マジすか学園外伝・Sの遺恨 第百九話 | ガツキーブログ

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主にマジすか学園の二次創作を更新しています。48G・坂道Gが大好きで、よかったら気軽に読んでください。

 






一方で二年B組、そこは堀未央奈率いる一派が拠点としている場所でもあった。






絢音とのタイマンは引き分けに終わったが、C組を超えたことで晴れて二年を制覇した未央奈だった。






一派の人数もその影響か二十数人から三十数人へと増えた。未央奈の二年制覇に納得していない者たちが多くいる中でも彼女の一派の勢力は増していった。






そしてそんな二年を制した未央奈の耳に、一派の生徒である三人が病院送りにされたことについての情報が入る。






未央奈「……それで、三人の具合は?」






「はい…腕や脚、肋骨も折れていて、全身打撲だらけですが内臓や脳には異常はないみたいで…。」






未央奈が病院送りにされた三人の様子を聞くと、一人の生徒が前に出てそう報告する。落ち着いた様子で話しを聞く未央奈だが、隣にいる日奈子の顔は眉間にシワを寄せていた。






日奈子「そいつらボコったのは誰がやったんだ?ガンタ連合ってここ最近マジ女の生徒襲ってる連中か?」






「入院してる奴らはあまり動けない酷い怪我でしたが、口は聞けるみたいなので聞いてきました。


ライダースを着た知らない男たちのようで、それがガンタ連合の助太刀に入ったように見えたと…」






未央奈「街で騒いでたバイカー集団のことか?」






「それはわかりません。関係があるかどうか調べてみます。」






日奈子「未央奈、それって街で暴れてたバイカーと、ガンタ連合に助太刀したライダースの男たちが同じってこと?」






日奈子は未央奈の方へ顔を向けそう聞くが未央奈は首を横に振る。






未央奈「それはまだ分からない。ただタイミングが良すぎるなって思っただけだ。」






未央奈は街のバイカー集団と一派の生徒を襲ったガンタ連合に助太刀したライダースの男たちを関連付けようとしたがまだ確証がなかった。






未央奈「でも同じだろうが違かろうが、うちの人間に手を出したんだからまずはガンタ連合だ。


落とし前はキッチリつけてからその男たちを探すぞ。ガンタ連合を狙えばその男たちが釣れるかもしれないしな。」






未央奈率いる堀一派は標的をガンタ連合にし、それで助太刀に入った男たちが釣れるかもしれないと踏んで動き出そうとする。





















ラッパッパの部室でも街で起こったことについて全員集まって話し合っていた。






白石が副部長専用の椅子に座り、左右にある長椅子の右側に生田、松村、左側に玲香が据わっており、飛鳥は壁際に立っていた。






松村「あんだけ騒いどったのに今は大人しくしてるな。」






玲香「まぁ警察がたくさんいるんじゃ目立って動けないでしょ。」






飛鳥「生田さんはあれからガンタ連合に襲われませんでしたか?」






生田「あれからはないね。まぁ警察が動いてるときじゃ向こうもそんなに動けないでしょ。」






各々が会話をする中、静かにしている白石は空席である部長専用の椅子に目を向ける。






白石「………」






松村「麻衣、どうしたん?」






白石「…いや、何でもない。」






部長である西野七瀬が行方をくらましてから一日一日が遅く感じる。不意に腹の底から苛立ちが込み上がる。






副部長足る者冷静でなくてはならない。部長を支え、下の者たちをまとめる。それが自分の役目だと思っているのだが、七瀬がいなくなってから自分の役目に対して疑問を感じる。






