「アミのアホ・・・・・なにしてんねん・・・・・」
っと,ひとりつぶやいたところで何も好転するはずはなく,
ぶつけようのない怒りは内に溜まるばっかりで,
どうしよう・・・と冷静に少しうろたえつつ,
迷ってる時間があったら電話しろ・・・と言い聞かせて,
外科のO先生に何度も電話するがつながらず・・・・・.
若手病理医アミの術中迅速で,またまたトラブル発生.
術中迅速で提出された病変がAかBか迷う変化だったらしく,
「AかBか迷います」って言えばいいものを,
そのま~んま答えればいいものを,
なにがどうなったのかわからんが,
迷ったアミは「Bかもしれません」と答えたらしい.
それを聞いた手術医である外科O先生は,
患者さんを某科医師に診てもらって,
早々と化学療法(抗がん剤)の準備をしようとしたのだが,
患者さんを診た某科医師は,
「Bのタイプの病変は薬が効きにくいです」とハッキリ宣告し,
「ほとんどやっても無駄」的な物言いだったらしく,
患者さんは絶望的に気落ちしたらしい.
その後,必死の治療の薦めにも患者さんは耳を貸さず,
ほとんど医療拒否的な態度に硬化してしまって,
生まれ故郷へ帰って治療はせず・・・という「自宅療法」を選択し,
明日にでも退院して田舎に帰ろう・・・という予定だったらしい,
過去標本を見直して,
アミのしでかした術中迅速の間違いに気づいた時には,
その患者さんの話はそんなところまで進んでいた.
「まったく,あのアホのせいで・・・・・」
・・・ついついそんな言葉が口をついて出てくる.
しかし,
自信があれば自分でやってみろっと言って,
術中迅速をアミに任せたのは自分である.
付かず離れずして,
がんばってやれ・・・などと言っていたのは自分である.
一つの間違いや不具合で,
彼女や教育システムを否定するのは好きではない.
元はと言えば,自分が言い出してはじまったこと.
やはりしっかり尻拭いはさせてもらおう.
やっとO先生の電話がつながる.
「・・・・・すいません,病理のシノです.ちょっと悪い知らせが・・・」
「えっ,なんでしょうか?」
「実は,・・・・・(中略)・・・・・っということで,術中迅速をちょっと見誤ったかもしれません」
「・・・っと言うと,Bではなかったということですか?」
「もう少し調べてみないと分かりませんが・・・・・おそらく・・・・・」
「・・・・・そうですか・・・・・」
俎上の魚状態で,相手の出方を伺う.
・・・叱られるかな?・・・
・・・寛大さを見せてくれるか?・・・
いずれにせよ間違えたもんは早めに訂正するに限る.
短期的には叱られるが,
長期的には絶対にマイナスには働かない.
すると・・・・・
「イヤ~,シノ先生,助かりました.ありがとうございます」
「はっ?」
「患者さんが気落ちされてしまって,どうしよう・・・と思っていたんですよ」
「はぁ・・・・・」
「Bじゃないとすると,治療の可能性が広がりますし,Aならますますいいでしょうし・・・」
「そう・・・ですね」
「イヤ~,シノ先生,ありがとうございます,ホントに助かります」
「はぁ・・・」
「これで患者さんも少し元気出してくれるでしょう」
「よかったんでしょうか・・・・・」
「イヤ~,シノ先生,これからもよろしくお願いします」
「いえ,・・・・・こちらこそ」
間違えて謝ろうとしたのに,なんか知らんが感謝されて,けっこう複雑な心境・・・・・
叱るべき時は叱ってくれ~~~