自閉症は、体質? 障害? (8) | SIS日記

SIS日記

NPO法人SIS(シス)スタッフによるリレー形式の日記です。
「こころが動いたこと」や「共有したいささやかな出来事」など
スタッフの「想い」を定期的に更新していきます。
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「妨げ」や「壁」を取り除く  (♯発達障碍)
 
 
 報道によればということですが、最近、2つの自治体で目を見張るような動きがありました。1つめは、岐阜県飛騨市(都竹淳也市長)にて、同性どうしのカップルや事実婚の夫婦を結婚に相当する関係と認める「パートナーシップ制度」を導入することを決めました。2つめは、兵庫県宝塚市(中川智子市長)にて、障害者政策などで作成する公文書に全国で初めて「障碍」の表記を使うとしたことです。
 
 そこで、『自閉症は、体質? 障害?』を連載している当コラムとしては、とくに宝塚市にて導入される『障碍』の表記の意義について取り上げたいと思います。
 
 宝塚市や専門家によると、『「碍」には「旅路を妨げる」の意味がありハンディキャップのある人が行く手を阻まれているとのニュアンスが生まれる。「害」は災いや人に危害を加える意味があり障害者に問題があるようなイメージを生む。』ということです。
 
  私たちも、同様の考えです。「碍」は、電柱に取り付けられている「碍子」の文字に使われているように、電流を妨げる存在であり、「妨げ」あるいは「壁」という意味を持っています。身体障碍において、バリアフリーや車椅子などの補助具や環境調整の整備が進むほどに、身体移動の「妨げ」「壁」は軽減されます。発達障碍においては、前回に指摘したように、周囲の理解や環境調整が進むほどに発達障碍当事者が集団生活の場面やコミュニケーションにおいて生きづらさが軽減されると思います。
 
 平たく言えば、本人の側の「障害」に目を向けることから、本人と社会の間の「妨げ」や「壁」に目を向けていこうということです。
 
 あらためてそのことを、当コラムの連載『自閉症は、体質? 障害?』の視点から見つめ直してみます。自閉症(自閉スペクトラム症・発達障碍)は、やはり、「障害」でなく体質と考えられます。体質ですから、変えようがないし、変える必要もありません。本人が望んでもいない過度の訓練で何かを「克服」する必要もありません。本人と周りの集団・社会に横たわる「妨げ」「壁」を一つ一つ取り除いていくことが必要です。
 
 そのような視点で、この連載のはじまりに例にあげた東田さんが「前を向いて」と言われて混乱した話を振り返っていただければありがたいです。 (了・鮮)