映画「CATS / キャッツ」言うほど酷くないが間違ってもお勧めはできない | 忍之閻魔帳

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▼映画「CATS / キャッツ」言うほど酷くないが間違ってもお勧めはできない

 

公開中■映画:CATS キャッツ

 

1981年のロンドン初演から現代に至るまで

ブロードウェイミュージカルの最高峰として

日本も含め世界中で愛されているミュージカル「CATS」が映画化。

アンドリュー・ロイド・ウェバーの名曲群をスクリーンで再現したのは

「英国王のスピーチ」でオスカーを席巻し、

「レ・ミゼラブル」の映画化でも大成功を収めたトム・フーパー監督。

出演は世界的バレエダンサーのフランチェスカ・ヘイワードを始め

テイラー・スウィフト、ジェニファー・ハドソン、ジュディ・デンチら

超豪華キャストを揃えている。

 

【関連記事】「CATS」は日本でも大惨事を起こすのか

 

のだが、この「キャッツ」が大層評判が悪い。

先行公開中の海外ではここ10年で興行的に最も失敗した作品になるとのこと。

一体何がそこまで酷いのか、ミュージカル映画と聞けばとりあえず

体が反応する私は東宝のマンスリーパスを使って初日に観に行ってきた。

せっかくなのでIMAXで観ようと難波まで出かけ、追加料金500円も支払った。

(*マンスリーパスで無料になるのは一般料金分のみ)

 

発売中■書籍:キャッツ―ポッサムおじさんの猫とつき合う法 (ちくま文庫)

 

映画を観終わって、酷評される理由は理解できたが

本作がアメリカでヒステリックに叩かれている理由が

私達日本人にはピンと来ないのではないか、とも思った。

舞台版「CATS」は敬虔なクリスチャンとして知られる

T.S. エリオットの詩集「キャッツ・ポサムおじさんの猫とつき合う法」を

原作にしたミュージカルであり、そこは神の救いと希望が大きなテーマとして存在する。

ジェニファー・ハドソン演じるグリザベラは

劇中に登場する誰よりも深い悲しみを抱き、誰よりも強く救いを求めているため

マグダラのマリアなのだろうとする解釈が一般的だ。

しかし多くの日本人にとって聖書はそれほど身近なものではないし

マグダラのマリアと言われても「なるほど」となる方はむしろ少数だろう。

リアルなゴキブリが出てきて、猫達が美味しそうに平らげるシーンは

確かに悪趣味で気持ち悪いが、その一点をもって本作が酷評されているわけではなく、

神の救いの物語である、という大前提があまりにも軽んじられている点が

苛烈なバッシングの要因ではないかと思う。

 

天上に選ばれなかった猫達の描き方に愛がないので

エンジンのかかるのがラスト20分ぐらいまでがひたすら退屈で眠気を誘うし、

フランチェスカ・ヘイワードを起用しながらも活かせる場面が少なく

バレエとミュージカルが水と油のように分離したまま進行してしまっている。

これでは見せ場が少ないと慌ててバレエを披露するような

取って付けたシーンがいくつもあり、ミュージカルとしての物語が途切れてしまう。

フランチェスカを起用したのなら、いっそ本作をミュージカル映画ではなく

バレエミュージカルにしてしまった方が潔くて良かったのかも知れない。

(それはそれで賛否が起こるだろうが)

 

「レ・ミゼラブル」を映画化する際には「舞台」から「映画」へと

それぞれのフィールドでしか表現できない魅力を理解した上で

演出がされていたが、本作は舞台をそのまま持って来ようとして

失敗したような印象を受ける。

物語の目撃者として追加されたはずの主人公は最後まで上手く機能せず

なぜこの物語に必要だったのか良く分からないし、

舞台版を見ていない方への補足だったとしても

あからさまな説明台詞はやはり萎えてしまう。

 

「ドリーム・ガールズ」の頃よりも歌に深みの増したジェニファー・ハドソンや

ミルクを舐める仕草の可愛いイアン・マッケランや

煌びやかな魅力を振りまくテイラー・スウィフトなど

後半は優れたパフォーマンスが続くので作品としての体裁は保たれている。

それでも、マイナスまで振り切った針をかろうじてプラマイゼロに戻すまでが精一杯。

「言うほど酷くはなかったが、間違っても人には勧められない」との結論に至った。

 

舞台が偉大過ぎて萎縮してしまったのか。

物語への理解が足らなかったのか、それとも時間的な制約の故か。

常勝街道まっしぐらだったトム・フーパーは大きな大きな黒星を付けてしまった。

時間があれば吹き替えも・・・と思ったが、

これをもう1回観るのはなかなかしんどい。

好きな監督だったので残念。次回作での挽回に期待。

 

映画「キャッツ」は現在公開中。

 

 

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1998年に発売された「CATS」は

アンドリュー・ロイド・ウェバー自らがプロデュースした舞台版の映像化。

いわゆる「映画」とかまた違うアプローチのため見比べてみるのもいいだろう。

ただし、なにぶん古い作品のため映像は荒く、音声(録音時の環境)も良くない。

舞台のダイナミズムを極力再現しようとしたのは理解できるが

歌唱シーンの音声バランスも非常に悪く、聞き取りづらいこともしばしばあった。

内容が変わるわけではないので、脳内補完できる方ならば何の問題もない話ではある。

今の技術と機材を使って、最新の舞台をもう一度映像化して欲しいのだが

誰かやってくれないだろうか。

 

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