認知症を振り返る10 | 奥歯にものは挟まずに

奥歯にものは挟まずに

認知症の義母をきっかけに、ふざけたブログを書き出して、
義母を見送りました。
イケてて笑える(笑われる)ババアを目指して、日々の暮らしを綴ります。

お義母さまは寝ない。息子を相手に、しゃべり倒している。
すげー体力。

旦那はお義母さまを無視して、午前3時前に、新聞配達に出かけた。

アタシは朝5時くらいに、リビングに出て行った。
おはようございます、とお義母さまに声をかけると、
ああ、おはようさん、と、拗ねたような返事。
独り言をずーっとブツブツ言っている。
アタシはずっとお義母さまの相手をしてくれた息子を自室に行くよう促し、仮眠させた。

アタシは何事もなかったかのようにコーヒーを出し、お湯で絞ったタオルを渡した。
お義母さまは我が家に来てから、ずっと、素直にそのタオルで顔を拭き、アタシに化粧水を手のひらに乗せてもらっている。
今朝もそれは変わりない。

普通にお義母さまと話す。
まあまあ落ちついている。
激昂してないな。
アタシは朝食を出し、精神科でもらった抑肝散を、いつものように、袋の口を切って、(お義母さまは自分でできなかった。)飲ませた。

旦那が新聞配達から帰ってきた。
お義母さまの様子を、恐る恐る伺っている感じだ。
あえて目を合わさないし、お義母さまの視界に入らないところにいる。

お義母さまは、ブツブツと、あれがなくなったら、私は生きてゆかれへん、などと言っていた。
あれとは、通帳のことだろうな。

息子にお義母さまを見ていてもらい、アタシと旦那は喫茶店に出かけた。
これからどうするか話し合った。
また激昂されても困るので、明日の月曜、朝イチで、本人不在オッケーの病院にアタシが相談しに行くことにした。
この近所の地域包括支援センターにも、相談に行くことにした。
アタシの仕事はしばらく休みます、と連絡した。
アタシは、おとなしくなる、向精神薬とか、出してもらえないものだろうか、と思った。
旦那は、
俺が、母親にとって怖い人になる、俺が、わざと母親に手を出すから、お前(アタシのこと)は止めろ、
息子の言うことを聞くしかないと思わせるのだ、
と作戦を立てた。
そしてお前には苦労をかけるが、俺が母親の面倒を見るより、働いて、お金を稼いで、子供たち2人を社会人にすることが先だ、よろしく頼む、とお願いされた。

2人で我が家に帰り、旦那はお義母さまにもう一度、我が家にお金を出してくれないか?と頼んだ。
やはりお義母さまは激昂した。
旦那はわざとお義母さまのお尻を叩き、俺の言うことを聞け!と怒鳴った。
お義母さまは、怖いぃー、○○ちゃぁんー(アタシの名前)、○○くぅんー(息子の名前)、と助けを求めて泣いた。
アタシは、ちょっと滑稽だなぁ、と思いながら見ていたが、
旦那にしてみたら、歳老いた母親を叩くなんて、本当に情けなかったと思う。

ひと騒動したあと、旦那はお義母さまに、通帳印鑑の入った大事なものポーチを返した。
お義母さまは、荷物に大事そうにしまい込んで、ご機嫌は直った。

そんなことをしながら、アタシはお義母さまにお風呂を勧め、夕食を食べる様子を見守り、着替えを手伝った。
そういったことは、お義母さまは拒否しなかった。

不思議な病気だよね。
お義母さまは、目が普通ではなかったが、この晩は、なんとか寝てくれたと覚えている。
大事なものポーチが返ってきたから、安心したんだろうな。