理想を捨てたら、なんでもラクなのにね | 奥歯にものは挟まずに

奥歯にものは挟まずに

認知症の義母をきっかけに、ふざけたブログを書き出して、
義母を見送りました。
イケてて笑える(笑われる)ババアを目指して、日々の暮らしを綴ります。

とある日、
アタシの勤めるスーツ屋に、
92歳だというおじいちゃんがやってきた。

ズボンがほしいという。
おじいちゃんは、この店の北側の山のほうに住んでおり、杖を使って、バスでやってきたという。

まあ、ヨタヨタだ。
でも頭もしゃっきり、耳は遠いが、人のハナシは理解している。

「一万円は出さないと、いいズボンはないやろ」とおっしゃる。

んじゃあ高いズボンを買ってもらいましょうと、
アタシは15000円のズボンを売った。

試着室にイスを起き、立ったり座ったりしてもらいながら、今履いているズボンを脱がし、試着をさせ、裾の長さを取り、
急ぎで直しに出した。


アタシがレジを操作していると、
自衛隊上がりの社員のMくん(26歳、見た目はのび太)が近寄ってきて、

その他の商品を勧めたか?

とアタシに言う。

「あのおじいちゃんにはやめたって」
とアタシは言った。
「今売らなくていつ売るんですか。
優しさとかいらないし。」
とMくんは言った。

…ムカついた。


あのね、
一応声はかけたよ。
「他にご入用なものはないですか」って。
「ないなぁ」とおっしゃいましたよ、
おじいちゃんは。

老い先短いお年寄りに、いらないものを売りつけるのが販売員なのかいっ。

あんたアタシの上司でもないのに、
あんたに雇われてもいないのに、
アタシの仕事のしかたを、あんたに注意されるんですかい。


がーっ。

おじいちゃんは、ありがとうありがとうと、ヨタヨタと帰っていった。


とある時、店長が、まだ20代のスリムな男性に、
ちょっと太めのシルエットの、布地の上等なスーツを3着売ったことがある。
アタシはそのとき、
「若い男性には、もっと似合う、違うスーツがあるだろうに…。」と思った。
この若いお客様、貫禄をつけたくて、自分の意思で、じじくさいスーツを買ったのかしら。


とある時には、
このMくんが、高校を出たての女の子に、ターゲットが4、50代向けの、フォーマルアンサンブルを売った。
17号だったから、若い子向けのフォーマルがなかったんだろう。
お母様と一緒に見たてていたから、騙したわけではないだろうが、
なんだかな…と思ったわ。
ババくさいって。
(お客様ー、それ、要るぅー?
探せば、もっとカワイイフォーマル、あるんじゃないのー?
ほんとに気にいったのー?)


詳しくは書かないが、
スーツ屋というのは、
ユニクロやZARAみたいな、わかりやすい商売ではない。
このややこしさ、イヤだなぁ。
そこまでしないと、アパレルは、潰れてしまう時代なんだろう。


それでもね、
いろんな矛盾があっても、
販売員は、「売る人」だ。
売り上げさえサクサク作れれば、
大きな疑問は感じずに、続けていけるものなのだろう。


アタシは売り上げが作れないので、
疑問を感じまくりですw


こういう商売のしかたが好きではないし、
売り上げは作れないしで、
アタシはモンモンとしながら働いています。


アタシってば、青二才ですね。
50にもなって、
まだ仕事に夢を描いている。

日本よ、
誠実さが報われる世の中ですか?


今日もハナシがでっかくなってしまったわ。
売り上げがしょぼい、というアタシの愚痴なのにw
人より優れていたいという、悔しさ、なのにw


お義母さまに対しては、
アタシはかなり理想は捨てたw



こちらは天気の良い日曜日です。

今からお義母さま宅へ、
息子の運転で、行ってまいります。

みなさまも、
良い1日でありますように。