第141回横浜認知行動療法研究会を終えて-臨床で使えるための基礎知識- | リスタ・カウンセリング・ルームのブログ

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今回は大学院生の時からの研究会メンバーである松野先生(武蔵野大学 通信教育部 人間科学部 助教)にレクチャーを行っていただきました。

 

タイトル

行動療法と認知療法、そして認知行動療法

副題:すごく基礎的ですが、行動療法と認知療法、そして認知行動療法の共通点と違いを今一度確認し、その上で、あるケースを行動療法および認知療法からみてみる。

プラス

ディスカッション

 

オンラインで行いました。

参加者は公認心理師、シニア産業カウンセラー、教諭、看護師、大学教授で10名

 

 

レクチャーは、パワーポイントを用いて行動療法と認知療法の基礎的な説明から始まりました。

行動療法の古典的条件付けとオペラント条件付けについて、また、正/負の強化/弱化をまとめた表など、例を用いて心理師でない方にもわかりやすく理解できるように説明していただけました。

 

さて、オペラント条件付けについては、

三項随伴性・弁別刺激-行動 -結果事象から始まり、遅延結果、確立操作、ルール支配行動などを同じ事例を用いて説明されました。

 

 

次に認知療法の説明では、Beckの認知モデル、認知行動療法の基本モデル、代表的な技法である認知再構成法などの説明。

 

 

行動療法と認知療法の違いについては、

学習理論に基づく行動療法と情報処理理論(認知理論)に基づく認知療法はそもそも元の理論が違っているから、特にケースフォーミュレーション(アセスメント ,見立て)の部分が異なる。

行動療法は  弁別刺激-行動-結果

認知療法は    出来事-認知-反応

 

同じ3つで説明していても中身は全く違っている事実

 

 

パニック症を例に説明

行動療法での進め方

古典的条件づけからの理解/エクスポージャー法(曝露法)/オペラント条件づけからの理解/エクスポージャー法(曝露法)

認知療法での進め方

認知再構成法を用いて説明/介入例:行動実験

 

 

では、認知行動療法はどうなるのか。

行動療法と認知療法ではそもそもの理論背景が違っている。

ひとつは、行動療法の視点で認知技法を用いている認知行動療法

もうひとつは、認知療法の視点に立って行動技法も用いている認知行動療法

 

だから学会も2つあるのかな。

 

 

このようなレクチャーを1時間程度行った後、質疑応答プラス雑談会に入る。

 

そこで、公認心理師で臨床心理士6年目の方が困っている高校生のケースについて、どのようにすればいいかアドバイスが欲しいと話された。

松野先生がまずは私(千田)から説明してほしいというので、私自身は認知療法の視点に立って認知行動療法を行っている立場から、実際にいくつか質問をさせていただきましたが、知りたい具体的な認知(思考)を聞き出せていないことが問題であること等を説明させていただいた。

普段から頼まれてスーパーバイズしていても多くの公認心理師が聞きたりないまま、話をスルーしてしまうことがある。

認知行動療法をする方は、その認知が修正できれば問題解決するのかまだ、話されている思考はあいまいかなどに注意してほしい。

 

次に松野先生が行動療法の視点に立った認知行動療法の立場から、やはり具体的な行動などアセスメントのところできちんと聞き出す必要があるなど説明をしていただけました。

 

 

最後に今回の研究会でお話いただいた基礎の部分を羅列しましたが、松野先生の説明は本当にわかりやすいので、参加された方は行動療法、認知療法、立場によって違う認知行動療法など理解していただけたのではないかと思っております。

 

 

研究会は普段は症例検討(事例検討)を中心に行っております。

たまにこのようなレクチャーなどが入ることがあります。

研究会に興味を持たれたり、認知行動療法セミナーを受けたいと思われた方はホームページをご覧ください。

 

 

リスタ・カウンセリング・ルーム

千田 恵吾