○立春詩の案内を続けている。今回案内するのは、黄庚の『閨情效香奩體』詩である。
【原文】
閨情效香奩體
黄庚
懶向妝台對鏡鸞
羅衣怯薄正春寒
黄金絡索珊瑚墜
獨立春風看牡丹
【書き下し文】
閨情は香奩體を效ふ
黄庚
懶く妝台に向かへば、鏡鸞に對す、
羅衣の薄きに怯ゆ、正春は寒し。
黄金の索を絡め、珊瑚を墜げて
獨り春風に立ち、牡丹を看る。
【我が儘勝手な私訳】
女の純情は身繕いにあり
黄庚
気怠く鏡台へ向かうと、そこには一人の女が居て、
正月の寒さの中に、煌びやかな薄着で凍えている。
純金の首飾りと赤珊瑚の耳飾りを下げて、
たった一人で、寒い春風の中、牡丹の花を眺めている。
〇詩題である『閨情效香奩體』を何と訳すか。なかなか難しい問題である。それこそ「我が儘勝手な私訳」で、『女の純情は身繕いにあり』と訳してみた。賛否両論どころか、反対ばかりかも知れない。それでも、敢えて『女の純情は身繕いにあり』としたい。
〇中国の検索エンジン百度の百度百科が案内する黄庚は、次の通り。
黄庚 (宋末元初诗人)
黄庚,字星甫,天台(今属浙江)人,宋末元初诗人。
本名:黄庚 字号:星甫 天台山人
所处时代:元代 出生地:天台
主要作品:《月屋漫稿》(《月屋樵吟》)
黄庚,字星甫,号天台山人,天台(今属浙江)人。出生宋末,早年习举子业。元初“科目不行,始
得脱屣场屋,放浪湖海,发平生豪放之气为诗文”。以游幕和教馆为生,曾较长期客越中王英孙(竹
所)、任月山家。与宋遗民林景熙、仇远等多有交往,释绍嵩《亚愚江浙纪行集句诗》亦摘录其句。卒
年八十馀。晚年曾自编其诗为《月屋漫稿》。事见本集卷首自序及集中有关诗文。
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