▼始めが肝心
なんでもそうだが,始めは肝心だ。
だれもが始めは無難にこなしたい。
できればビギナーズ・ラックに恵まれて,
なんか知らんが,あれよあれよとうまくいく・・・・・
そんな「始め」を誰もが望む。
周りにも始めだというのを悟られずに終えるのがカッコイイ。
「えっ?あれ,最初やったん?」と驚かれるのも悪くはない。
しかし・・・・・
現実にはそうはうまくはいかない。
それまではうまく出来てたのが失敗したり,
想定外のことが起こったりで,
もうしどろもどろ,あたふたってなってしまう。
下手するととんだケチがついたりして,その後にもずっと引きずったりする。
まぁ始めがうまくいくかつまずくかは運次第・・・
それはそれで受け止めるしかない。
▼帰ってきたJO
同級生で某外科助教JOが,今更という感じの国内留学から帰ってきた。
突然,病理部に顔を出したJO。
「おう,シノ。帰ってきたで」
「あれ?JO・・・もう帰ってきたん?」
「ホンマに,あっという間やねん。もうちょっと居りたかったわ・・・」
たった数ヶ月の国内留学。
まぁ多方面のいろいろな状況が許す範囲内というか,諸事情を鑑みて,こういう結末になったらしいが・・・
とにかくこの留学,短期でもよかった・・・と考えるしかない。
▼自分の術中迅速の場合は・・・
振り返えれば,自分が経験した最初の術中迅速は,「胆管ガン断端」だった。
この「胆管断端」っちゅーのは実はクセモノ。
ベテランでも手こずることがある。
それが初っぱなに当たる・・・・・・
これっていったい,どうゆうことやねん?
もうそれこそビビるのを通り越して,
この身の不幸を嘆きつつ,
呪いの言葉を吐き続け,
でもやるしかない・・・
そんなもうやけくそな気持ちだけで,辛うじて逃げ出さずにいた。
っで,結局提出された術中迅速検体がどうだったか?
・・・それは,もう忘れてしまっている。
▼JOの復帰第一戦
復帰したJOが最初に執刀した手術。
病理学的にはけっこう「ワルい」腫瘍に対する全摘術。
それなりに準備をして,それなりに注意をして望んだんだろうが・・・
その病理結果は,断端陽性。
手術して摘出した検体の端っこに,腫瘍が顔を出している。
多分,完全には取り切れていないだろう・・・・・
こりゃいかんということで,すぐにJOを呼び出す。
すっ飛んできたJOに,断端陽性の部分を顕微鏡を覗きながら説明してやる。
「・・・ここの断端に腫瘍細胞があるやん?」
「ちょっと待て,シノ。どれやねん?」
「これこれ,この細胞」
「んーー・・・・・ここの断端は○○があって,実際には大丈夫やと思うけど・・・」
「それに,ここも危ないよ」
「んーー・・・・・そこには△△があって,温存したんやねん・・・」
「とにかく,病理学的には断端陽性とせなアカンねん・・・悪いな」
「んーー・・・・・断端陽性か・・・こんなことってそうないよな」
「一年に一度あるかないかくらいかなぁ・・・」
「なんでよりによって・・・・・・」
「まぁ,相手(=腫瘍の種類)が悪いねん」
納得がどーしてもいかんJOの気持ちがひしひしと伝わってくる。
自信を持って挑んだ復帰後最初の手術に「ダメ出し」。
しょーがないとこれを受け入れて,次なる最善の手を考えていくしかない。
それは誰もがわかっているんだが・・・
その受け入れにはやっぱ誰もが時間がかかる。