ボス先生の入院 | 『しのゼミ』

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日常で出会った「気付き・笑い・学び」を綴っています

病理講座の秘書さんから電話がかかってきた.


「・・・実はボス先生なんですけど,いま大学病院に入院してらっしゃるんです」

「・・・ええっ?・・・はじめて聞いたわ・・・」

「シノ先生にはお伝えしておらず,すいませんでした・・・」


先日にみんなに見送られ.医学部教授を退官されたボス先生.

退官後は,この4月からとある組織の施設長になった.

地方マスコミへの露出度は高くなったような気がするし,

その意味では大学教授よりさらにえらくなったんかもしれん.

今ごろはシノたちのこともすっかり忘れて,

新天地で悠々自適と想像していたのだが,

いきなり大学病院に舞い戻ってきているらしい.

しかも患者として・・・・・



「どっか悪いの?」

「病状は詳しくは知りませんが,とりあえず○○○号室まで来てくれとの伝言を受けました」



手ぶらだけどとにかく早速向かった○○○号室では・・・・・


「失礼します,シノです」

「お~う,来たか」


だだっ広い個室のベッドに横になったボス先生は,なにか資料を読んでいる.

酸素投与のためのチューブを鼻にあてているが,意識はあってしっかりしゃべるし,しっかり動けそうに見える.

なんとなく元気っちゅうか,特に変わらんっちゅうか,ピンピンっちゅうか・・・・・

となると,脳卒中とか交通事故系のアクシデントではなさそうだ.

だとすると糖尿病・心筋梗塞・狭心症あるいはがんとなってくるが・・・・・

酸素投与がポイントだとすると,狭心症や肺がんあたりが鑑別か?

冗談好きのボス先生なので,大穴として「仮病」というのもいちおう挙げておかなきゃ.

ひょっとするとマスコミ対策とか新組織における派閥抗争からの一時避難とかで,

「隠れ蓑的入院」っちゅうのもあるかもしれん・・・・・

まぁそんなTVドラマに出てくるような大物政治家ではないけれども・・・・・

秘書さんはじめ,なんか緘口令がしかれているのも気になる.

・・・・・ひととおり貧困な想像を廻らせて,

狭心症あたりを本命として,

肺がんを対抗とする.

大穴の仮病は,

ボス先生の性格上どうしても外せない.





「先生,どうされたんですか?」


「イヤ,実はカゼをこじらせたみたいで・・・」


「カゼですか・・・(な~んや)」


「あんまり人には言わんでくれ・・・」






ボス先生のやることは昔から大きくて派手なので,「隠れ蓑的入院」あたりがお似合いかと思っていたが・・・・・

残念ながら「仮病」でもなかった.

しばしお話をして,お見舞いの品を「ちょっと持ってってくれ」と言われるがまま少し頂いて,退散した.

何しに行ったんだか・・・・・よくわからん.