甘党な姉 3(終) | 白金家の座談会

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現在は「小説家になろう」で活動してますので、新作が読みたい人はお手数ですが向こうで私の名前を探してみてください。
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 スイーツ売り場を見て回っていると愛理姉からメールが届いた。

「『終わったから早く来て』だって」

「……やだ」

 メールの文面を俺が読むと、美香姉は途端に拗ねたような顔をした。若干涙目にもなっていて、口元でぶーっと俺に抗議してくる。参ったなと周りを見渡すと、向こうにアイスクリームショップが見えた。バニラアイスがおいしい所である。

「美香姉、最後にアイス買ってく?」

「アイス?」

「俺も帰って休みたいな、と思ってるんだけど、美香姉はどうかな」

 美香姉は少しふくれっ面になっていたが、アイスと書かれた旗を見ていると彼女の口元が緩んできた。俺の右手を握ると、某吸引力が変わらないただ一つの掃除器に吸い込まれていくかのようにアイスクリーム売場へ飛んでいった。

 バニラアイスのダブルを頼み、コーンの上にふたつがぼんと乗っかる。代金を払い、愛理姉の待つ入口へ向かった。美香姉ははむはむとバニラアイスを食べながら俺の後ろをついてくる。向こう側に愛理姉の姿が見えた。

「あれ、美香ちゃん何食べてるの?」

「向こうでバニラアイスを買ったんだ」

「美香ちゃん、ほっぺにチョコレートがついてるぞぉ」

「っ!?」

 美香姉は驚いたような顔をすると、急いで左手の甲で頬の辺りをフキフキとした。ほんのちょこんと茶色いチョコが美香姉の左手につく。そしてそれをペロっと舐めた。猫が毛づくろいしている光景が俺の脳内で同時再生された。

「美香姉が猫になった」

「ほんとだぁ」

「……ばか」

 バニラアイスをむしゃっと一口で食べながら美香姉はぷーっと頬を膨らました。

 家で買ったまんじゅうを食べていると、美香姉が急に後ろからぎゅっと抱き着いてきた。そのまま畳にころんと横になり、俺は美香姉の方を向く。なでなでをしてあげると美香姉は目を瞑ってむーっとする。そして俺の胸元に飛びつき、その場で動かなくなった。

「……寝たのか」

「……すー、すー」

 こたつに足を突っ込んだまま俺は美香姉を優しく抱く。美香姉はどうやら眠ったようだ。すると今度は、仕事が終わったのだろう、理子姉が部屋に入って来た。

「理子姉おかえり」

「ただいまー。あれ、美香ちゃんはおねむなのかな?」

「だそうだ」

 理子姉は眠っている美香姉の隣で横になると、仕事帰りの疲れを癒すかのように美香姉に抱き着いた。美香姉は俺と理子姉の間に挟まれたような感じになり、俺と理子姉はその場で向かい合って微笑む。

「美香ちゃんが私たちの子供みたいだね」

「なっ」

「ふふっ、将君ったら本気にしちゃうんだから」

「違う、違うって!」

 前に愛理姉とこんな話をしたような気もした。理子姉は俺の頭をなでた後、眠っている美香姉の顔を見ながら目を瞑る。そのまま理子姉も眠ってしまった。

「……夜ごはんはまだだから俺も寝るか」

 美香姉を抱き枕にして、俺も寝ることとした。