『しのゼミ』 -16ページ目

『しのゼミ』

日常で出会った「気付き・笑い・学び」を綴っています

胃癌取扱い規約が改訂になった。

この「取扱い規約」とは,
胃癌患者さんを診断治療する際に,
医療者側で用いる名称や分類を定めたもの。

たとえば,
ガンの診断名はこんな名称を用いましょうとか,
リンパ節の名前はこうしましょうとか,
グループ分類を付記しましょうとか,
治療効果判定法はこうしましょうとか・・・・・
こういう細かなことが,
何から何まで定めてある。

こういう取り決めがないと,
たとえば病理側が「こりゃ良くないでぇ」って診断したつもりなのが,
外科側は「なんや,大したことないやん」って受け取る・・・・・
ってな不具合が生じる。

こういった医療側の問題が,
患者側に不利益を来すようなことは,
避けなければならない。

言ってみればこの規約は,
診断治療の「あいうえお」。

これを知らなきゃ話にならない,
実地医療の「単語帳」。

共通する「言語」を皆が理解して初めて,
正しい医療が成り立つと言える。



医局の集まりで,
改訂なった胃癌取扱い規約の簡単な説明がある。

准教授先生が,
その変更点をいちいち説明してくれる。

それにしても,
変更多すぎやんっ!

まぁより良い方向に変わっているのは分かるんだが・・・・・

ざっと説明されたくらいでは,
とても覚えきれない。

そもそもルールに完璧は無いし,
時代とともに変化する。

しかも,
診断治療に関する事柄は,
ヒトの数だけ違う意見があるようなものだ。

それを,
大半のヒトが納得できるような,
たった一つのルールに収斂しなければならぬ。

その作業は大変なことだ。

規約委員の先生方の,
並々ならぬ苦労が推し量られる。



さて,
じゃあこれから大学病院で病理診断を行う際に,
いつからこの新規約に従っていくのか?

○月△日から,これでいきましょう!ってな感じで,
誰かの提案が通ればピリオドだ。

しかし,
これを自分が言ってみたところで,
全員が従ってはくれないのが情けないところだ。

案の定,
「いつから?」という簡単そうに見える問題が,
なかなか決まらない。

とある先生は「心の準備があるんで,2週間くらいは時間がほしい」と言う。

「今日の今からでええんちゃう?」ってせっかちな意見もある。

「ゴールデンウィークくらいまで待ってよ」というのんびり派もいる。

「少しずつ変えていけばいい」という穏健派もいる。

「日時を決めて,せーのっ!で一斉に変えるべき」という理想派もいる。

「こんなもん,やりたくねー」という原理派?もいたかもしれん。



規約には,
いつからこれに従いなさい!という,
変更タイミングについては明記されていない。

つまりは,
いつから新規約に変更するかは,
それぞれの施設や病院に任されている。

なので,
決められてないことには百家争鳴。

まるで,
烏合の衆が自分の欲する昼食のメニューを表しているようなもんだ。

申し訳ないけれど,
次回改訂では,
「この新規約は,○年△月□日午前0時0分0秒から原則として実施することとする」
という一文を盛り込んでもらえないかと,
かように思ってしまった次第。
「あの~・・・」

秘書さんが,
いつの間にやら自分のデスク脇にやって来て,
仕事の邪魔してスイマセン的に立っている。

「ん?」

「ありがとうございました」

急に礼を言われて,
今見ていた細胞が頭から消し飛ぶ。

「・・・なんやったっけ?」

「チョコのお返し,ありがとうございました」

「えっ?・・・あ~,どーぞどーぞ」

不意打ちのお礼が,
ホワイトディのお返しの件だと気付くのに,
5秒くらいかかってしまう。

思い返せば1カ月前,
秘書さんによる「手作りチョコ」が,
皆に振る舞われていたっけ。

そんな1か月前の心温まる出来事も,
すでにきれいさっぱり忘れている自分。

いったい何なんだろう?,
この年中行事への疎さ!

最近は,
これに拍車がかかっている。

更に心痛むのは,
このお返しは,
じゃんけんに負けた主任さんが,
どっかで調達してきたものだ。

義理ならばまだしも,
体裁しか込められていない。

何とかせねば・・・・・少し反省する。



そういえば,
4月には「秘書の日」ってもんがある。

米国留学中に,
新聞のコラムでおばちゃんが
「秘書さんの日なので,花を買ってあげたり食事に誘ってみよう!」
的なことを書いていたのを覚えている。

当時は,
へぇ~そんな日があるんや,
って思っていた程度。

その後も,
本邦では文化の違いなんだろう,
メジャーになる気配はない。

ならば,
ここはひとつ,
この秘書の日を利用してやろうか。

たとえば,
評判のスイーツなんかをこっそり手渡して。

「いつもありがとう」な~んて言ったりして。

このエクストリームリーにスペシャルなアクションにより,
「あのシノ先生が・・・ひぇ~」
って評価はウナギ登りなハズ。

とくに自分の場合,
普段何もしていない分,
効果はてきめんだろう。

そうと決まれば,
善は急げだ。

さっそくチョコでも用意しておこう。

イヤ,ケーキかな?

それとも饅頭?

なんでもええか・・・・・


同級生の外科医JOの結婚披露宴が近付いている。

バツイチのJOにとっては,
これが二度目のセレモニーになる。

大変光栄?なことに,
自分は二度目のwitnessとなる予定だ。

詳しくは書かないが,
JOは「前科者」。

以前に,
こういう差し迫った状態で,
ドタキャンした(された?)経歴を持つ。

ってことは,
witness歴としては三回か?

