《縄文を知る-その1》縄文のビーナス | そるてぃーあひるっ!(いととえん・むすび)

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神仏・精霊・森羅万象。多彩な色彩。多様な生命。円となって繋がり広がる縁。縁のもとに結ばれた糸(=意図)と会う。糸+会=絵。
あらゆる縁の意図(=糸)が絡み合って生じる、そんな絵を描いていきたい。

耳の聴こえない絵描き

ソルト/Shiori Ueda

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2019年に「日本の神さま」というテーマで100以上の神さまの絵を制作しました。

 

 

その時に「アラハバキ」という神を土偶と共に描きました。

 

 

アラハバキは蛇と関連する神だという説を読みました。蛇は脱皮を繰り返し新たな生を得る生き物、永遠と再生の象徴です。

 

 

同じ時期に土偶のことも少し知りました。豊穣の願いのもとに作り上げ、そして豊穣を祈って壊す。それはまるで神話の中で、殺されてその亡骸から五穀を実らせた「オオゲツヒメ」や「ウケモチノカミ」、死んで黄泉の国へ行き、腐敗した身体から八つの雷神を生み出した「イザナミ」のようだと思いました。

 

 

死と復活を繰り返す蛇と土偶。

 

 

亡骸が土に還り、草木の苗床となり、草木を鳥や動物が食べ、人間が食べ、それぞれに食べて食べられて、そして死んでまた土に。その土から土偶が。ぐるぐると輪廻が回る。永遠を繰り返す。蛇と土偶。縄文と神話はきっとつながっているのだろうなと遠い思いを馳せました。

 

 

 

《アラハバキ》2019年

 

 

 


それから2025年。

 

 

「土偶展に出ないか」と誘いを受けました。しかしわたしの土偶の知識は「アラハバキ」を描いた2019年で止まっています。そもそもわたしは古事記を専門にしているので、それより以前の縄文時代に関しては知識がありません。縄文時代って古事記の時代から何年前ですか…?

 

 

知識がなければ絵を描けません。

 

 

まず資料から読みこむことにしました。

新しい知識が入ることは楽しいものです。

 

 

 

 

数日かけて怒涛の勢いで縄文の資料を読み込む。

お客様からいただいたお茶請けや珈琲なども添えて。

 

 

 

 

 

折しも大阪では大阪市立美術館で「縄文のビーナス」と「火焔型土器」の展示がありました。

2025年4月26日から6月15日、日本国宝展。

 

 

この時は5月30日。

見るしかないよね。

 

 

しかし数時間待ちの大行列。室内は満員電車並みの大混雑。

そしてわたしはスケジュールが詰まってる。

 

 

「よし、ほかの展示品は見ない。縄文のビーナスと火焔型土器だけ見て帰る」。

 

 

行きました。

 

 

 

360度どこからでも見ることができるガラスケースでの展示です。

 

 

正面の写真は何度か本などで見ていたものの後ろの写真は見たことがなかったわたくし、そのガラスケースのおかげで初めて「背中から尻にかけて大きくくぼんでいる」ことを知りました。くぼんでいたのか。

 

 

いくつかのビーナスたちで背中合わせに円を作り、その背中に丸い土器を乗せて支えていたのではないかと思うような形でした。

 

 

その背中のくぼみに何を乗せていたのだろう。別になにも乗せていなかったかもしれない。赤子を背負う母にも見えます。広い背中でいのちを支える柱にも見えます。

 

 

今は何も見えないくぼんだ空間に、祈りの心を置いておきましょうか。

 

 

こうして6年ぶりに2つめの縄文の絵を描きました。

 

 

 

 

 

2025.6.10制作