カラオケの姉 3(終) | 白金家の座談会

白金家の座談会

ブログはもうほとんど書いてません。
現在は「小説家になろう」で活動してますので、新作が読みたい人はお手数ですが向こうで私の名前を探してみてください。
サイト中段のアンケートは時折覗きに行きます。

 カラオケの時間が終わるまで30分になった。俺と愛理姉は歌う事を再開し、それぞれ自分の歌いたい歌を歌う。理子姉の作曲した歌も少し混じった。愛理姉の歌声は可愛く、どこか頼りないようにも感じる。ふにゃふにゃとした細い声が上がったり下がったりする。
 フライドポテトと唐揚げも頼んだ。曲を聴きながら一本ずつもぐもぐとする愛理姉はやはり可愛い。もぐもぐもぐもぐ。まるでハムスターのようにポテトを食べている。
 俺が曲を選んでいると、愛理姉は隣にやって来ていきなり抱き着いてきた。
「愛理姉?」
「んー、んーっ」
 愛理姉はフライドポテトを口にくわえていた。それを俺の目の前に持ってきて目を合わせる。これを食べろ、と。いやいくらなんでもこれはまずいでしょ、と思ったが、愛理姉が「食べないの?」と言いたげに悲しそうな目をする。うう、わかりました。
 フライドポテトを食べるためくわえると、愛理姉は俺をそっと抱き寄せた。両側からもぐもぐすることになり、結局俺と愛理姉はキスをしてしまう。それが塩味でしょっぱくて、そしてほんのり甘くて。
「えへへ」
「……ったく」
 愛理姉は笑顔になっていた。やわらかい愛理姉の身体と密着している、このことだけでも幸せになれる。そして今は愛理姉と二人きり。だからあまりにも嬉しすぎて。
 むに、っと顔に胸を押し付けられた。むにむにむに。うう、これはいい。
「お姉ちゃんがいないと生きていけないようにしてあげるからっ」
「ふぁい」
 このままずっと歌わなくてもいいや、。


 家に帰った後も愛理姉は俺から離れてくれなかった。夜ごはんの準備や皿洗いなどを一緒にやり、一緒にいる生活を送った。皿洗いが終わった頃にはもう他の姉さんたちは自分の部屋に戻っていて、台所には愛理姉と俺だけが残った。
「つかれちゃった」
「もう寝るか?」
「うん」
 愛理姉は俺の背中にもたれかかってきた。背中にむにっと当たる。俺は愛理姉を背負って立ち上がり、愛理姉の部屋に向かおうとしたが、愛理姉が何だかむー、むーっと唸る。
「将君の部屋で一緒に寝たいよー」
「俺の部屋で?」
「一緒に寝たいのー」
 愛理姉がなかなか離れてくれないため、仕方なくその要求に従うことにした。仕方なくだ、仕方なく。なんか俺を抱く腕の力が若干強くなったような気も。
 俺の部屋に愛理姉を連れ込み、彼女をベッドの上にごろんと倒した。そのままふにゃーっとベットの上で横になった愛理姉はこっちを見つめてくる。あの、着替えなくていいんですかね。そもそもここに来た地点で着替える気ないでしょうけど。
「将君と一緒に寝たいのーっ」
「……愛理姉、悪い物食べた?」
「いいからはやくーっ」
 渋々それに従い愛理姉の隣で横になった。渋々である。すると彼女はぎゅーっと抱き着いてきて、つかまえたから逃がさん、と言いたげにこちらを見つめてくる。
 丁度向かい合うように抱き合っていた。愛理姉のやわらかい身体はやはり抱いてて気持ちよく、良質の抱き枕で寝ているような感覚になる。そんなこんなで愛理姉を抱いていると、どうやら彼女は既に寝入ったようで。すーすーと寝息を立てている。
「……ありゃま」
 そのまま抱いていると、こちらも眠気が襲ってきた。今日一日ずっと愛理姉と一緒にいたような気がする。少し疲れたかもしれないが、やはりこうして一緒にいると幸せだ。気が付くと俺も寝入っていて、愛理姉の胸に顔をうずめることとなった。やわらけぇ。