甘党な姉 2 | 白金家の座談会

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現在は「小説家になろう」で活動してますので、新作が読みたい人はお手数ですが向こうで私の名前を探してみてください。
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 ケーキ屋が並んでいる通りに出ると、美香姉はなかなか足を進めなかった。一軒一軒ごとメニューを穴が空くまで見つめ、「これじゃない」と言いたそうな顔になった後また次の店へ向かう、の繰り返しだった。

 その中でふと、美香姉が着ているセーターを整えるため下へ伸ばす。すると彼女の小さな胸のふくらみがセーターにちょこんと現れる。愛理姉や百合姉とは違って、本当にちょこんとした胸のふくらみ。しばらくそれに目を奪われていると、視線に気づいたのか美香姉がぽかりと頭を叩いてきた。ドウモスイマセンデシタ。

「……ばか」

「ごめんなさい」

「次のお店」

 そう言って二人で向かった先のお店で美香姉が「これだ!」というような笑顔になった。美香姉の視線が釘づけになったのは、そのお店の看板に大きくある「チョコだくだくケーキ」である。どうやら店内で食べられるらしい。その看板をじーっと見つめる美香姉は俺の服のすそをつまむと、何かに引き寄せられたかのようにふらーっとその店へ入った。

 中で席に座って店員さんに例のケーキを頼み、待っている間にぼんやりと美香姉を見つめた。メニュー表の他の種類のケーキをじっと見ている美香姉は口元が緩んでいて、体全体から力が抜けているような印象を受けた。一言で言うと可愛い。ぽおっとしている彼女は見ているだけでも幸せになれる。

「……将は何が好き?」

「俺か……俺もチョコレートケーキだな」

「同じ」

 美香姉は嬉しそうに俺の手の甲をちょんとつついた。よく考えれば俺と美香姉は実の姉弟であるため、好みのものが似ていても何ら不思議ではないだろう。美香姉と微笑みあっていると、頼んでいたチョコだくだくケーキがやってきた。美香姉の目が輝く。

「……」

「……美香姉?」

 ケーキのフォークを持った美香姉がじっとこちらを見つめてきた。大きな目でしっかりと俺を捕まえた美香姉はじっと何かを伝えようとしてくる。

「あーん」

 たった一言だけで、言った本人の美香姉がぽわっと顔を赤くしてしまった。俺は美香姉に言われたとおりに、ケーキを少しとって彼女の口元に出した。美香姉は周りの目を気にしていたようでもあったが、一気にはむっとそれを口にする。そして顔を蕩けさせた。

「……将と一緒で良かった」

「美香姉?」

「今とっても嬉しい」

 美香姉はにこっと笑顔になった。ああ、かわいい。