いっ君(長男小6)を最寄駅に送る途中で。
電車に乗って出かけるいっ君だが,忘れ物は大丈夫だろうか?
近頃のいっ君はだらしなさが目立つ上に,準備や整理整頓をしない。
親の悪いところは全て受け継ぐのが,不思議なDNAの魔術である。
「・・・そう言えばいっ君,お金は余分に持った?」
「持ってない」
「電車の回数券を落としたらどうするんや?」
「携帯で電話するわ」
「・・・あのなぁ・・・」
なんでもかんでも親任せ。
自分の忘れものも親のせいだし,自分の落し物も親のせいにしかねんなぁ。
ここは一言ガツーンって言ってやらねば。
「一切れのパンって知っとるか?」と父。
「聞いたことない」
「昔の第二次世界大戦の時に,ナチスに捕まったヒトが脱走したんやけども・・・・・ナチスはわかるな?」
「ナチスはわかるけど,一切れのパンは知らん」
・・・っということで,あの有名な一切れのパンのあらすじを説明してやる。
脱走したヒトが空腹で死にそうな思いをするが,とあるヒトが手渡してくれた「一切れのパン」を持っているということが,精神的な最後の拠り所になって,なんとか逃げおおせた・・・というあの話。
結局,蓋を開けてみたら木屑かなにかが入っていて,パンじゃなかったという所まで話し終えて・・・
「・・・どうや,ええ話やろ?」
「ふ~ん」
「何で一切れのパンが大事なんか分かるな」
「わからん」
「・・・じゃあ,何でパンが無かったんか分かるか?」
「それは・・・・・落としたんやろ」
「全然違う」
「腐って溶けて無くなったとか・・・」
「アホ,匂いで分かるわ」
「じゃあ,前に食べてしまったのを忘れてたとか・・・」
「・・・あのなぁ・・・」
なんでその意味まで説明してやらなきゃアカンのや・・・・・とふと思う。
「簡単に言うと,余分にお金とか持っていくと,安心できるんや・・・ちゅうことや」と父。
「ふ~ん」
「わかったか」
「まぁ分かったけど・・・・・じゃあ一切れのパンの話のように,空っぽの財布を持って行く?ちゅうこと?」
うっ・・・・・
しっ・・・しまった!
「つべこべ言うな!」と誤魔化すも,例題の引用ミスで一本取られた。