【日経新聞1面】米利下げでさらなる円高懸念
2019/6/26 8:41 FISCO
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米利下げでさらなる円高懸念
円の実勢値が均衡為替レートの理論値107円台に接近、米利下げなら105円台が妥当
日本経済新聞社と日本経済研究センターが経済の実態に見合う外国為替相場である「日経均衡為替レート」を算出。円相場の理論値は2019年1~3月時点で1ドル=107円台前半、15年から「割安」な状態が続いたが、25日は一時106円台後半と均衡水準近辺に上昇した。米国が利下げ局面に入ると105円台が妥当になり、一段の円高リスクもくすぶる。
マクロ経済の指標からみた均衡為替レートは、直近の19年1~3月時点で1ドル=107円20銭。同期間の円相場の平均110円を約3%上回った。実際の円相場は4月から上昇軌道を辿り25日は一時5カ月半ぶりに106円台に上昇した。世界経済の先行き不安で金融緩和競争の様相が強まり、米FRBは19日に利下げを示唆した一方で、日本の金利の低下余地は乏しく、日米金利差の縮小が円買い・ドル売りを誘っているためだ。
円相場は10~14年に適正値より「割高」、15年以降は「割安」に転じた後、直近では理論値の近くまで上昇した。均衡レートの推計式に2回分の利下げ(0.50%)を単純に当てはめると、105円90銭が「妥当」となる。他国の金利への波及を加味すると円高圧力はもっと大きく、市場には「FRBの方向転換で年内には100円突破もみえてくる」との声もある。
中国人民元の均衡レートの推計値は、19年1~3月に1ドル=6.74元で実際の相場の平均6.75元とほぼ一致、足元は6.88元程度と元安方向にあり、中国当局の元安容認の姿勢も指摘されている。IMFは22年にも中国が経常赤字になると予測しており、経常赤字と仮定すると均衡レートは6.8元程度で、赤字を前提にしても7元が視野に入る足元の水準は「過小評価」の可能性があり、米中で為替問題が対立点に浮上する可能性もある。
為替相場の動向はわが国の企業業績を大きく左右する。世界的に金融緩和の様相が強まっていることで、円高に振れる方向に傾いており、わが国の企業業績への不安が高まり、それが日本株市場の重石になっている。中国の元相場に対する米国の認識が米中貿易摩擦を一層刺激する。海外比率の高い自動車株、電機株にとっては逆風が続きそうだ。
円の実勢値が均衡為替レートの理論値107円台に接近、米利下げなら105円台が妥当
日本経済新聞社と日本経済研究センターが経済の実態に見合う外国為替相場である「日経均衡為替レート」を算出。円相場の理論値は2019年1~3月時点で1ドル=107円台前半、15年から「割安」な状態が続いたが、25日は一時106円台後半と均衡水準近辺に上昇した。米国が利下げ局面に入ると105円台が妥当になり、一段の円高リスクもくすぶる。
マクロ経済の指標からみた均衡為替レートは、直近の19年1~3月時点で1ドル=107円20銭。同期間の円相場の平均110円を約3%上回った。実際の円相場は4月から上昇軌道を辿り25日は一時5カ月半ぶりに106円台に上昇した。世界経済の先行き不安で金融緩和競争の様相が強まり、米FRBは19日に利下げを示唆した一方で、日本の金利の低下余地は乏しく、日米金利差の縮小が円買い・ドル売りを誘っているためだ。
円相場は10~14年に適正値より「割高」、15年以降は「割安」に転じた後、直近では理論値の近くまで上昇した。均衡レートの推計式に2回分の利下げ(0.50%)を単純に当てはめると、105円90銭が「妥当」となる。他国の金利への波及を加味すると円高圧力はもっと大きく、市場には「FRBの方向転換で年内には100円突破もみえてくる」との声もある。
中国人民元の均衡レートの推計値は、19年1~3月に1ドル=6.74元で実際の相場の平均6.75元とほぼ一致、足元は6.88元程度と元安方向にあり、中国当局の元安容認の姿勢も指摘されている。IMFは22年にも中国が経常赤字になると予測しており、経常赤字と仮定すると均衡レートは6.8元程度で、赤字を前提にしても7元が視野に入る足元の水準は「過小評価」の可能性があり、米中で為替問題が対立点に浮上する可能性もある。
為替相場の動向はわが国の企業業績を大きく左右する。世界的に金融緩和の様相が強まっていることで、円高に振れる方向に傾いており、わが国の企業業績への不安が高まり、それが日本株市場の重石になっている。中国の元相場に対する米国の認識が米中貿易摩擦を一層刺激する。海外比率の高い自動車株、電機株にとっては逆風が続きそうだ。
関連銘柄 4件
・トヨタ自動車(7203)東証1部
国内販売トップ・世界3位、四輪車の海外販売台数比率79%
自動車世界大手。傘下に日野自動車、ダイハツ工業など。マツダと業務資本提携。車載用角形電池事業でパナソニックと協業検討。自動車販売台数は小幅増。国内販売は減少だが、海外販売が堅調。19.3期3Qは営業増益。 記:2019/04/25
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・本田技研工業(7267)東証1部
四輪車世界7位・二輪車世界トップ、四輪車の海外販売台数比率86%
自動車・二輪車大手。自家用小型ジェットも手掛ける。北米が稼ぎ頭。21年に英国工場を閉鎖し、トルコ工場のセダン生産も停止。電動化を見据えて生産体制を再構築へ。19.3期は会社計画比で減益幅が縮小したと推察。 記:2019/04/24
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・日立製作所(6501)東証1部
産業エレクトロニクス主力に国内電機トップ、海外売上高比率51%
総合電機首位。情報・通信や社会・産業等のシステム等を展開。パワー半導体や量子コンピュータ関連として注目集まる。鉄道システムにも注力。19.3期3Q累計は情報・通信システム、社会・産業システムが堅調に推移。 記:2019/03/21
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・ソニー(6758)東証1部
電機・ゲーム・音楽・映画・金融と多角展開、海外売上高比率70%
世界的な電機メーカー。モバイル機器やゲーム機器、デジタルカメラ、業務用放送機器、家電、半導体分野等で事業展開。金融サービス等も。音楽分野は収益好調。ストリーミング配信売上は増加。19.3期は2桁増益。 記:2019/05/03
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