車を運転中。
押しボタン式の信号が赤になったので止まった。
その横断歩道を渡ろうとする小学生の男の子(小一くらい?)が一人。
しかし,渡ろうと途中まで来るが,また走って引き返していく。
戻ったその先には,その男の子のお姉さん(小三くらい?)がいる。
二人とも髪はまだ濡れており,おそらく着替えが入っているであろう荷物を小脇に抱えている。
交差点近くにあるスーパー銭湯へ寄った帰りであろうことは,容易に想像できる。
姉は,その交差点に面して並んだ自販機で,ジュースを買っている。
この辺りは住宅街なので,この自販機を逃すとしばらくは出くわさないかもしれん。
一缶を手に入れた姉は,歩行者用信号が青に変わってからも,もう一缶を買おうとしている。
おそらく弟のジュースに加え,自分の分も買おうとしているのだろう。
お金を入れて,選んだジュースのボタンを押して,出てきた缶を取り出して,お釣りを受け取って・・・・・
二人分のジュースを自販機で購入する。
しかも,青信号を待たしての時間制限付き。
これが意外に手間取っている。
「お姉ちゃん,早よ~!」
横断歩道を引き返してきた弟が,そう叫んでいる。
そうこうしていると,横断歩道の青信号が点滅を始める。
どうやら姉は,ジュース二缶の運搬法に難渋中。
左手にはかさばる着替えを抱えているので,自由になるのは右手のみ。
しかも姉は,二缶のジュースを片手でわしづかみできるほどの長い指と握力を備えていない。
「信号変わるよ!」
「わかってるわ,ウルサイ!」
少年よ!
姉ちゃんが持とうとしている二缶の一つを持ってやるか,姉ちゃんの荷物を持ちなさい!
そしたら,二人すぐに渡れんねん!
・・・心の中でそうエールを送るが,少年には届かない。
クルマの窓から「少年よ!・・・」と命令するほど,自分はおせっかいやきではない。
なので,そこまで気が回らぬらしい弟は,押しボタン式ボタンが設置された電信柱のところから,姉に声援を送るのみだ。
何してんねん,少年?
そんな時,ようやく自分は気が付いた。
この少年は,何もしてないワケではなかったことを。
自分ができることを自分なりに一生懸命やっていたことを。
その弟が何してたかというと・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
押しボタン式の「ボタン長押し」。
長押しすれば,青信号の時間が長くなるかも・・・・・ちょうど,エレベーターの開閉ボタンのように。
そして,お姉ちゃんを叱咤激励していたのだ。
「もうちょっとや,早よ~~~走れ~~~」
ようやく姉は,片方に着替え,そしてもう片方には二缶のジュースを抱えることに成功。
そうして,猛ダッシュで点滅中の横断歩道を渡っていく。
弟も,姉の後を追ってダッシュで横断していく・・・・・
なにしろ間に合ってよかった。