◯大沢池の畔には、次の案内板が設置してあった。
大沢池
ここはもと嵯峨天皇が弘仁年間(八一〇〜八二四)に造営された
離宮「嵯峨院」の苑池の一部で、現在大覚寺境内に属している。中
国の洞庭湖になぞらえて「庭湖」ともいい、作庭当時は泉・滝・名
石等の美を極めた池泉舟遊式庭園であった。今なお池中には、菊ガ
島・天神島の二島と、巨勢金岡が配置したとされる庭湖石があり、
広々とした大陸的雰囲気を漂わせた現存する我が国最古の庭園の一
つである。池畔には弘法大師が離宮の鎮守として勧請したと伝えら
れる五社明神のほか、桜樹が多く、花の名所であるとともに、古く
より月の名所としても名高く、秋の観月に訪れる人も多い。この池
の北は嵯峨院の建物があった場所で、北約五十メートルの所に嵯峨
院滝殿の石組み跡「名古曽滝」があり、藤原公任も
滝の音は絶えて久しくなりぬれど
名こそ流れてなほ聞こえけれ
と詠んでいる。
京都市
◯すでに、前回ブログ『大覚寺:大沢池』で、大沢池については十分書いているつもりだが、それでも、まるで物足りない。それが大沢池の凄さである。写真を見ると、やはり、遠景が良い。まさに、時代劇の背景そのものが大沢池であると実感させられた。
◯当古代文化研究所が訪れたのは、2022年12月21日のことだった。この季節でも大沢池の風情は十分、感じることができた。ただ、大沢池の風情は、それだけでは無いところにある。春夏秋冬、それぞれの風情がここにはある。そんな気がした。
◯たまたま、古代文化研究所では、現在、北京の頤和園の話をブログで書いている。
・テーマ「北京漫歩」:ブログ『颐和园[yí hé yuán]』
◯今日は、次のブログを書いた。
・テーマ「北京漫歩」:ブログ『頤和園:秋水亭』
◯去年、2023年9月には、蘇州を訪れ、留园と拙政园を見物している。中国では、
拙政园 江苏省苏州市
颐和园 北京市海淀区
避暑山庄 河北省承德市
留园 江苏省苏州市
を『中国四大名园』として中国庭園の代表として案内している。当古代文化研究所では、その全てを見物している。
◯そういうものと、見比べても、この大沢池はなかなか風情があって良い。ある意味、気取っていないところが良い。ただ、もともとは、この奥に離宮が存在した。それがあれば、大沢池の価値は数倍上がる気がする。そんなことを思った。