カラオケの姉 2 | 白金家の座談会

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現在は「小説家になろう」で活動してますので、新作が読みたい人はお手数ですが向こうで私の名前を探してみてください。
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「嫌っ、そんなの駄目ぇ……」

「愛理姉、もう限界なんだ」

「て、店員さんが来るかもしれないし……んんっ」

 カラオケの曲をBGM代わりにして、俺と愛理姉はソファでお互いキスをむさぼり合っていた。愛理姉の着ていた服が体のラインを出しやすかった服であったためか、その姿はいつもよりも余計に艶めかしく見えてしまう。愛理姉は最初は拒否していた様子だったが、徐々に俺の身体を抱いてくるようになった。身体が触れ合うたびに自分の身体の中で人間の本能が蘇るような感覚に陥り、目の前の人が姉だという事を忘れてしまう。

「愛理姉がこんなに可愛いのがいけないんだ」

「そんなぁ……んっ、あぁ……」

 少々強引に愛理姉の胸に顔をうずめた。この感覚が欲しかった。うずめたと同時に自分の中で何かがしぼんでいくような感覚になり、次第に愛理姉を独り占めしたくなる気持ちは薄れていった。愛理姉は俺が落ち着いたことを悟ったのか、少し安心したよう。

「甘えん坊さんだね」

「うー」

 愛理姉は俺の後頭部をなでなですると、優しく包み込むように抱いてくれた。ソファの上だから愛理姉が下になっていて苦しいかとは思ったが、愛理姉はそれでも笑顔で抱いてくれていた。手のひらから彼女の愛情を直に感じながら幸せの一時を過ごす。

 曲が終わったらしく、愛理姉はちらとテレビの方に目をやった。それが何だか悔しくて、愛理姉をさらに強く抱きしめる。視線がこっちに戻ってきた。

「ずっとこうしたかったの?」

「……うん」

「いいんだよ。お姉ちゃんの前では子供になっても」

「愛理姉……」

 正直言うと、愛理姉に甘えたくてしょうがなかった自分がいたような気がした。美香姉や理子姉、百合姉に甘えたい気持ちもないわけではないが、愛理姉が一番だ。愛理姉なら俺を理解して、優しく包み込んでくれる。そんな気がしていたのだ。

 愛理姉は目を細めると、横になったまま選曲の装置をピッピと操作する。そうして流れた曲は「大きな古時計」だった。彼女の優しい声が聞こえてくる。

「おーおーきなのっぽのふるどけい、おじいーさんのーとけいー」

 子守唄のような歌だった。愛理姉はまるで寝ない子供を寝かしつけるように優しく歌う。彼女の方を見ると、少し恥ずかしそうな反応が返ってくる。そんな愛理姉も可愛い。

「愛理姉、いいお母さんになれそうだな」

「そんなこと言わないでよ……もう」

 愛理姉のお腹の辺りに意識を持っていった。いつか愛理姉にも子供が出来るのだろう。その相手がだれであろうと幸せになってほしいが、まださっきの感覚が残っているのか、愛理姉は俺だけのものだ、という考えも捨てきれていない。

 となると、愛理姉と俺の子供がここに出来ることに。待て待て、話が飛躍しすぎだと自分に言い聞かせ、愛理姉の歌の助けも借りて俺は現実に戻ってくる。

「将君?」

「……なんでも」

 眠かった。