「センチネル・リンパ節」
意味:見張りリンパ節とも訳される。ガンがリンパを伝って転移する際に,最初に辿り着くリンパ節とされる。一般に,ここにガンが転移していなかったら,それ以上はリンパ行性転移が進んでいないと解される。
▼ 最初の砦です
私たちの人生は関門や思い悩みの連続。
例えば資格試験?
あるいは誰かに会う?
または何かの試行・実験?
できるなら待ち構える関門を次々とクリアしていきたい。
関門を避けようとしてもダメ。
避けたとしても,後にもっと大きな関門が待っている。
関門突破が難しければ,近くの砦で少し休むといい。
そこには仲間がいて,アドバイスをしてくれたり情報をくれたりする。
あきらめなければ,直に関門は突破できるようになるもんだ・・・・・
▼ 厚さたったの2ミリです
病理に提出されるリンパ節は,通常1センチ前後の小さな塊。
これをまずは2ミリ刻みで薄く切る。
たとえば直径1センチのリンパ節だったら,だいたい5つに切り分ける。
その切った断面をそれぞれ切片にしてもらって,顕微鏡で丁寧に見ていく。
ガンがリンパ節に転移していると,正常のリンパ球がたくさん集まる中にガン細胞の塊が浮いて見える。
大きなガンの転移なら分かりやすいし,肉眼でも分かる。
しかし,中には転移したてのホヤホヤで,顕微鏡で見ても分かりにくいものもある。
ガンがリンパ節にやってくると,リンパ節の最外側にまずは引っかかる。
リンパ節の隅っこにひっそりと隠れている微小転移。
それを見逃さないために,慎重にリンパ節の周りを「舐める」ように見ていく・・・・・
▼ ホントに最初か・・・?怪しいもんです
「え~,うっそー」
思わず,手術室から驚きと疑いの声が上がる。
センチネル・リンパ節の術中迅速結果を伝えた時。
伝えた結果は,
「センチネル・リンパ節転移=陰性,その近くのリンパ節転移=陽性」
常識的には,転移するガンはセンチネル・リンパ節を侵してから,周囲のリンパ節に広がるはずだが・・・
なぜか今回の結果は,あるべきセンチネルへの転移がない。
こんな変わった現象は初めて。
そもそもセンチネルの同定が間違ってたのか?
あるいはセンチネルをすり抜けるようなメカニズムが働いたのか?
そんなまだまだ謎が多い「最初の砦」・・・・・
▼ そう言えばあれがそうかも・・・
自分の高1のある時に,文理選択の調査があった。
その頃はジャーナリズムに憧れがあって,迷わずに文系志望。
それに対して自分の父親は大反対。
将来の選択の幅が狭まるので理系にしとけと言う。
今思えば,まっとうなアドバイスだとは思うが・・・・・
当時の反発盛りの自分は,素直に「ウン」と言えなかった。
志望が文系か理系かで,高2での理社の科目選択が大きく左右される。
自分としては生物の方がマシかな・・・程度の軽い気持ちで,まずは生物選択を考える。
しかし,生物選択は受験選択肢を狭めるので,父親は化学選択を強く推した。
生物か?,化学か?
そんなちっぽけな選択問題。
どっちでもいいかもしれん。
が,父親への反発もあって,周りの意見に聞く耳を持たない自分。
とにかく自分の進路に口を挟まれるのがイヤ。
自分のしたいことにはいっさい口出し無用!という感じ。
これはもう選択科目の問題ではなく,父子コミュニケーション問題になっている。
そんな時に間に入ってくれたのがおばさんだった。
おばさんは,自分が通う高校の国語教師をしていた。
ちょっと話があるとおばさんに呼び出されて,「気持ちは分かるけれども,どうしてもイヤやというのでなければ化学にしとけば?」と言われた。
先生から言われると,「ハイ」と従うしかない。
まだ父への反発はくすぶるも,生物選択に固執する理由など無いので,最終的に化学選択へ変更した。
この生物か化学かという選択科目問題。
今思い返すと,この科目変更は後に自分が医学への道を志した時に大きくプラスに働く。
この変更がなかったら,当時は「生物選択」に障壁が多い医学への道は考えなかっただろう。
そういう意味で,自分のキャリアの中では,選択科目問題での「おばさんの一言=センチネルな出来事」だったのかもしれん・・・・・