神代三山陵の研究⑦ | 古代文化研究所

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古代文化には、多くの疑問や問題が存在する。そういうものを日向国から検証していきたい。

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◯前回、天孫降臨の地がどこであるかについて、「古事記」「日本書紀」の記録を整理すると、次のようになることを紹介した。
  「古事記」    竺紫日向之高千穂之久士布流多気(つくしのひむかのたかちほのくじふるたけ)
  「日本書紀」本文 日向襲之高千穂峯(ひむかのそのたかちほのたけ)
           槵日二上天浮橋(くしひのふたがみのあまのうきはし)
       一書 |淹臚鋐?眄虔槵觸之峯(つくしのひむかのたかちほのくじふるのたけ)
       一書◆‘鋐槵日高千穂之峯(ひむかのくしひのたかちほのたけ)
       一書 日向襲之高千穂槵日二上峯天浮橋(ひむかのそのたかちほのくしひのふたがみの                           たけのあまのうきはし)
       一書ぁ‘鋐?映傾眄虔翕沙格?覆劼爐のそのたかちほのそほりのやまのたけ)

◯そして、天孫降臨の地には、宮崎県高千穂町説と、鹿児島県と宮崎県にまたがる霧島山説の、有力な二説が存在することも案内した。しかし、真実は、やはり一つでしかあり得ない。本居宣長以来、従来の説はどちらにも味方せず、折衷案でお茶を濁してきている。これ以上の混乱を避けるためにも、いい加減に、天孫降臨の地がいずれであるか、決着をつけるべきであろう。どうせ、いつかは決着のつく話なのだから。

◯また、そのことは、決して、どちらか一方を貶めることではない。純粋に学問上の問題であって、現実的には、一方を否定することに変わりはないが、それはその土地や地域を非難・中傷することとは、全く別問題である。かえって、それを知っていて、そのまま、知らん顔して、うやむやに済ますことのほうが、よっぽどひどい話だと私は思う。

◯このように、私は慎重の上にも、さらに慎重を期して、この問題を取り上げてみることにする。いい加減なことでは、その両方に失礼になる。また、現実的にも、観光面などで、大きな影響を与える可能性も高い。だから、より、慎重に、かつ、丁寧に、誰もが納得できるものを提示したいと思っている。

◯この問題は、「古事記」「日本書紀」の記録がすべてである。もちろん、それ以降の記録が存在することは存在するが、それは遙かに後世のものに過ぎない。天孫降臨の話に限定すれば、「古事記」「日本書紀」以外の記録は参考には出来ても、参考以上には出来ないはずである。

◯その、「古事記」「日本書紀」の記録は、上記した六つの記録がすべてである。ここからしか、天孫降臨の地は発見出来ない。後はすべて参考記録として扱うしかないのである。これが第一の要件である。

◯次の問題は、上記の「古事記」「日本書紀」の記録をどう扱うかと言うことになる。これまで、上記の記録の一つとか、二つを問題にして、天孫降臨の地を追い求めてきた。それが問題を複雑にしてきたのではないかと考える。

◯要するに、上記の、「古事記」「日本書紀」の記録すべてを充たす条件の地が、本当の天孫降臨の地であると考える。なぜかと言うと、もともと、一つしか存在しなかった山を、「古事記」「日本書紀」ではさまざまに記録しているわけである。と言うことは、その記述は、いろいろあって、さまざまになっているとしても、もとは同じ山の記述と言うことになる。そう考えると、上記の、「古事記」「日本書紀」の記録すべてを充たすような存在でなくては、本当の天孫降臨の山ではないことになる。これが第二の要件になる。これまで、この点がなおざりにされてきて、今のような混乱を生じているのではないか。

◯第三の要件は、天孫降臨の山と言うほどの山であるからには、その山は、何処にでも普通に存在するような、平凡な山などでは決してあり得ないと言うことだ。その山は崇高で、かつ神聖な山でなくてはならない。その山から地上の人間世界が始まったとするような山が普通で、平凡であるはずはない。これは決して、勝手な思いこみや空想などではない。誰がどう考えても、天孫降臨の山と言うからには、そんなものであろう。

◯まだまだ条件は出せるかも知れないが、これだけで十分ではないか。この三要件を充たす山はそんなにないはずである。念の為に、「古事記」「日本書紀」の記録を整理すると、以下のようになる。
  ー鎧隋紛綵)の日向(国)に存在する。
  高千穂と言う名の山である。
  5彁良枸多気・槵觸・槵日之峯(先の尖った山・異形の山・火の山・日に輝く山)である。
  て鋐?聞顱暴院ε困紡減澆垢觧海任△襦
  テ鷯緤?併劃困二つある山)である。
  ε敬盒供米悊里茲Δ謀袈?坊劼った山)である。

◯「古事記」「日本書紀」のすべての記録を整理すれば、おおよそ以上のような山であることが分かる。これが天孫降臨の山の全容である。後は、この条件を全て充たす山を探せばよいことになる。

◯このように考えると、天孫降臨の山は、霧島山高千穂峯以外には考えられない。霧島山高千穂峯は上記のすべての要件を充たす唯一の山である。これは誰が調べてもそうなるはずだ。

◯長くなったので、次回に、その霧島山高千穂峯について、さらに言及したい。