大和三山  香具山  畝傍山  耳成山』に基づく案内板が設置されている。その文化庁の『史跡名勝天然記念物:大和三山  香具山  畝傍山  耳成山』の記述が誤っている。

◎このことについては、これまで、幾度と無く指摘している。
  ・書庫「大和三山」:ブログ『大和三山の順序』
  https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/41158581.html
  ・書庫「大和三山」:ブログ『国指定史跡名勝天然記念物:大和三山:香具山・畝傍山・耳成山』
  https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/41175813.html

◎それでも、ななかなか訂正されない。文化庁が間違っていては、話にもならない。お役所仕事は、文化庁のことをそのまま信じて案内する。だから、根本を訂正しない限り、なかなか誤りは正されることはない。だから、このように執念く指摘するわけである。

◎ひょっとしたら、文化庁は、自分たちが正しいと思っていらっしゃるのかも知れない。しかし、どう考えても、それはあり得ない。根拠の無い話は通用しない。日本で、天孫降臨の世界山以上の山が存在するはずは無いからである。それが畝傍山である。

◎邪馬台国三山の話をした以上、次回は続けて、邪馬台国の話をするしかない。