2022行政書士試験  問題46について思うこと | 森永の小部屋 

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主に教室受講生に対して書いているブログです。このブログに掲載していることは、TACの公式見解ではなく、森永個人の主観に基づくものです。また、記事は万全を期しておりますが、万が一不利益を被られたとしても責任は負わない旨ご了承ください。

受講生の皆様、お疲れ様です。

 

昨日は、個人的に相談会を実施しました。

 

実際に受講生の方の出来不出来を聞いて感じたことなどは明日書く予定です。

 

今日は昨日も書いていたように、本試験の問題46に関して書きましょう。

 

個人的に、一番解答例や採点基準がわからんのがこの問題です。

 

事例としては、Aが土地を借りたと。工場を建設するつもりで。それはB所有の更地です。期間30年と定めて貸借しています。もう一回言いますと貸借しています。ただし、賃借権登記はしていない。このような場面で、なんの権限も有しないCが、Aに引き渡される前に塀をつくった。Bがなんにもしてくれいときに、AはCにどのような請求をすることができるか。

 

答えなければいけない問いの核心部分は「AがCにどのような請求をするのか」という点です。

 

誰が誰にどの権利をどのように請求し、何を求めるか

 

などという解答の骨組みが示されていれば書きやすいのですが、このようなレールがないためいかようにも書けてしまいます。

 

まず、キーワードを確認すると、①債権者代位権、②Bの所有権、③妨害排除請求、④塀の撤去、⑤土地の明渡し等でしょうか。後述しますが、全部入れようとすると文字数を超えてしまいます。

 

まずは①の債権者代位権。個人的には代位行使等でもいいと思います。本問は丁寧に記述しようとすると時数が厳ししくなる。このようなことを考えても「代位行使」でなく「債権者代位権」を出題者が要求しているわけではないかな、と思います。

 

次に②のBの所有権。当日の記事にも書きましたが、本問では賃借権で文句言えません。登記していないので。じゃあどの権利に基づいて何を言うのか、というと使えそうなのはBの所有権。

 

ちなみに、賃借権や債権者代位権は債権ですが、物権レベルで何か言うことができるでしょうか。

 

物権の代表格である所有権ですが、Aは所有権を持っていません。では、占有権に基づいて占有保持の訴えを提起することができるでしょうか。

 

 

 

 

 

 

本問では、Aが物権でCに文句を言うことは難しい。所有権はないし、占有権も有していないからです。占有するためには占有権が発生する必要があります。基本講義でも言っておりましたが、占有権の発生要件は自己のためにする意思と所持が必要ですが、本問は問題文でAに引き渡されていないことが明記されています。よって、占有保持の訴え等では×となるでしょう。いつも言っておりますが、何を書く、何を書いてはいけないということを問題文の中から根拠をとる。

 

使えそうな権利はBの所有権。しかし、それをBが行使しないので代位行使などという表現が必要となるでしょう。

 

さて、最後に何を求めるのか。各予備校で答案が異なります。また、予備校によっては解答例を複数出しています。

 

妨害排除請求・塀の撤去・土地の明渡し

 

このあたりをもれなく書こうとすると45字の文字数を超えてしまうので、予備校もどれを取捨選択するかで悩んでいるのかな、と思います。

 

個人的には、「建設工事をするために・・どのような請求をするのか」という点に丁寧に答えるほうが無難だと思います。

 

 

 

私が最初にこの問題を見たときには、「建物を建設するために何を請求するのか」という点が一番大事かな、と思いました。優先順位が一番高いだろうと。答案から、建物を建設するために必要な手段だと読み取れなければいけない。

 

具体的に「塀の撤去」を書くことなく「所有権に基づく妨害排除請求を代位行使する」と書いていると、具体的にどのような請求を本人が求めているのか読み取れません。それが塀の撤去なのか土地の明渡しなのか。

 

ここからは完全に私の好みになるのかもしれませんが、塀の撤去を書かずに土地の明渡しもどうなのかな、と思います。

 

事例で塀が示してあって、建物を建設するための手段を問うているわけですから、塀の撤去が書かれておらず、土地の明渡しだけだと「塀の撤去はどう考えているのかな」と思ってしまうのですがいかがでしょうか。

 

よって、私個人としてはTACの解答例が望ましい一つの形なのかな、と思います。その他にも、必ずしも土地の明渡しまで書いてなくても、他のキーワードを入れた結果、時数の関係で塀の撤去にしか触れられていなかったとしても〇でいいのかな、と思います。

 

ということで、採点基準にもよるかと思いますが、この問題は建物を建設するためになにを請求するのか、という点に答える姿勢が大切で、塀の撤去には触れていたほうが無難であろう、というのが私の感覚です。土地の明渡しと塀の撤去では塀の撤去が優先順位が高い。建物を建設するためには、塀の撤去に触れることなく土地の明渡しとするよりは、少なくとも塀の撤去は請求すべきではないか。

 

 

近日中に、試験センターが合格発表時に発表している解答例に関する話も書こうかと思います。

 

では今回はここまでとしましょう。お疲れ様でした。