岑参:寄左省杜拾遺 | 古代文化研究所

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〇岑參の『獻封大夫破播仙凱歌六首』詩を続けてきたが、今回案内するのは、岑参の『寄左省杜拾遺』詩である。杜拾遺とは、もちろん、杜甫のことである。

  【原文】
      寄左省杜拾遺
        岑参
     聯歩趨丹陛
     分曹限紫微
     曉隨天仗入
     暮惹御香歸
     白髪悲花落
     青雲羨鳥飛
     聖朝無闕事
     自覺諫書稀

  【書き下し文】
      左省の杜拾遺に寄す
         岑参
     歩を聯ねて丹陛に趨るも、
     曹を分ちて紫微に限らる。
     曉には天仗に随ひて入り、
     暮には御香を惹きて帰る。
     白髪、花の落るを悲しみ、
     青雲、鳥の飛ぶを羨やむ。
     聖朝、闕事無く、
     自から覚ゆ 諫書の稀なるを。

  【我が儘勝手な私訳】
     あなたと私は、一緒に連れ立って宮殿には入るけれども、
     紫微宮で、部署はそれぞれ分かれている。
     朝は護衛兵の後に続いて宮中に入り、
     夕方は宮中の御香を身に纏って帰る。
     白髪頭となった私は、花が咲き、散って行くのが悲しいし、
     大空に鳥が自由に飛んで行くのを見ても、羨むばかりである。
     立派な朝廷には、政治上の欠陥など、あるはずもなく、
     天子を諫める諫書を奏上する機会など、滅多にないことは、私にも判っている。