もうこれで最後にしてほしいわ~って気持ちを込めつつ,
進捗を確認すべく,
JOに連絡してみる。

「今度の披露宴って,予定通り?」

「当り前やん!順調順調」

「順延なし?」

「あるわきゃねーやろ!」

「スピーチせんでええな?」

「何もしゃべるな!」

どうやら幸せそうだ。



この進捗を,
同じくwitnessになる友人に連絡する。

彼も二度目なんだが,
「・・・ところで,いくら持ってく?ご祝儀」
という話になる。

「○万」

「ふ~ん・・・二度目ってことで,割引きしてほしいよな~」

確かに!・・・と激しく同意するも,
栓ないしなぁ。

じゃあってことで,
飲みまくって「元」を取ることで,
話は落ち着く。

まぁ酔っぱらった暁には,
そのまま大人しくしているかどうか,
少し自信がないが・・・・・



家に帰って準備をする。

と言っても,
ご祝儀と礼服をチェックするくらいであるが。

そういえば,
ピン札ってあったっけ?
と思い立ち,
シノ妻に聞いてみる。

「ピン札ってある?JOの披露宴の・・・」

「あれっ?そーやったっけ」

生ゴミの日,
忘れてたわ~・・・・・
的な物言いだ。

「それにしても,またやるワケ?」

「そりゃあ相手もあることやし,しょーがないやん」

「披露宴なんて,まったくよくやるわね~,あたしは人生で唯一の汚点だと思ってるけど・・・」

こちらでも,
ちょっと雲行きが怪しくなる。



今のところ,
天気は晴朗・・・と聞いているJOウェディング。

しかし,
すでに小波らしきものを引き起こしている。

当日は,
どうなることやら。



学部棟と病院の間を歩いていく。

南国を襲う台風のような強い風が,
真正面からまるで行く手を阻むように吹き付けてくる。

二つの建物にはさまれたこの狭い空間は,
ちょうどいい具合に風の抜け道になっている。

春一番なんだろうか,
ものすごい風だ。



誰かの捨てたコンビニの袋が,
その強い風に乗って,
かなりの速さですっ飛んで行く。

医学部棟に沿ってある駐輪場の自転車は,
ほとんどが倒れている。

幾重にも重なって蠢く空気のうなり声が,
自分の周りを囲んでくる。

風の動きが変化すると,
そのうなりは悲鳴にも似た甲高い音色に変わる。

そんな自分を隔離するかのような風に,
煽られないように少し前屈みになる。

そして,
伏せた顔をたまに前に向けて,
方向を確かめる。



あの角に至るには,
もうしばらく時間がかかるだろう。

風がもっと弱かったり,
背後からの順風だったらば,
もっと早く辿りつけるかもしれないけれど。

でも,
風には風の都合があるだろうし,
自分の向かう方向も,
風の都合に左右される類いのものではない。

ならば,
この時期のこの場所では,
自分に挑んでくるものに向かっていくしかない。

そうと受け入れれば,
強い風の密度も,
案外薄く感じられるかもしれない。



強い風の中を,
進む,進む,進む・・・・・


ヒマラヤの奥深く,
アマゾンの未踏の地,
あるいは広大なるサバンナをひた走るクルマは,
ランドクルーザーと相場が決まっている。

外国の友人から,
カローラは壊れないと聞いて誇らしく思う。

レクサスが,
ドイツ製高級車と肩を並べて当然と思う。

TOYOTAと言えば,
ザ・ジャパニーズ・リーディング・カンパニー。

物づくり日本の代名詞。

その背中に日の丸を見ているのは,
自分だけではないハズだ。



今回,
アキオが米下院に引っ張り出された騒動は,
マオちゃんのトリプルアクセルが成功するも後のジャンプが乱れる・・・
に匹敵するほどの国民的「事件」だと思う。

これには社運がかかっているだけではない。

対応を一つ間違えれば,
ファイヤーストーンの二の舞になるだけではない。

ちょっと大袈裟かもしれんが,
日本の今後が問われているような気がする。

そもそも,
ハイレベルな良い物を作るが,
したたかなる政治は下手。

ロビー活動などうまくこなしているように見えたあのTOYOTAでさえ,
ほころび始めるとガタガタになる。

そんな日本古来の姿が,
はからずも露呈されたような気がする。

なんだか,
ハイレベルなトリプルアクセルは成功させたものの,
完成度や総合面でキムヨナに圧倒されたマオちゃんの姿がダブって見える。

ハイブリッドにせよ,
トリプルアクセルにせよ,
日本が世界に誇る宝刀だ。

これからは,
それらハイレベルの技術を磨くだけではなく,
したたかに,
時にはズルく使っていく「術」が必要になってくるのかもしれん。



意図せずとも,
日の丸を背負っているTOYOTA。

会見でのお辞儀の角度が問題にされる程に,
アキオは注視されている。

ならばいっその事,
米下院では日本流に堂々と深々と頭を下げればよかったんだ。

敢えて土下座して,
度肝を抜いてやるっていう秘策はどうかと思っていたが・・・・・
さすがにこれはふざけすぎ?

バッシングの峠は過ぎたのかもしれんが,
こんな騒動に左右されることなく,
尊敬されるゆるぎないカンパニー像を追及してほしい。

ガンバレ,アキオ!

敗因としては,
選曲ミスとか戦略ミスとか疲れがあったとか喧しいが,
あんな演技をされたら,
勝てっこないよ。

単純に,
あの日は「your day」ではなかったんだ。

勝敗は時の運,
それはそれとして,
リンクの上で完全燃焼→満足する姿を,
皆は見たいと思っている。

ガンバレ,マオ!

日の丸を背負うモノには,
いつまでも自分はエールを送り続けるだろう。



そういえば,
トラストミーとおっしゃった方の背中には日の丸は見えない。

・・・残念なことだけど。