耳の聴こえない絵描き
ソルト/Shiori Ueda
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神話を調べているひと向けに
【宗像三神】について色々考えるポイントになることを書いておこうかなー
※とても長くてマニアックなネタだよ
九州・宗像大社の宗像三神といえば
イチキシマヒメ
タゴリヒメ
タギツヒメ
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◼︎イチキシマヒメ
別名:イツキシマヒメ、サヨリヒメ
「精進潔斎」などでも使われる「斎」は穢れなき状態(ここで言えば処女のこと)を示す。神々へ斎(いつ)き祀(まつ)り仕える姫神とも。
◼︎タゴリヒメ
別名:タギリヒメ、オキツシマヒメ
滾(たぎ)る、とも言われるし、霧、とも言われる。田心姫とも言われる。
◼︎タギツヒメ
湍津姫の湍(たん)とは急流のこと
多岐都比売とも書かれ、合わせて想像すると無数に枝分かれした激流の川のようにも。
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「海」の神とされている、三姉妹神とされているわりには
名前も別名も由来もバラバラで統一感がないと思わない?
別の話になるけれど
神の名は無数の「別名」が伴うことが多い。
それはいくつもの別の神が融合してしまったり、古代日本においては「名」が無数にあったことにもちなむよね
単純に「名」この一文字でいいはずのこの言葉
古代日本では「名」はそのひとの魂を肉体に縛るものとされていて
「名」を知るとその魂を支配できるという考えから、呪詛に使われてしまうこと、また悪い神霊に呪われることを恐れて
「本名(本当の名)を隠す」とか「幼名をつけることで呪詛を防ぐ」とか「強い者の名をもらうことで自分も強くなる」とか
まあ色々ね
部族によっては「幼いこどもにわざと汚らわしい名をつけることによって邪悪から守る(邪悪はきれいな気を好むとされた)」というのもあったし、
だからそれらの名残りみたいなものでいえば武士なんかは「元服」で名を変えたり、歌舞伎では「襲名」があったり。
多くの名を持つ神はそれだけ「他神の名を奪って強くなった」という見方もできる
◼︎
さておきいつものごとく話が長くなるけど
その神々の名の中でも「貴」がつく神は限られていて特別な存在とされている。
「貴」は「むち」と読む。「貴(とうと)き」「高貴」が示すように、貴は高位の表れ
すなわち「女王」「王」を示す
「ムチ」がつく神は
◼︎大日孁貴/オオヒルメノムチ
(※ 孁=女)
アマテラスの別名(元の名)
ヒルメ(日ル女=ヒメ)・ヒルコ(日ル子=ヒコ)というふうに、本来対になっていたとも。
オオヒルメノムチ=女王ヒミコという説もある。
◼︎大己貴/オオナムチ
オオクニヌシの別名(元の名)
※大国主とは出雲の王になってからの名
◼︎道主貴/ミチヌシノムチ
宗像大神の別名
宗像三女のことと言われているが、高貴なる者(つまり女王や王のこと)をわざわざ三人にする意味が見えないという説とかもあってな…
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長い歴史の中で
支配された側は、存在を変えられたり消されたりするのが常である。
元はスクナヒコナのことであったはずの「天満神」が菅原道真の名になったように。
本来古事記に書かれている通りに神が誕生したならば
「天安川のほとりで剣を噛み砕いて吹いた息の霧から生まれた」
霧のタギリヒメ=霧の神
激流のタギツヒメ=川の神
これは分かる、筋書きに合うしね
しかし「神を斎き祀る=神に仕える」イチキシマヒメはよくわからないし、どちらかといえば「巫女」のようでもある。そうそう「斎宮(さいぐう)・斎王(さいおう)」という制度も昔はあったね。(伊勢)神宮のアマテラスに仕えるためのけがれなき巫女(処女、あるいは初潮を迎えていない幼女)。
イチキシマヒメの別名「サヨリヒメ」は斎宮となった姫の名ともとれる
また別の話になるけれど
「タグリヒメ」という神もある
タグリヒコ(手栗、高倉、棚倉など…つまりは穀物を守る倉の神)と対になっている
タグリとは古語で吐瀉物のことなんだけどね…
タギリ、タグリ、タゴリって並ぶとスッキリするよねえ、カ行だね(これは本当にしょうもない個人的感想である)
最後にちょっということあって
アニミズム(神霊信仰)は「山でとれた命は山へかえす」「海でとれた命は海へかえす」
魂を返し、残った毛、骨、肉、血などを残すことなく利用する。
日本は元々狩りをして釣りをして…っていう
狩猟民族・海洋民族だったからね
荒ぶる神へもまたその怒りを鎮めるために命を返した。
それが「人柱」「人身御供」
神に返した者の名もまた鎮め祀る。いつかまた祟りなすことのないように。
その名がいつしか神の名になることもあるかもしれないよね
まあイチキシマヒメがそうだとはわざわざ言わないけどね
1300年はそれだけ長いんだよね。(※古事記ができたの712年)
どこかで本当のことは本当じゃなくなって本当じゃないことが本当になる。
真実はどこにもないものだよね
まさしく神のみぞ知る