だがそれを考えようとも時間は待ってくれないし事態は空気を読まずやって来る。白石は無理やり切り替え今起こっていることに集中する。






白石「ガンタ連合が次にどう動いてくるかはわからない、そこは引き続き気を緩めるな。


街に現れたバイカー集団は街の人間たちを誰構わず襲ってる。ほとんどヤンキーが襲われてるが、偶然かどうかは分からん。


派手に動いて襲ったが、今度はコソコソしながら獲物を見つけて襲って来るかもな。」






生田「ガンタ連合の他にそのバイカー集団の標的にならないようにするのかぁ、リラックスして音楽も聴けないよ…。」






白石の言葉に生田は天を仰ぐ。それを見た松村と玲香はプッと笑う。






松村「まぁここ最近大して問題起きんかったのが不思議なくらいや。」






玲香「そうそう、矢場久根は春の一件から大人しいし、激尾古は目立った動きを見せないし、逆に問題は少ない方でしょ?」






生田「まぁ確かにそうだけどさぁ……」






ガンタ連合の件、そして街に起こるバイカー集団による襲撃を警戒しなければならないため気を引き締めなければならない中、和やかな雰囲気が流れる。





















その数分後、飛鳥は部室を出て廊下を歩く。すると後ろから白石が声を掛けて来る。






白石「飛鳥、」






飛鳥「はい?」






白石「ちょっといいか?」






飛鳥は後ろを振り向き立ち止まる。白石は落ち着いた雰囲気で飛鳥に近づくと、壁に背中を寄せる。






白石「こうして二人だけになるのは久しぶりだな?」






飛鳥「どうかしたんですか?」






飛鳥は白石が自分に何か要件があるのだろうと思ったが、実の所その真意はわからずにいる。






白石「早いもんでもう秋だな?」






飛鳥「…そうですね、秋真っ只中ですね。」






白石「私にとってはやっと秋になったって感じだよ…。」






しんみりした声で白石はそう言う。飛鳥はそれでも白石の腹が読めずにいる。






白石「このまま冬になって年を越してから数か月で私達三年は卒業だ。数年前に起こった裏社会組織との抗争事件の傷が残る飛び火世代、不遇の世代の人間たちは全員マジ女から去ることになる。」






白石は突然話を始めると、飛鳥はそれを黙って聞く。






白石「マジ女の歴史には刻まれ、また傷としてもこの先残ることになるが、これからその印象はどんどん薄まることになる。


長い時間を掛けて、いずれ数年前の事件なんて気にしないほどマジ女のヤンキー校としての平穏が取り戻される。


来年度、お前の代からそれが始まるんだ。マジ女本来の形を取り戻していくんだ。わかってるな?」






来年度のラッパッパの部長は飛鳥であるかのように白石はそう飛鳥に目を向ける。






飛鳥「はい、わかってます。」






飛鳥は真っ直ぐな目で白石を見てそう答える。






白石「私は一日が長く感じるが、お前にとって来年なんて気づけばすぐにやって来る。だから今の内お前が作るラッパッパにふさわしい奴を見定めた方が良いぞ?」






飛鳥「私の作る、ラッパッパ……」






白石「ガンタ連合のことがメインだが、バイカー集団の件も頭に入れとかなきゃならない。


だからこれから忙しくなるかもしれない、それがいつ終わるのかが分からないし下手をすれば三年が卒業するまで終わらないかもしれない。


飛鳥、この件が終わってからじゃ遅いんだ。お前にはまだあと一年ある。そのことも頭に入れて自分の代になってからのことも考えとくんだ。」






飛鳥「……わかりました。」






二年である飛鳥は来年は新三年生となり新しいラッパッパを築くことになる。そのラッパッパにふさわしい生徒を飛鳥は誰が良いのか考えてしまう。






白石「まぁさっさと見定めてラッパッパに入れろって言ってるんじゃなく、頭に入れて考えとけってことだ。今回の件のことに集中しながらよく周りの人間を見とけ。」






そう言って白石は壁から背中を離すと、飛鳥の肩をポンッと叩きその場から去ろうとする。






飛鳥「…白石さん。」






その場から去ろうと歩き出した白石を今度は飛鳥が呼び止める。






白石「どうした?」






飛鳥「実は、個人的にラッパッパに入れたい奴がいるんです。近々そいつの話をしますし、時間が取れればみなさんに紹介します。」






白石は後ろを振り返ると、飛鳥の口からラッパッパに入れたい生徒がいると言われる。






白石「ほぉ、まさかもう入れたい奴がいるなんてな。詳しい事はまた今度聞くとして、軽くで良いからどんな奴か教えてくれないか?」






飛鳥「はい。そいつは私と同じ二年で、実力もあります。それに…手綱を握らないと危ない奴でして…」






白石「?」






飛鳥の言葉に白石は首を傾げる。飛鳥がラッパッパに入れたい生徒とは一体誰なのだろうか。











まだバイカー集団がGOLD・SCORPIONとわかっていない未央奈たち堀一派とラッパッパの面々はまずはガンタ連合に集中することになる。



そしてラッパッパでは来年度のことを視野に入れ始めろと白石に言われた飛鳥。そんな飛鳥はラッパッパに入れたい人物がると告げた。



次回の更新は月曜日です。