ヨシタケ・シンスケの世界 ① | SIS日記

SIS日記

NPO法人SIS(シス)スタッフによるリレー形式の日記です。
「こころが動いたこと」や「共有したいささやかな出来事」など
スタッフの「想い」を定期的に更新していきます。
どうぞお楽しみに!

絵本「みえるとか みえないとか」 
 
 
  絵本作家ヨシタケ・シンスケは、すでに知る人ぞ知る作家であったようです。ある方から、絵本「みえるとか みえないとか」を薦められて読んでみて、なんて面白いんだ! と思いました。
 
 物語は、主人公が宇宙飛行士でいろんな星の調査をしているという切り口からはじまります。
 
  ある星に到着して、その星にすむ人に出会います。
 この星の人たちは、後ろにも目があるので前も後ろも同時に見えるらしいことがわかります。「らしい」というのは、どうも状況と様子から分かるのですが、実際に自分は「後ろも同時に見える」のは不可能なので想像するしかないのです。
 
 そこで、絵本作家ヨシタケ・シンスケの面白いのは次の場面です。古今東西、この種の宇宙探検物語は、ほとんどが地球人である主人公の目を通した探検ストーリーだったのですが、それが転換されているのです。この星の二人の人が、地球からやってきた主人公を見て会話する場面にそれがあります。つまり、通常の物語のように主人公の目を通して探検を重ねるのでなく、逆に異星人から観察され、評定される場面があるのです。
 
「え?! キミ、うしろが見えないの?」
「不便じゃない? かわいそう!」
「可哀想だから、背中の話はしないであげようね。」
 するとここで、『前も後ろも同時に見えるらしい』は、この星の『常識・普通・当たり前』であることが分かります。二人の会話で、それがわかります。そして、自分は一人なので、ここでは少数派です。「可哀想だから、背中の話はしないであげようね。」などとこちらが気遣いされることになります。
 
「すごーい! ちゃんと歩いてる!」
「みんな よけてあげてー!」
……こうして、主人公は「普通でない」存在として扱われます。そのこそばゆさ、ヘンな気持ちを、とても面白く、ウィットに富んだやり方で、しかも端的にストーリー化しています。
 
 これが、まだ序の口です。 (つづく・鮮)