依存症は、「物質の依存性」ではなく、「社会的な繋がりの欠如」によるもの | 家庭を子どものBASEに 佐伯和也公式ブログ

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子どもが思う存分遊ぶ(ゲーム含む)ことで、知的好奇心が育ち、それが勉強にも繋がっていく

ゲーム依存症シリーズ。

 

 

 

 

 

 

 

本の内容をまとめるがてら、ブログに書いてみます。

 

けっこうおもしろいし、依存症の常識が覆ると思います。

 

 

 

そして、

 

「親が子どものゲームを規制する」

 

っていうことがいかに危険な関わり方かが分かります。

 

 

 

今日話すのは、

 

「ラットパーク」

 

っていう実験の話の続き。

 

 

 

 

過去記事を漁ると、すでにラットパークの話は書いてたわ(笑)

 

 

 

 

でも、せっかく書いたので、また読んで(笑)

 

ラットパークの話の続きは、その下に書いてます。

 

 

 

そこかしこで喋っているので、僕の周りの人たちは一度は聞いたことがあるかもしれません。

 

これは、

 

「街中で取引されている薬物では依存症になるのに、医療で使用されているもっと純度の高い薬物では依存症にならないのはなぜ?」

 

っていう疑問から端を発した実験です。

 

 

 

麻酔で使用されている薬物のい1つに薬物があります。

 

言わずと知れた、医療以外で使うと捕まる違法薬物です。

 

街中で取引されている薬物は、その成分は極微量だと言います。

 

それでも、医療で使用される薬物で依存症になった人の話を聞いたことがありません。

 

 

 

このことを確かめるために、カナダ人の心理学者ブルース・アレキサンダー教授とその研究グループが実験を行いました。

 

まずは、金属の網と板でできたケージにネズミを1匹ずつ入れていきます。

 

ケージに入れられたネズミは、ケージとケージが板で仕切られているために、接触することはできません。

 

このケージの中に、2種類の水を用意します。

 

 

 

・普通の水

 

・モルヒネ入りの水

 

です。

 

ネズミは、この2種類の水を自由に飲むことができます。

 

 

 

ケージにネズミを入れて観察をしていると、予想通り、ネズミはモルヒネ水ばかりを飲むようになり、薬物依存症の症状を示すようになりました。

 

もう薬物の魔力からは逃れられません。

 

 

 

この実験をした後、教授はあることに気付きます。

 

それは、

 

「ネズミは好奇心旺盛で、社交的な生き物なのに、このケージだとモルヒネを飲むこと以外にやることがない」

 

でした。

 

 

 

続いて、研究室に大きな囲いをした広場を用意します。

 

そこには、壁には森林の絵が描かれ、床には巣を作るためのヒマラヤスギが敷き詰められ、遊ぶための缶や箱が置かれました。

 

そして、これが従来の研究と違うところなのですが、一緒に遊んだり、交尾したり、交流できるように複数のネズミを一緒にこの囲いの中に入れました。

 

 

 

この囲いは、ネズミにとって「普通」の生活であり、楽園でもあります。

 

なので、「ラットパーク(ネズミの楽園)」と呼ばれています。

 

 

 

ラットパークにも普通の水とモルヒネ入りの水を用意して、ネズミたちを観察します。

 

そしたら、おもしろいことが起こりました。

 

 

 

ネズミたちは、モルヒネ入りの水を一切飲もうとせずに、普通の水ばかりを飲んだのです。

 

教授は、

 

「もしかしたら、モルヒネ入りの水が苦いから飲もうとしないのかもしれない」

 

と考えて、モルヒネ水の方に砂糖を追加していって、甘くしていきました。

 

 

 

それでもなかなか飲もうとしなかったのですが、もはや砂糖水と言ってもいいくらい甘くなってようやく口をつけるようになりました。

 

しかし、それはもはや、

 

「モルヒネ欲しさに水を飲む」

 

というよりも、

 

「砂糖水だから飲む」

 

というものでした。

 

 

 

「砂糖も中毒性あるんじゃないの?」

 

って思う人もいるかもしれませんが、ネズミたちにモルヒネ水を過剰摂取したものはいませんでした。

 

なので、砂糖中毒だから飲むというよりも、単純に「甘いから飲んでる」と考えた方が自然です。

 

 

 

そして、教授はもう1つの実験を行います。

 

「すでに薬物依存状態のネズミをラットパークに入れるとどうなるんだろう?」

 

っていう実験です。

 

 

 

これもおもしろい結果が出ました。

 

あいかわらずネズミたちは、普通の水とモルヒネ水を自由に飲めるのですが、ラットパークのネズミたちは、

 

「モルヒネの摂取をやめると生じる『離脱症状』」に仲間たちと一緒に耐えながら、薬物依存症状から抜け出して、普通の生活を取り戻そうとしているかのような行動

 

を取り始めたのです。

 

 

 

これらの結果から教授は、

 

「依存症は、『物質の持つ依存性』によって引き起こされること」

 

ではなく、

 

「依存症は、『社会的な繋がりの欠如』によって引き起こされること」

 

なのではないかと考えるようになりました。

 

 

 

 

 

前回の記事で、ポルトガルではどうして薬物依存症患者が50%もの減少をしたのか。

 

それはきっと、

 

「依存症患者たちが、社会との繋がりを取り戻していったから」

 

だと考えられます。

 

 

 

社会に受け入れられ、自分の居場所を見つけた。

 

そしたら、薬物なんて使用しなくても、仕事や人との交流から喜びや幸せを感じられる。

 

 

 

それは親子でも同じです。

 

 

 

ゲームをしているからって否定され、批判されてたら、子どもは親との繋がりを感じにくくなっていく。

 

「親から愛されていないのかな」

 

って。

 

 

 

でも、

 

親がゲームを認め、子どものことを1つずつ認めていくと、子どもは親との繋がりを感じ、親との交流に喜びや幸せを感じるようになる。

 

そしたら、必要以上にゲームに依存する理由が無くなるんです。

 

だから、ゲーム依存症にはならない。

 

なる必要が無いんです。

 

もちろん、さらに友人や仲間との付き合いが生まれると、さらに依存する理由が無くなるのは言わずもがな。

 

 

 

僕は、こういう環境のことを

 

『安全基地』

 

と呼んでいます。

 

 

 

子どもが「ゲーム」などに依存せずに、この『安全基地』に依存する。

 

つまり、

 

「子どもの心の支えが、『ゲーム』ではなく、人や居場所になる」

 

っていうこと。

 

 

 

人や居場所に依存しながら生きていくのは、何らおかしいことじゃないよね

 

僕らも人や居場所への依存をやめたら、途端に精神が不安定になります。

 

 

 

ゲームに必要以上に依存せずに、

 

「自分が遊ぶための道具」

 

として、客観的な立場でゲーム機を使用し、遊べるようになる。

 

 

 

そのためには、

 

「親との繋がりの回復」

 

「親子間の信頼関係の再構築」

 

が必要になるわけですね。

 

 

 

そして、家庭が子どもの『安全基地』となったら、今度は家庭の外にも『安全基地』を作っていく。

 

学校や習い事、フリースクールなど。

 

BASEも子どもの『安全基地』になれる。

 

 

 

『安全基地』は、1つでも多い方がいいと思っています。

 

多いに越したことはない。

 

 

 

そうすると、子どもは良い距離感を持って、ゲームで遊べるようになります。

 

 

 

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